ジュウシマツ(十姉妹)
スズメ目カエデチョウ科キンバラ属の鳥
■data・・・*体長(約12cm) *体重(12~18g) *寿命(3~8年)
十姉妹の名前は、何十羽もの親子姉妹が仲良く一緒に暮らせることに由来すると考えら
れる。ジュウシマツには野生種は存在せず、原種とされる東南アジア産のコシジロキン
バラを中国で品種改良したもので、16世紀ごろ日本に伝来したらしい。
尾が長く、まっすぐなくちばしを持ち、くちばし・羽毛・足の色は多様でバリエーションに富
んでいる。性質はおとなしく、丈夫でとても飼いやすく、鳥飼育初心者にも向いて人気が
ある。繁殖もさせやすく、子育ても上手なため、繁殖の難しい種類の鳥を「仮母」としても
育ててくれることから重宝される。
ジュウシマツは同じカエデチョウ科のキンバラ属に含まれる種のうち、コシジロキンバ
ラ、キンバラなどとは、繁殖能力のある子孫を残すことが可能で、これを利用し、ヨーロッ
パでは日本とは異なる系統のジュウシマツの品種(ヨーロッパジュウシマツ)が産出さ
れている。
■種類
*並ジュウシマツ・・・ポピュラーなジュウシマツで、白地に黒や黄褐色の模様がある。
*小斑ジュウシマツ・・・並ジュウシマツよりも白地部分が多く、頭や背など一部に黒色の
斑模様がある。
*一色ジュウシマツ・・・並ジュウシマツから白い斑がなくなったもので、原種のコシジロ
キンバラに近い格好。羽彩は多様で、黒、薄黒(灰色)、ハバナ(こげ茶色、くちばし
黒)、茶(赤みがかった茶色、くちばし肌色)などに分類される。
*白ジュウシマツ・・・全身白一色のジュウシマツ。
■毛並みによる分類
*梵天(ぼんてん:頭の羽毛が逆立っているもの) *千代田(ちよだ:胸の羽毛が逆立
っているもの) *中納言(ちゅうなごん:後頭部の羽毛が逆立っているもの) *大
納言(だいなごん:頭の周りと胸の羽毛が巻き上がっているもの) *キング(全身の
羽毛が巻き上がっているもの。飛翔能力は弱い)
ラブソング
ジュウシマツは愛玩用家畜(家禽)として飼われ続けたことで、天敵や食料を気にする必
要がないため、雄は複雑な歌い方(囀り)を編み出し雌にアピールするようになった。
一般的に、小鳥の鳴き声は、「地鳴き」と「歌」に分けられる。短いもので2秒程、長いも
のでは数十秒続く「さえずり」を「歌」という。ウグイスでいうと「ホーホケキョ」は「歌」で、
「チャッチャッ」と普段出してる声が「地鳴き」である。ウグイスは「求愛」の時と「縄張り
を主張する」時うたうが、ジュウシマツは縄張りを持たないため求愛の歌のみをうたう。
小鳥の歌は、人間の言語と同じようにいくつかの音素の並びでできていて、その音素
を一定の基準で組み合わせてうたっている。
ジュウシマツは8種類ほどの音素を持っていて、その組み合わせが特に複雑で、うたう
度に異なる配列を取る。
しかもジュウシマツごとに個体差があり、それぞれが自分だけのオリジナルな「歌」を
持っているらしい。しかも、そのうたい方はヒナから成鳥になる間に学習によって獲得
する。その学習法は
*第一段階・・・親鳥など成熟した歌を聴いて、自分の歌の手本となる歌や発声のモデ
ルを造る。
*第2段階・・・実際に出鱈目の歌をうたってみて、第一段階で造った自分のモデルとの
誤差を修正する。
生後35日目くらいからうたい始め安定した歌になるのは120日目くらい。
このように音声自体を学習する動物は、ヒトとクジラ類とジュウシマツなど小鳥しか存在
しないと考えられる。
「十姉妹の囀り」
http://www.youtube.com/watch?v=pp0vDkoF1XY
「囀りの練習をする十姉妹」