雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

Katrina

2005-09-02 23:59:50 | 時事
台風はこんなものとタカをくくっていたため、Katrinaの被害をあまり重く受け止めてなかった。しかしよくみてみるとひどい。Mississippiの友人からのメールによると、南北戦争以前の見事な家々もみんなやられ、Jefferson Davisの家もmost likely でダメらしい!そして彼のため息混じりの最後の言葉、「ニューオリンズはもう復興しないかも」という言葉にはなんだか愕然としてしまった。

そして南部人のブログをのぞいてみると、惨憺たる状況がよりリアルに描かれていて、ある掲示板ではそのはけ口が、外国への非難にも向けられていた。こんなにひどい状況なのに、ほとんど寄付も援助も来ていないらしい。しかもMiddle Eastに州兵を送っているために人間も足りない。いわゆる友好国(英・仏・独・日)は「何をしているんだ!」というわけ(日本が入っているんだ、わーい、なんて思っちゃいけない)。

これをみて僕自身タカをくくっていたこともあって、なんだか申し訳ない気持ちになったが、そこでの議論はそれから意外な方向に進んだ。大体ドイツとフランスは何だ、とりわけフランスには頭に来る、となっていった。そして所詮アメリカは嫌われている、アメリカが強いからだ、そして誰の助けなどいるものか愚か者どもめっ、となったところで、別の人間が、そういう横柄な態度がアメリカの冷戦以降の孤立につながっているんだといさめ諭した。

昨年5月にBush Jr.が再選されたときも、アメリカの外交努力が足りなかったことが反省され、Bushは再選後すぐヨーロッパ、ロシアをまわった。だからといってなかなか回復されたとはいえないが、近年ではもっと大きな問題としてアジアからの孤立もアメリカにとって切実らしい。もちろん中国という大国になりそうな国と、次の市場になりそうな経済発展をしているインドがあるからだろう(日本だけでなくアメリカにとってもアジアは大きな市場である)。

こうした見解は、そのブログではなく、アメリカの新聞論説やシンクタンク、Foreign AffairsなどのOpinion雑誌で共通してみられる。そしてそのなかで日本に再び冷戦時のような目をむける論評もチラホラみえるようになってきた(だからといって日本を含むいわゆる友好国との摩擦はこれからさらに深いものになることは認めている)。日中間の摩擦は、いろいろな意味で、アメリカには狙い目に映っているということだ。

そういえば小林コウキ前衆議院議員が郵政民営化法案反対のためにアメリカ陰謀説を持ち出していた。確かに民営化は、アメリカの要望にある(ここで確認されたし。2003年以前の要望書に載っています)。ただし外資に乗っ取られるとか郵貯の資金を根こそぎとるというのではなく、アメリカの保険会社の競争相手としての簡保を同じ土俵、同じ条件で争えるようにしようという意図だからお間違えなく。このあたりは、関岡英之さんの『拒否できない日本』に詳しいが、関岡さんの著作はあくまで一面しか光をあてていないので、自分でよく考えることをおすすめしたい。

さてアメリカの陰謀(?)の話に戻る。アメリカが最近日本にやらせたいことは、中国にとっての脅威にさせることだという見解がある。一昨日だったか、中国の学者が日本が国連の安全保障理事会の常任理事国になれないのは、軍事力が足りないからだという見解を発表したが、アメリカの保守派にもこの案を主張するひとが結構いることはすでに日本でも紹介されている。

もともとアメリカがアジアからの疎外感を覚えるのは、どうみてもテロ国家である北朝鮮が、韓国と中国に何となく守られているためらしい。ここには、第2次世界大戦の引き金になった、アメリカがアジアに進出するのを阻んだ、ロシア・日本ラインのようなものを感じてるのかもしれない(ロシアって臭いよね~)。

ワシントン・ポストでずっと論説をやっていてくびになった保守派の論客(名前忘れた)もその線。したがってアメリカは、北朝鮮をすぐ攻めることはできないと考えている。なぜなら北朝鮮の兵隊はイラクとは段違いに整備されているし、いざというときには金正日はソウルに逃げられる道筋ができていることがわかっているからだという。

もともと北朝鮮が安全保障上の脅威になるのは、6カ国会議に参加している国のなかでは、日本とアメリカしかない。つまり中国には心配はなく、むしろ韓国を中国側に引き寄せたことに北朝鮮問題のうまみがある。しかしその論客によれば、日本が核をもったら中国はやや複雑な状況に置かれる。核を背景に交渉する北朝鮮と同じ配慮が日本にも必要になるなど、いろいろ事態が変わってくるからだ(だからその論客は、日本がほしいといえば喜んで核を売るといっている)。

そうした意味で、9月1日にJapan Timesに載った日本の軍事予算には、米中ともに目を見張るものがあったろう。アメリカほどではないにせよ、かなりのアップだった。こういうのみてると、憲法改正も軍備増強もほんっとに日本はアメリカの希望通り動いているようにみえる。とにかく日本はこれまで以上に外交手腕が問われることは間違いない。

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4 Comments

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Unknown (Siva)
2005-09-04 23:14:14
そういえば、Oil Taxあげない決定したんでしょ?
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Unknown (stone)
2005-09-05 11:49:59
ジョージア州知事が表明したらしい。売り上げの4パーセントくらい。僕が見た限りでは、一般のひとの南部のブログでは好ましいとされているけど、政府がガソリンの価格コントロールに乗り出すらしいことには、経済系シンクタンクは、反対してるみたい。1970年代にニクソンが同じことやって失敗したかららしい。
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Unknown (ミサコ)
2005-09-05 22:05:59
時々みさせてもらってます。



ミシシッピやニューオリンズって大学が結構あったと思うんですが、どうなってるんでしょうか?
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Unknown (stone mountain)
2005-09-06 00:07:14
コメント有難うございます。



大体秋セメスターは休講のようです。近隣の大学に避難してきている学生は、そのままその大学に移ることもできるようになっています、少なくとも僕がいたミシシッピ大学では。とにかく大学だけでなく、周辺地域は全面的に受け容れ体制に入ってます。すごくテキパキしている感じです。インターネットも思いっきり活用されています。僕がいた街は、人口1万の小さなところでしたが、そこに既に3000人近くがやってきていて、大学の一部を解放しているのですが、それでは間に合わず、すぐ近くにある、かつてスーパーがあった場所に急遽トイレ、水道を備えて、更に増える避難民に備えています。日本の神戸の時もそうでしたが、人間ってすごいなぁとホント感じます。
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