晴れ渡った空の下、ダウラギリが静かに寛ぐ表情を見せていました。
アンナプル・サウスが微かな朝霧のベールを纏って、微笑んでいました。
プーンヒルの山頂には、壮大なドラマを堪能したトレッカー達が、未だ去りがたい思いで佇んでいました。
ダウラギリの岩壁にヒマラヤ襞が見えています。
アンナプル・サウスの雪壁には雪崩の痕が見えます。
目の前で穏やかな表情を見せる峰々は、実は容易に人を寄せ付けぬ神々の庭なのです。
オランダから来た3人組と顔を合わせ、目と目で「素晴らしかったですね」と肯き合いました。
私は誘われるままにカメラを渡し、サンスクリット語で豊穣の女神を意味するアンナプルナ山群を背に、シャッターを押してもらいました。
帰路に付く頃は、陽の光が谷の中へ届き始めていました。
空に鷲が舞い始めました。
目の前に青く凍ったアンナプル・サウスを見ながら、シャクナゲと針葉樹との混交林の中に続く、雪の道を下ります。
見下ろす先に、朝を迎えたゴレパニ村が見えてきました。
暗闇を登る時は夢中だったのですが、雪の道は滑りやすく、トレッカーはすり足で山を下ってゆきます。
左手に、サンスクリット語の「白い山」を意味するダウラギリが、今はその名の通りの白い姿で、トゥクチェピーク(6920m)を従えていました。
途中で何度も立ち止まってダウラギリの姿を目に焼き付けました。
プーンヒル登山口にあるチケットカウンターまで下りて来ました。
ガイドブックに記載は無かったのですが、今朝はここで、50Rsを払って登り始めました。
財布を持って来たからよかったのですが、そうでなければもう一度GH(ゲストハウス)まで戻らされるところでした。
プーンヒルへ登られる方はどうぞご注意下さい。
その先の村へ続く道に、見事なシャクナゲの巨木が枝を広げていました。
僅かに花を付けた枝先に、アンナプルナ・サウスが白く輝きます。
本当は、「枝一面に、真っ赤に咲き揃った花の奥で、真っ白な峰が輝く」みたいな写真を撮りたかったのですが・・・
次のチャンスへと余韻を残すことになりました。
鬼が笑おうとも、私は100歳まで生きるつもりですから、まだまだチャンスはあるはずです。
8時少し前にゴレパニ村に下りてきました。
GHで朝食を摂って、今日はタダパニへ向かう予定です。
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