しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

アンのゆりかご 村岡花子の生涯 村岡恵理著 新潮文庫

2014-05-26 | ノンフィクション

朝の連ドラ「花子とアン」にはまりだし。
気になってドラマの「原案」である本書を買ってしまいました。
珍しく新品(笑)

花子とアンにつられて...」でも書きましたが、割と乙女な(気持ち悪い?)私は新潮文庫の村岡花子訳「赤毛のアン」シリーズを愛読していたので楽しく読めました。

村岡花子氏 赤毛のアンの解説で知っていただけなので、なんとなく「上品そうな人だなぁ」という印象以外どんな人かまったく知りませんでした。

内容(裏表紙記載)
戦争へと向かう不穏な時勢に、翻訳家・村岡花子は、カナダ人宣教師から友情の証として一冊の本を贈られる。後年「赤毛のアン」のタイトルで世代を超えて愛されることになる名作と花子の運命的な出会いであった。多くの人に明日への希望がわく物語を届けたい―――。その想いを胸に、空襲のときは風呂敷に原書と原稿を包んで逃げた。情熱に満ちた生涯を孫娘が描く、心温まる評伝。

村岡花子氏の孫にあたる村岡恵理氏が書いているということで「鋭く突っ込む」という感じではなく、親族が書いた評伝特有の愛にあふれた評伝となっています。

同じ評伝でも最相葉月の描いた「星新一」などはもっと突っ込んでドロドロした面を出していますが、星新一ほどに確固とした作品世界が出来上がっているわけではなく、一応児童小説に分類されている「赤毛のアン」の翻訳者の評伝ですのでそれでいいのではないかなぁと思います。

花子の親、兄弟や結婚のいきさつなどを突っ込んだらもっとドロドロしたものも出てきそうですがそこまでやられるとちょっと...な感じですしねぇ。
実際の「花子」の家は甲府(いられなくなった)ではなく大森に出てきているのですが、朝の連ドラでは甲府に残ったまま、貧しいながらも大家族でまぁ普通に農家を営んでいるように描かれていますがその辺も朝からドロドロしたくないという意図があったのかもしれませんね。
実家の件を除けば朝の連ドラはこの本の設定つかって作られているとは思いました。

ドラマでも感じましたが明治期の「東洋英和」の英語教育すごいですね。
当時のエリートは徹底的に教育されるし。
また優秀な人はいろんな人が助けてくれるというのも明治期に特有なところですね。
一方で貧富差やら華族のお家の事情などはなかなか大変そう。
また大正から昭和にかけての女性文壇、女性の地位向上運動などあまり読む機会もなかったので新鮮でした。

ネットで見ると「文章が素人っぽい」等批判もあるようですし、「鋭い」視点はないかとは思いますが明治末貧しい家から出て知識階級に属することになって大正、昭和(戦前、戦後)を生きた「村岡花子」氏の人生はなかなか魅力的で楽しく読めました。

「花子とアン」の脚本の中園ミホ氏の「村岡花子氏はアンにかなり自分と似たものを感じていたのではないか」という認識も「確かにそうかもしれない」と思わせる内容ですね。

すっと読めて面白かったです。


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