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USA 砂漠のナイスプロ

2011-07-26 12:26:32 | アメリカ大陸横断 花の旅

 「サンキュー」と赤帽おじさんに手を振ると、おじさんは運転席で前をむいたまま左手を上げて、はしり去ってしまいました。

 

 私はハイウエーを歩いて、車まで戻ると、その辺に落ちていたタイヤの破片を拾って尻に敷き、車の後ろの日陰に膝を抱えて座りこみました。

 

 午前7時50分ごろだったと思います。

 座ったまま、今朝走ってきた彼方を眺めると、道は一直線に地平線まで続いていました。

 

 

 この場所から人の住む所まで、前後100キロ以上は離れているはずです。

 

 赤帽おじさんは多分トリプルA(アメリカ自動車協会)に連絡を取ってくれたでしょうが、最寄の町にオフィスがあったとしても、休日土曜の早朝ですから、作業員はまだ出勤していないでしょう。

 出勤してから、此処へ来るまでに一時間以上は掛かるはずです。

 

 周囲を見渡すと、茫々たる砂漠が広がっているばかりで、他には何にも見えません。

 狼やコヨーテなどは居ないのかな? 取り囲まれたらどうしよう。

 

 

                    

 

 多分、レスキューの到着は昼過ぎだろうと予測して、覚悟を決めました。

 

 少なくとも4時間以上は待つことになるだろうと思いました。

 黙って座っているだけでは芸がないよな~。

 と言って、砂漠をうろついても花など咲いているはずもありません。

 

 所在なく、財布に入っていたレシートを取り出すと、目の前を通過するトラックと乗用車の数を数え始めました。

 トラックは口で一台、二台。乗用車はレシートの裏に正の字で通過する車数を記録していきます。

 

 初めはトラックが圧倒的に多いだろうと思っていたのですが、数えてみれば、乗用車もほぼ同じようなものです。

 トラックは69台、乗用車は64台まで数えました。

 

 

 するとトラックの70台目が途中からハザードランプを点滅して、私の目の前に停まってくれたのです。

 

 時は8時58分。助手席に可愛い少女がちょこんと座っていました。

 多分作業員のお嬢さんでしょう。

 

 

                  

 

 作業員は運転席から降りると、黄色いベストを身に着けて、車の右ドアの上部に工具で隙間を作り、そこから針金を車内に伸ばして、ドアをロックしているノブを引き上げ、まるで何事も無かったかのように、いとも簡単にドアを開けてしまったのです。

 

 

 私は思わず賞賛の声を上げました。

 

 「グッドジョブ、ナイスプロ!」

 

 

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