機械は、脆い。
金属は磨耗し、錆び付き、疲労し、
油は汚れ、
樹脂はたやすく割れ、
ゴムは裂け、
半導体は劣化する。
整備に追われ、維持に汲々とする日々。
「健康な生身」、そのごく当たり前の事がどれ程驚異的な事であろうか。
生き永らえる為に、吸血鬼化ではなく機械化を少佐は選択した。
それは恐らく、日常生活に大幅な制限をされた病人とそれほどの環境の違いはあるまい。
戦争を始めるという事は、それを放棄する事だ。
そして彼は「機械」を「戦う手段」としては選択しなかった。
改めて問いたい。
「人間」とは何だろうか。
「抵抗し」、「足掻き」、「押して忍び」、「薙ぎ倒し」、「乗り越え」、「打ち倒す」。
全て「生きる意志」だ。
以前にも書いたが、また書く。
化物とは「諦めた者」だ。
「人間として」生きる事を諦めた者だ。
そして諦めた事に耐えられぬが故に、
失ったものの大切さに気付かされるが故に、
他者の命を、希望を、絶望を、意志を喰らう。
人間は、耐える。
人間は、何処にでも住み着くし、どんな時でも笑う。
如何なる環境、境遇であっても、だ。
本当に何時だって笑えるのだ。
それが「人間として生きる」事なのだと思う。
だが、如何なる環境、境遇であっても争いが絶える事がないのも人間である。
少佐は言う。
「君も私とは違うと思っている」
これはインテグラ、少佐、お互いの立場で考えると二通りの受け止め方ができる。
恐らく、意図的に多重的な言い回しをする事で相互理解の齟齬を浮き彫りにし、争いの本質を端的に表現しているのだ。
お互いに真正面から対峙し、撃ち合う二人。
銃弾がインテグラの左目を掠めた。
「初めて当たったぞ!!」
「良い戦争だった」
満足したのか。
機能停止したのか。
崩れ落ちると同時に周囲は炎に包まれた。
彼は「勝者」なのだろうか。
それとも「敗者」なのだろうか。
以下次号。
金属は磨耗し、錆び付き、疲労し、
油は汚れ、
樹脂はたやすく割れ、
ゴムは裂け、
半導体は劣化する。
整備に追われ、維持に汲々とする日々。
「健康な生身」、そのごく当たり前の事がどれ程驚異的な事であろうか。
生き永らえる為に、吸血鬼化ではなく機械化を少佐は選択した。
それは恐らく、日常生活に大幅な制限をされた病人とそれほどの環境の違いはあるまい。
戦争を始めるという事は、それを放棄する事だ。
そして彼は「機械」を「戦う手段」としては選択しなかった。
改めて問いたい。
「人間」とは何だろうか。
「抵抗し」、「足掻き」、「押して忍び」、「薙ぎ倒し」、「乗り越え」、「打ち倒す」。
全て「生きる意志」だ。
以前にも書いたが、また書く。
化物とは「諦めた者」だ。
「人間として」生きる事を諦めた者だ。
そして諦めた事に耐えられぬが故に、
失ったものの大切さに気付かされるが故に、
他者の命を、希望を、絶望を、意志を喰らう。
人間は、耐える。
人間は、何処にでも住み着くし、どんな時でも笑う。
如何なる環境、境遇であっても、だ。
本当に何時だって笑えるのだ。
それが「人間として生きる」事なのだと思う。
だが、如何なる環境、境遇であっても争いが絶える事がないのも人間である。
少佐は言う。
「君も私とは違うと思っている」
これはインテグラ、少佐、お互いの立場で考えると二通りの受け止め方ができる。
恐らく、意図的に多重的な言い回しをする事で相互理解の齟齬を浮き彫りにし、争いの本質を端的に表現しているのだ。
お互いに真正面から対峙し、撃ち合う二人。
銃弾がインテグラの左目を掠めた。
「初めて当たったぞ!!」
「良い戦争だった」
満足したのか。
機能停止したのか。
崩れ落ちると同時に周囲は炎に包まれた。
彼は「勝者」なのだろうか。
それとも「敗者」なのだろうか。
以下次号。