菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

就職か,就業か(2)

2011-08-15 00:00:00 | 法曹への志し
本気(マジ)で法曹を志すならば(7)


 企業法務と呼ばれる分野をみても,組織内の法務部門に弁護士有資格者がいない場合,簡易裁判所の手続を除き,民事訴訟,仮差押・仮処分などの民事保全,民事執行といった手続を遂行するためには,外部の弁護士に委任せざるを得ません。やはり日本の弁護士の場合は,諸外国と比較しても,訴訟その他の紛争解決に活動の本籍があるのです。あえて誤解を恐れずにいうならば,訴訟実務を担う弁護士(litigation lawyer)としての経験の浅い法曹に対しては,企業の信頼性も一般的に低い傾向があります。

 英国では,法廷弁護士(barrister)と,原則として法廷活動を行わない事務弁護士(solicitor)という2種類の弁護士がいます。この点,日本の弁護士は,どちらかというと前者のバリスターに近いのではないでしょうか。別に訴訟関連の仕事ばかりをしろとはいいませんが,世間の見る目や社会の期待にかんがみますと,訴訟活動がきちんとできたうえで,他の専門性あるいは職域の広がりがあるのではないかと思います。

(次回に続く)


最新の画像もっと見る