しろくま日記

読んだ本の感想を記録してみたいと思います。
なんだか忘れてしまうので。

虚航船団 筒井康隆著 新潮文庫

2014-04-19 | 日本SF

虚人たち」で若干ネガティブな評価をしましたが...。
なんだか気になる「筒井康隆」ということで本作を手にとりました。
これも「虚人たち」同様に昨年ブックオフで入手していました、105円。

06SFマガジン日本長編ベストでは20位となっており、筒井作品で一番上位にランクされています。
筒井康隆の「最高傑作」と評価する人も多いようですね。

本作ちらちらっとタイトルを目にすることはありましたが私の意識の中に入ってきたのはごく最近です。

1984年に新潮社の「純文学書き下ろし作品」として刊行されています。
かなり気合が入っていたようで他の執筆を断って数年がかりで書き上げた力作だそうです。
確かに約570ページに渡りほぼ改行なく

ぎっしりと書かれていて読むのに相当疲れました...。
途中で「漂流ネットカフェ」に逃げたりしました。

内容(裏表紙記載)
鼬族の惑星クォールの刑期999年6月3日、国籍不明の2基の核弾頭ミサイルによって国際都市ククモが攻撃され、翌4日、無数の小型単座戦闘艇に乗ったオオカマキリを従えた文房具の殺戮部隊が天空から飛来した。それはジャコウネコのスリカタ姉妹の大予言どおりの出来事だった―――。 宇宙と歴史のすべてを呑み込んだ超虚構の黙示録的世界。 鬼才が放つ世紀末への戦慄のメッセージ。

とりあえずの感想「スゴイ作品....だけども....」。
またよくわからない感想ですが(笑)。

本作、三部構成になっていて「第一章 文房具」は宇宙船に乗り組んでいる擬人化された文房具の紹介と鼬族が住む惑星クォール侵攻を命令されて赴く所まで。
「第二章 鼬族十種」は文房具戦に侵略される惑星クォールの侵略開始直前までの歴史。
世界史の教科書のパロディな感じなのですが、これが読むのにとても苦労しました。

世界史の教科書なら事実なのでそれなりに楽しいのですが....空想だし鼬だし…。
「第三章 神話」は、文房具戦に侵略される惑星クオール、文具・鼬たちを描いています。

なお擬人化された文房具と鼬は私は「そういうものだ」と思って読んだので違和感は感じませんでした。

「第一章 文房具」はそれなりに楽しんで読め、「第二章 鼬族十種」のつまらなさを耐え続けてなんとか読み進み、第二章の終わりくらいから面白くなってきて、「第三章 神話」の前半くらいで第一章、第二章の伏線をすべて使って畳み込むような展開に圧倒され「これは世界レベルでの傑作SFかもしれないと」感じてぞくぞくしていたのですが...。
第三章の中盤以降から、筒井康隆本人が作中出てきて「ん?」と思い、登場人物(文房具?)が「メタフィクションだー」ということで4ページ先に飛ばされるような楽屋落ち的描写でどうにも興ざめしてしまいました。

「この辺の描写」がいいという人もいるようですが...私は受け付けられませんでした。

日本の長編小説にありがちなウェット感がなくとてもドライにカッチリと組み上げられていて最後の私小説的要素がなければ物凄い「傑作小説」になったような気がするのですが....惜しい気がしました。

「純文学」ということで無理に入れたんでしょうかねぇ?
入れないとエンターテインメントにはなりそうですし。

というわけで私的には残念感があるのですが、前段の執拗な伏線と最終章で壮絶な最期を迎えていく文房具と鼬たちには圧倒されました。

いろいろ毀誉褒貶のある作品のようですが、私は傑作だと思いました。
(残念ながら「大」傑作ではないかなぁ...惜しい)


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして。 (読書ログ)
2014-04-21 11:04:51
私は「読書ログ」という読んだ本の管理やレビューを書くサイトの運営をしています。

ブログを拝見したのですが、ぜひ読書ログでもレビューを書いて頂けないかと思い、コメント致しました。

トップページ
http://www.dokusho-log.com/

こちらでメンバーたちのやり取りの雰囲気がご覧になれます。
http://www.dokusho-log.com/rc/

また、本を本棚に入れていくだけでグラフが作れます。
http://www.dokusho-log.com/profile/dokusholog/

読書が好きな人同士、本の話題で盛り上がっています。
もしよろしければ遊びにきて頂ければと思います。

よろしくお願い致します。
返信する
Re:はじめまして。 (shirokuma_2007)
2014-04-21 23:10:12
読書ログ拝見しました。
なかなか興味深いですが40オヤジにはどう活用するかが難しいですねぇ。
考えてみます...。
返信する
ご返信ありがとうございます。 (読書ログ)
2014-04-28 10:03:36
当サイトを見てくださったのですね!
ありがとうございます。
参加していただけたらとても嬉しいです。
スタッフ一同、お待ちしております。
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