ブログ・プチパラ

未来のゴースト達のために

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子どもが泣き止まない-ハローワークにて

2009年12月08日 | 労働・福祉
失業中なので、職探しにハローワークへ行く。
コンピュータで求人検索していると、隣のおっちゃんが検索しながら、軽くため息をついたり、聞こえないくらいの小ささで舌打ちしたりするのが聞こえてくる。

がんばれよ、おっちゃん。
ていうか俺ががんばれ。

周りには私と同年齢の30代くらいの者も見えるし、女性も多いようだ。
これほど多くの人たちが、就職活動しているうちに、精神的にすり切れてしまわないか心配になる。

紹介状をもらうため、窓口で番号札をもらい、椅子に座って待つ。
待ち時間は、30分ほど。
途中、外に出て煙草を吸う。

待っている途中、子どもの泣き声が鳴り止まない。
フロア-の端で、求人検索をしている若いお父さんに抱きかかえられている子どもが、むずかっている様子である。

しばらくすると、側に若いお母さんがやって来て、子どもを引き取って抱いたが、それでも断続的に、子どもは泣き声をあげるのでやりきれない。お父さんとお母さんは茶髪で、どちらかというとヤンキー系だ。

その子どもの泣き声を聞きながら、私は椅子に座って、岩波新書の宮本太郎『生活保障』という本を読む。最近、阪急石橋駅の近くの本屋で購入したものだ。

宮本太郎氏の著作は、前著である『福祉政治』という本がよかったので、今回の新書も読んでみたのだが、この『生活保障』という本は、特に前半部分、内容が前著と重なっている部分が多い。

スウェーデン福祉の考え方や仕組み、それと金融危機後の最近の機能不全まで書いている。日本の「これから」に参考になる。

後半部は、宮本太郎氏の政策提言、というより、そのおおもとになる枠組みのようなものがいくつか示されており、日本が進むべきなのは、こういう方向がいいだろうという示唆であることはわかる。が、事柄がかなり羅列的に書かれているので、前半部と比べると私には読みづらかった。

新書という小さなお弁当箱に、多すぎるメニューをぎゅうぎゅう詰め込んでいる感じがした。

私には、歴史や論理の流れを追いやすいという点では、前著『福祉政治』のほうが読みやすかったと思う。

けれども、この本(宮本太郎『生活保障』)は、これを読んだ政治家や官僚が、もうちょっと詳しいことを聞きましょう、ということで著者を会議などに呼んで、実効的な政策を考えるヒントにしていく、というプロセスの一つになるだろう。

実際、著者の宮本太郎氏は、政府が主宰する審議会やなんとか会のメンバーになることが最近多いようだ。私もこうして政府内に著者の知見が浸透していくことを期待したい。

けれども、いま心配なのは、年末、年度末の失業者の増加がどのような結果をもたらすのかということだ。
ハローワークに来ている人たちが、仕事が見つからなかったらどうなるのか心配になる。

最近、ハローワークで試行的に「ワンストップサービス」というのを行ったみたいだけど、あれはどれくらい恒常的な制度になるのだろうか。
私も、ハローワークで一度質問してみたことがある。
窓口の方は親切に答えてくれたのだが、私はどうも要領を得なかった所があったので、帰って来てネットで調べてみると、どうも今回の「ワンストップサービス」は、11月30日の一回きりだったいみたいだ。
しかし、12月にまた一回やるとも言う。

失業、多重債務、住居、生活保護などの相談をまとめて行ってくれる「ワン・ストップ・サービス」という仕組みが出来つつあるらしい、という話を聞いて、私は以前見た『マル激トーク・オン・ディマンド』の自殺特集の番組を思い出した。

NPOライフリンク代表の清水康之氏が出演していて、番組内でそういうサービスが必要だ、と言っていたのを思い出し、それと似ているな、と思ったのだ。

久しぶりに『マル激トーク・オン・ディマンド』のページを開いてみた。
最近では2009年10月24日の番組に、ライフリンクの清水康之氏が出演してる「今、自殺対策は政治の出番だ」というのがあったので視聴してみた。

11年連続、年間自殺者3万人を記録しつづけている日本だが、今年の年末・年度末は、かなりひどいことになりそうだ。
何よりも先に必要なのはこうした予測される事態への対策だろう。

この番組を見て、私は清水氏が提案している「連携のフローチャート」のリーフレットが素晴らしいと思った。

ハローワークにせよ市役所にせよ、それぞれの窓口が、専門外の問題を抱えた人が来た時に、その人を確実に各種の支援のつなげていけるような仕組みを作る必要がある。

「連携のフローチャート」というのは例えば、派遣切りで仕事を失った人が、そのチャートを見れば、自分の条件に照らし合わせて辿っていくだけで、何らかの支援策にたどり着けるようになっている、そのような利用者本位のパンフレットのことだ。

これを一覧すると、利用者は、各種支援策のうち、使い勝手のいいものから順順に出会えるようになっている。

これは素晴らしい、なんで私の通っているハローワークは、早くこのような便利なパンフレットを作ってくれないんだ、と不満に思っていたら、すでに厚生労働省のホームページには、このようなリーフレットがダウンロードできるようになっていることを発見した。

厚生労働省のトップページで、「仕事、住まい、生活にお困りの方へ」というボタンを押すと、ライフリンクの清水氏が提唱していたような形で作られた、「新しいセーフティネット支援ガイド」というリーフレットとパンフレットを見ることが出来る。

これを見たときは、おお、厚生労働省も早いな、なかなかやるな、と思った。が、もう少し調べてみると、すでにNPOライフリンク代表の清水康之氏らは政府と連携していて、11月27日に「自殺対策100日プラン」というのを発表していた。私はそんなこと全然、知らなかった。清水氏のアイディアはもう政府の中で動きはじめていたのである。

関連記事:宮本太郎『生活保障』-ちょっと難しすぎるという人のために 2009年12月08日
関連記事:ハローワークの「ワン・ストップ・サービス」はいいと思った。でも現場は… 2009年12月21日
関連記事:政治の目的は「不幸の最小化」-管直人氏 2010年01月14日
(→政府が自殺対策に乗り出すというのは、管直人氏の「不幸の最小化」という考え方の具体化、という側面があるだろう。)