シカゴは悲しみに包まれている。
2月13日火曜日午後1時半ごろ、一人の警官が職務質問をした男に複数回撃たれて殉死した。
彼はまだ53歳だった。
地域の安全を常に願い、職務の合間に地元の人たちとタウンミーティングを開くような、熱血漢だったという。
その日、その時私はちょうどその近くにいた。
今書いている原稿のヒントを得るために、建築財団が主催するウォーキングツアーに参加中だった。
寒い日だったので参加者はたったの3人、ガイドを入れておばちゃん4人で建築物を見ながら街を歩いていると、けたたましいサイレンの音とともに今まで見たこともないような数のパトカーが街を通り抜けて行った。
あまりにサイレンがうるさいのでツアーはしばし中断を余儀なくされ閉口していたが、そのうちにこれは尋常じゃないと緊張が走った。
空にはヘリコプターがホバリングしている。
「事故かしら?」
「これはタダの事故じゃなさそうですね。テロ?」
それでもツアーはつつがなく続き、次のアポイント先でようやく事の真相を知ったのだった。
Chicago police commander gunned down in Loop pursuing a suspect
事件が起こったのは、街の中心部にあるトンプソンセンターという州政府ビル付近。
ポール・バウワー警察司令長官は不審な人物を見かけて追跡、もみあいになった際数発の銃弾を受けた。
すぐに病院に搬送されたが死亡。亡骸はブルーのライトをともした数百台のパトカーに誘導され、警察の医療施設に搬送された。
バウワー長官に哀悼の意を表し、シカゴのスカイラインはシカゴポリスの青色に染まった。