佐布里池の梅園で目と心に感動を覚えて、更に梅を訪ねる旅を続けます。
次に向かったのは東海市の大池公園でした。
既に午後3時を過ぎましたので、太陽が傾いてきています。
ラクウショウの影が長く伸びて、木々が豊かな表情を見せていました。
クロガネモチの赤い実が午後の光で赤みを増したように見えます。
斑入りアオキの赤い実が目を誘います。
お目当ての梅林は木々の中の散策路を歩いた先にありました。
市民の憩いの場所になっているようです。
梅林の周囲に、森の梢の上にビルの姿が見えました。
この公園の梅の花は五分咲きでしょうか、海辺より内陸では花が遅いのかもしれません。
梅園から戻る途中で、泰山木が葉を翻し、鉄錆色の葉裏を見せていました。
風が少し出てきたようです。
駐車場に戻ると、公園の案内図が目に止まりました。
どうやら道路を挟んだ向こう側の大窪公園には椿園があるようです。
陽が傾いてきたことですし、次の梅園も気になりますが、ここの椿を今日見落とすと次にチャンスは巡ってこないかもしれません。
「出会ったチャンスは逃さない」が花の旅のモットーです。
モダンな歩道橋を越えて椿園へと足を運びました。
椿園はまだ若い木々が多く、風格は今ひとつですが、次のような掲示物を目にしました。
「ツバキの小径づくり事業 寄贈 ツバキ280本 三洋化成工業㈱創立50周年記念 平成11年11月1日」
最後の1の数字の並びがとってもお洒落です。
そして、そうか! そうだったんですか!
「皆が精一杯働いて、生きて、花を育て、世の人々の暮しにも彩りをもたらす。」
この地方では個人も企業も、皆さんやってらっしゃることが首尾一貫しているようです。
旅の途中で、私が感動し易くなっていることを割り引いても、日本人はまだまだ、捨てたもんじゃないんだ、と嬉しくなってきました。
東北大震災の時に海外メディアが賞賛した、日本人の「自分のためだけでなく、世のため人のため」といった意識は、多分、全国津々浦々に共通しているのだと確信しました。
更に思い致せば、梅も椿も含めて、我が国では古から人々が花を大切に育て、愛しんできました。
この公園では、懸命に汗を流して人生を過ごした人々が、花を愛しむ気持ちを忘れない気風が、この国には綿々と流れ続けていることを、改めて認識させられた気がしました。
※ 他の記事へは 愛知、三重 梅の花旅 index をご利用頂くと便利です。