たまには今どきの作品(かつSFでないもも)を読もうかなぁということで本書を手に取りました。
といっても本書2006年刊行ですからそれほど新しくはないんですけれどもね...。
もっとも著者の処女作となる本作ですが、”当初原稿を持ち込んだ多くの出版社には認められず、縁あって2006年にサブカルチャー系の太田出版から書き下ろしで発表された”(wikipediaより)ようで最初は認められなかったようです。
2009年に講談社で文庫化されてから話題になって売れ出したようですのでまぁ一般的には2010年代の作品とも言えますかねぇ。
岡田准一主演の映画が2013年で世の中では話題になっていたようですからまぁ…私の読む本としては新しい部類に入るかと。
今どきの話題になって売れる小説は「面白いんだろうなぁ」という認識は持っていて、本作も気になってはいました。
会社の友人に数年前「おもしろかった!」とも進められてもいましたし…。
ただ「みんなが読む小説を同じタイミングで読みたくない」という天邪鬼な面もあったりして読むのがこのタイミングとなりました。
本は今
年ブックオフで108円で購入しました。(まぁ入手も安くなりますし)
本作の著者百田尚樹氏、2012年以降最近までいわゆる「右より」な発言で物議を醸しています。
「作品」と「作家」は関係ないとはいえ本作のように、太平洋戦争を題材にしたセンシティブな作品だと一定のイメージがつくのは否めない気がします。(なお私の政治スタンスは…ノンポリです(笑))
そんなこともちょっと時間を置いて読むと客観的に作品を見られる(もしくは偏見?)ということかなぁと思ったりしています。
内容紹介(裏表紙記載)
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
とりあえずの感想、よく売れたのがよくわかりました。
構成がとてもうまく先が気になりどんどん読み進めてしまい最後は涙もウルウルしました。
(歳とともに涙腺ゆるくなっています。)
今どきの小説はやはり面白いですね。
ただ…これが20年、30年持ちこたえられるかどうかは時代経ないとわからないですが。
本作ほどの作品だと現代の空気感を反映していわゆる「受ける」書き方を十分研究して書かれていると思います。
良くも悪くもそれが「今」読むとアドヴァンテージにはなってはいるかと思いますがそのアドヴァンテージが抜け落ちてからも価値が残るかどうかがいわゆる時代を超えた名作かどうかの分かれ目と思います。
まぁなかなかそんな作品はないのも事実なんですけどねぇ。
(読む人の年代にもよりますし)
本作は前述のとおり、孫がゼロ戦乗組員であった祖父の足跡を関係者のインタビューでつないでいくという構成で、最初は「とんでもなく情けない人」という印象の祖父の真実の姿が明らかになっていくところなどなんともうまい!!
インタビューそれぞれが独立した話になっているので連作短編っぽくなっていて「感動」させるには一番向く構成ですね。
(SFでいえば「火星年代記」「都市」などなど)
まぁ逆にいえばいかにも「感動させてやろう」というのがあざといとも言えるんですが...。
また登場人物も割とわかりやすい人が多く単純明快(最後の方に出てくるやくざの大物など特に)で類型的過ぎるかなぁとは感じましたが…。
いわゆる「文学」な作品ではなく「面白さ」重視かと思うのでこれはこれでいいんでしょうね。
著者は本作が処女作なわけですが放送作家経験が生きていたんでしょうか、とても達者です。
そう考えると場面場面「映像的」な表現のような気もします。
太平洋戦争の各局面、航空隊の実態などもかなり取材、調査した感もあり戦後70年経った2006年に出された本書は太平洋戦争の実態(の一部)を広く知らせるという意味でも意義深いものかと思います。
(私は結構太平洋戦争もの好きでその手のもの昔よく読んでいました。山本七平だったりしたので若干偏っていますが)
ただ主人公(現代の方)の姉の婚約者の新聞記者(左系想定と思われる)の造形はいかがなものかなぁ...とは思いました。
この著者の作品は本作しか読んでいないので著者に対する評価はなんともいえませんが、本作とてもおもしろかったです。
とくに「おじさん」泣かせと感じました。
お薦めです。
↓わたしも涙腺よわ~いという方もその他の方もクリックいただけるとありがたいです!!!コメントも歓迎です。
