photo by BARKS (http://www.barks.jp/)
最近文化的活動をしていないことにはたと気づき、クィーン(“QUEEN & PAUL ROGERS”)を見に行くことにした。
私は実は、そんなに彼らのファンだったわけではかった。存在は知っていたものの、中学生当時は彼らの音楽がとても遠く感じたし、そうこうするうちにフレディーはこの世を去り、熱狂的なファンのようには彼の死を悼むわけでもなかった。
それでも時を経て、彼らの音楽に純粋に接する機会が触れるにしたがい、その宇宙的ともいえる奥深さにたちまち引きずり込まれていった。
でも、フレディーはもういない。
QUEENはもはや、“現存”しない存在となってしまっていた。
今日はそんなQUEENとの、奇しくも遅すぎる“最初の”出会いとなった。熱狂するでもなく、立ち上がるでもなく、とにかく今日はじっくりと純粋に音を楽しもう、とのぞんだ。
フレディーの替わりというプレッシャーの中、この大役を担ったヴォーカルのポール・ロジャースは、純粋に歌い手として申し分なく上手かった。
(彼を見るのは2年前、アメリカで見た「BOSTON」のOpening Actでの「Bad Company」以来だ。)
ファンならいろいろ言いたいこともあるだろうけれど、私はポールが“自分は自分”という歌唱を楽しんでいた気がする。ベテランのなせる懐の深さ、そして何よりも彼らとの信頼関係があってこそだろう。
ライブの構成も“QUEEN”と“PAUL ROGERS”という棲み分けをきっちりとしていた。純粋にQUEENを楽しみに来た人にはいまいちだったかもしれないけれど、私にはむしろこのWe will Rock U な構成が楽しかった。
大ファンでもない私が、それでも不覚にも涙を流した瞬間―それはロジャー・テイラーとブライアン・メイがアンプラグドで数曲、せり出しの舞台上で歌ってくれたとき。
そう、歌った、じゃなくて、「歌ってくれてありがとう!」という感情が心のそこから沸き起こってきた。
ロジャーの声は少ししゃがれた私好みのセクシーヴォイス。方やブライアンは信じがたいほどの音域と堂々たる声量。この年齢にしてどうしてこんな声が出るのかと驚愕した。そしてときどき、フレディーが乗り移っていた。
「フレディー、君は今もここにいるよ」ロジャーがつぶやいたこの一言でもう、涙、涙・・。
本当にフレディーはいたんじゃないだろうか。
ラストソングの「ボヘミアン・ラプソディー」。前半は大スクリーンに在りし日のフレディーが映し出され、ピアノの弾き語りを聴かせてくれた。観客全体が、息を呑んでスクリーンの彼を見つめる。この大観衆の一人ひとりは今、どんなことを考えながらこれを聞いているのだろう・・・。
2時間半、観客が一体となったすばらしいライブ。
心からありがとう、QUEEN。
ブライアン、あなたは世界一のギタリストです。
SET LIST
・Reaching Out
・Tie Your Mother Down
・Fat Bottomed Girls
・I Want To Break Free
・Wishing Well
・Crazy Little Thing Called Love
・Say It's Not True ・・・なんて美しいんだ!
・'39
・Long Away
・Love Of My Life
・Teo Torriatte (Let Us Cling Together)
・Hammer To Fall
・Feel Like Making Love
~Drum Solo ~ Let There Be Drums
・I'm In Love With My Car
~Guitar Solo~
・Last Horizon
・These Are The Days Of Our Lives
・Radio Ga Ga
・Can't Get Enough
・A Kind of Magic
・I Want It All
・Bohemian Rhapsody
アンコール
・I Was Born To Love You ・・・ロジャーとブライアンがふたりだけでしっとりと歌う。観客の大合唱がまさにゴスペル(泣)
・The Show Must Go On ・・・ 個人的には一番好きだった。
・All Right Now
・We Will Rock You
・We Are The Champions
・God Save The Queen