オーストラリアンキャンプからハグルン自動車道のカンデ(「地球の歩き方 ネパールヒマラヤ トレッキング」にはカーレと記されています)までは高度差300メートル程の下りを残すだけです。
東方にポカラのフェワ湖らしい湖面が、霞んでいました。
丘を下る道は村人の生活道路です。
道を下るにつれて、周囲は住宅地の雰囲気になってきました。
そして13時を僅かに過ぎた頃、ハグルン自動車道の合流点となるカンデに到着しました。
商店が並び、タクシーが客待ちをしています。
一週間以上も山中で過ごしてきた私の目には、このカンデが結構な規模の街に見えます。
下りてきた丘を振り返ると、拍子抜けするほど凡庸な表情の森が佇んでいました。
ヒマラヤトレッキングとしての行程はこの地点で無事終了となりました。
終わってみれば、その時はいつも「あっそうだったの」的な感慨しかありません。
無事に山を下りて来たそのときは、「平凡な人生だったな~」みたいな気分になるのはどうしてなのでしょう。
無事に過ぎれば、次の旅路しか見えなくなる為かもしれません。
カンデからポカラまではバスが走っています。
そして客待ちのタクシーから繰り返し勧誘されましたが、私はそれらには目もくれず、ハグルン自動車道をポカラへ向かって歩き始めました。
陽射しが強く、額に汗が滲みます。
ジョムソン方面に向かう極彩色のトラックが通り過ぎて行きました。
山登りから、何時もの旅人に戻ったような、
詩を書く作業から、散文を書く作業に戻ったような、そんな気分です。
「つ」の字形に曲線を描く自動車道をショートカットする村の道を見付け、ホケダンダ村の中へ下って行きました。
民家の間を抜けて行きます。
暫く下ると、迂回してきたハグルン自動車道が足元に見え、サランコットへと続く尾根が正面に望めました。
新しい状景に巡り合える期待に気分が昂ってきました。
民家の庭先で、熱帯地方に育つヒメフヨウが赤い花を咲かせていました。
ここは標高1600m程ですが、今朝出てきたトルカよりも、この標高としては気温が高い気がします。
アカマンマ(イヌタデ)のような花が路端を飾っていました。
人里に咲く花は、山野と異なるのは何故なのでしょう。
フェワ湖へ流れ込む川の水源の谷に、段々畑と同じ景色で棚田が積み重なっていました。
再びハグルン自動車道に出て、屋根の上に人を乗せた、いかにもネパールらしいジープを眺めながら、サランコットへと道が分岐するナウダンダを目指しました。
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