以前、大岡様が2007-10-23 17:16:48 のコメントで紹介して戴きました。 買おうかどうか迷っておりましたが、最近SIMO様の音読み問題を解いて駄目だったので、購入することにしました。出版社のサイトがあったので、FAXと振り込みで申し込みましたら翌日配達されました。今は、AMAZONでも売っています。
まだ、少し眺めただけですが、この本は、1級学習には強力なツールと思います。気づいた点をいくつか。
1, 「辞典」完全準拠
「辞典」の親字と同じ漢字が載っています。音符で配列した先行サイトである「新漢字辞典」や先行書の「NEW TYPE漢字典」には、第2水準までしか載っていません。1級配当は、第3水準等も少し含みますので、この本は、1級学習には有益です。
2,字体が教科書体で、大きい
漢検学習では字体が気になるところですが、教科書体ですからこの通り書けば正解になります。また、親字の大きさも約1糎で、「辞典」や「必携」よりも大きく、老眼の身には助かります。
3, 音符数は類書中最大と思う
音符は912。単体では記号のような字素152も採用したとのことであり、会意文字や象形文字の一部も含まれています。また、白川氏の「常用字解」や「字統」に音符(声符)として明記されているものを主体にしたとのことで、所々に、字源の注記があり、「字統」などを可成り読み込まれたと拝察します。
例えば、(シュウ)という音符が採録されています。 なんて漢字あるのかなと思って、辞書を引くと「大漢和」にも「字統」にも載っています。そして、本書には、の音符字として、器(キ)、囂(ゴウ)が載っています。
囂は、「過去問情報」によると、かまびす(囂)しい5-2K、喧喧ごうごう(囂囂)8-1K、囂囂(ごうごう)14-1Yで出題されています。器も囂も、会意ですので、は、音符ではありませんが、二つの漢字を関連づけて、器の大を頁に変えると囂となると憶えておけば、定着しやすいものです。この本の13頁にも、漢字はグループで憶えることが提唱されています。
私は、「大字典」に載っている音符字を参考にして、音符別帳面を自作しましたが、「大字典」の欄には何も載っていませんでしたので拾えませんでした。約6千字の音符として912は、類書中最大と思います。
4, 音符家族の分類
同じ音符字の字音(音読みが複数ある場合は、「辞典」の筆頭音)が何種類あるかで、分類されています。
純=純粋家族(263家族) 筆頭音が全て同じ。 例えば 阿(阿・婀・痾)
紅一=紅一点家族(115家族) 筆頭音の内、一字のみ異なる音が混じっているもの。例えば、胃イ(胃・渭・蝟・謂・喟キ)。紅一点の喟には、赤で網掛けがされています。
二=二音家族(170家族) 筆頭音が、二音あるもの。
三、四、五=三音(~五音)家族 筆頭音が、三~五音あるもの
大=大家族 筆頭音が六音以上あるもの。例えば、曷の音符字
雑=雑居家族 会意文字などを字形の共通性に頼って、多少強引に集めたもの。例えば、異(異・冀・驥・糞・翼)
分類されない漢字 219字
この分類は本書の白眉だと思います。純粋家族の漢字は、筆頭音は、全部同じ音読みですから、読み問題としては楽で、芋蔓式に憶えてしまえばいいのです。そして、下へ行く程、読みが難しくなりますが、既知の漢字と関連づけて憶えることが提唱されています。
一方、書き取りの場合は、純粋家族は、読みも音符も同じで、部首だけ違う訳ですから、部首間違い病に陥り易いものです。問題を解いて間違ったときに、同じ音符字の形音義を比較対照することで定着性に資すると思います。
この本は、送料込みでも、1級受験料の半額以下です。人それぞれでしょうが、無謀に受験して漢検協会を儲けさせるよりは、こういう本でじっくり学習して、一発合格を狙った方がいいと思いますが如何でしょうか。
なお、今まで、「音符が共通な漢字」の範疇で、苦手なものをいくつか書いて来ました。記事にすることで定着性を図ろうという作戦でしたが、この本に、色々書き込むことで代替できそうです。
私は、この本最近テレビで知りました。漢検一級に挑戦する廬山氏原?とかいう方が、紹介していて、買う気はそんなにないのですが、ちょっと気になったので、ネットで調べましたら、此方に久しぶりに着きました。
やはり、皆さん、早くから知っていたのですね。白魚一寸さんのこの記事読んだら、欲しくなってきました。
こちらこそ。貴ブログはいつも拝見しております。
>私は、この本最近テレビで知りました。
あの番組は私も「辞典」を片手に視ておりました。大熊猫は、「辞典」にないから出ないよーと一人でツッコミを入れていました・・
>廬山
ロザンってこうやって書くんですか!
>欲しくなってきました。
同じ音符で読みが違う漢字が気になれば便利ですよ。テレビに出たらあっという間に売り切れ、増刷中のようですね。この本で更に1級受験生が増えればいいなあと思います。
拙ブログも、漢字音符字典の検索ワードで来訪された方が多かったのか、テレビ放映の日だけ、初めて、IPが千を超えました。