田中角栄みたいな男を今でも待望している連中は多い。田中が演説していたころ、私は高校生だったが、あれは確かにいま聞いていても、吉本興業よりも、爆笑問題よりもずっと面白い。笑い話として田中は役者でもあった。当時80%の支持率があって、田中が5億円賄賂を貰っても、国民の預貯金に10%も利息が付くならば、政治家はそのくらいは許されると、大半は思っていた。分からないところで汚職しても、少しくらいならいい。ロッキード事件が起きて、マスコミはすべて田中を叩くようになっても、私はそう思っていた。
それが不景気になると、政治家役人の汚職が感に触ってくる。東京都の議員は、60万円の領収書なしの、政務資金を自由に使えるらしくて、これが怪しい公金横領のワースト1になるようだ。景気のいいときはこれは許されるが、不景気になると隣の芝生に胸糞が悪い。
慎太郎自身の支持率が低下しているのもそうで、たかだかだと思うが、1人4万円の料亭に行ったことが不愉快に思われているらしい。じゃ何で京都の祇園料亭は、この100年間維持できたのか不思議である。あんな、さいたま市にも千葉市にも等しい京都ごときに舞妓が今でも相当数いて、養っているのは役人官僚連中である。じゃなければ、さっさと消滅している。
どうせ政治なんてものは、バランスでしかない。東京の今の好景気は、例えば羽田空港の滑走路建設は、慎太郎がいなければスタートしていなかった。ミッドタウンの高層ビルも、同じこと。カラスの削減も、トラックの排ガス浄化もそうである。もちろん東京マラソンも、外人観光客の誘致も、というかファンドの東京投資、外資系ホテルの乱立その他、六本木ヒルズもそうである。だいたい私の同級生で都庁役人が数人いるが、連中は会うたびに「慎太郎のバカヤロウ」といっている。給料のカットと仕事量の増大だからだ。都庁役人はこの30年間ぬくぬくと、鈴木、青島など、いなくてもいい連中の下で仕事やったのかやっていないのか、それで過ごしてきた。慎太郎のように、怖いオヤジ知事が出てきて、役人に不満言われるようじゃないと一人前の知事じゃないというわけだ。
その意味で、慎太郎の右翼思想と、料亭政治を差っぴいたとしても、まだ評価できるというだけのこと。これが民主の海江田とか田丸とか、菅なんてものになったら、もう骨抜きばら撒きで、美濃部程度になることは目に見えている。
是々非々がいいのだ。ある部分は賛成でも、ある部分には反対する。しかし日本人はそれができない。自民が半数いれば、野党などいなくても同じこと。いてもいなくても法案は通過する。ならばせめて、民主が上院下院とも半数占めたアメリカは、それでも共和党ブッシュはイラク増強を推し進めているのは、どう考える? アホな政治学者は「大統領には議会拒否権がある」というが、私もそう習ったが、いや実はそれだけでこんなことが通るとは思えない。イラク反対の民主の中にも、この現時点の増強支持がけっこういる。というのも、今撤退すると、これまでの投下兵力は無駄になる。イラク増強もまだ議会通過の余地があるというわけだ。
自民にいる以上郵政法案には絶対に賛成しろという方が、むしろ大政翼賛会の匂いがして嫌なものだ。こんな簡単な是々非々すら分からないようでは困ると思える。
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