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といっても本書2006年刊行ですからそれほど新しくはないんですけれどもね...。
もっとも著者の処女作となる本作ですが、”当初原稿を持ち込んだ多くの出版社には認められず、縁あって2006年にサブカルチャー系の太田出版から書き下ろしで発表された”(wikipediaより)ようで最初は認められなかったようです。
2009年に講談社で文庫化されてから話題になって売れ出したようですのでまぁ一般的には2010年代の作品とも言えますかねぇ。
岡田准一主演の映画が2013年で世の中では話題になっていたようですからまぁ…私の読む本としては新しい部類に入るかと。
今どきの話題になって売れる小説は「面白いんだろうなぁ」という認識は持っていて、本作も気になってはいました。
会社の友人に数年前「おもしろかった!」とも進められてもいましたし…。
ただ「みんなが読む小説を同じタイミングで読みたくない」という天邪鬼な面もあったりして読むのがこのタイミングとなりました。
本は今
年ブックオフで108円で購入しました。(まぁ入手も安くなりますし)
本作の著者百田尚樹氏、2012年以降最近までいわゆる「右より」な発言で物議を醸しています。
「作品」と「作家」は関係ないとはいえ本作のように、太平洋戦争を題材にしたセンシティブな作品だと一定のイメージがつくのは否めない気がします。(なお私の政治スタンスは…ノンポリです(笑))
そんなこともちょっと時間を置いて読むと客観的に作品を見られる(もしくは偏見?)ということかなぁと思ったりしています。
内容紹介(裏表紙記載)
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、1つの謎が浮かんでくるーー。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
とりあえずの感想、よく売れたのがよくわかりました。
構成がとてもうまく先が気になりどんどん読み進めてしまい最後は涙もウルウルしました。
(歳とともに涙腺ゆるくなっています。)
今どきの小説はやはり面白いですね。
ただ…これが20年、30年持ちこたえられるかどうかは時代経ないとわからないですが。
本作ほどの作品だと現代の空気感を反映していわゆる「受ける」書き方を十分研究して書かれていると思います。
良くも悪くもそれが「今」読むとアドヴァンテージにはなってはいるかと思いますがそのアドヴァンテージが抜け落ちてからも価値が残るかどうかがいわゆる時代を超えた名作かどうかの分かれ目と思います。
まぁなかなかそんな作品はないのも事実なんですけどねぇ。
(読む人の年代にもよりますし)
本作は前述のとおり、孫がゼロ戦乗組員であった祖父の足跡を関係者のインタビューでつないでいくという構成で、最初は「とんでもなく情けない人」という印象の祖父の真実の姿が明らかになっていくところなどなんともうまい!!
インタビューそれぞれが独立した話になっているので連作短編っぽくなっていて「感動」させるには一番向く構成ですね。
(SFでいえば「火星年代記」「都市」などなど)
まぁ逆にいえばいかにも「感動させてやろう」というのがあざといとも言えるんですが...。
また登場人物も割とわかりやすい人が多く単純明快(最後の方に出てくるやくざの大物など特に)で類型的過ぎるかなぁとは感じましたが…。
いわゆる「文学」な作品ではなく「面白さ」重視かと思うのでこれはこれでいいんでしょうね。
著者は本作が処女作なわけですが放送作家経験が生きていたんでしょうか、とても達者です。
そう考えると場面場面「映像的」な表現のような気もします。
太平洋戦争の各局面、航空隊の実態などもかなり取材、調査した感もあり戦後70年経った2006年に出された本書は太平洋戦争の実態(の一部)を広く知らせるという意味でも意義深いものかと思います。
(私は結構太平洋戦争もの好きでその手のもの昔よく読んでいました。山本七平だったりしたので若干偏っていますが)
ただ主人公(現代の方)の姉の婚約者の新聞記者(左系想定と思われる)の造形はいかがなものかなぁ...とは思いました。
この著者の作品は本作しか読んでいないので著者に対する評価はなんともいえませんが、本作とてもおもしろかったです。
とくに「おじさん」泣かせと感じました。
お薦めです。
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