・ 個性派俳優たちが繰り広げる、仏流エスプリが効いたロマンチック・コメディ。
トニ・コレット、ハーヴェイ・カイテルのアメリカ人夫婦とスペイン人メイドのロッシ・デ・パルマがパリで繰り広げるコメディ。エスプリの効いた舞台劇のような原作・共同脚本・監督はフランスの新進アマンダ・ステールで原題は「MADAME」。
パリに越してきたアメリカ人夫婦のアンとボブ。セレブの友人を招いて豪華なパーティを開こうとするが、ボブの息子・スティーヴ(トム・ヒューズ)が飛び入り参加する羽目になり出席者は13人に。
アンは不吉な13を嫌い、急遽メイドのマリアを客に仕立て上げたため困ったことに・・・。
一見アンとボブ夫婦が主役のようだが、ドラマが進行するうちマリアが主役になって行く。マリアを演じたのが<世界一美しい鷲鼻>という異名のL・デ・パルマで、その風貌が個性的。可憐という言葉とは両極にありながら、乙女チックな熟年女性。故郷に娘を残しメイドで暮らすが、その仕事ぶりはアンの信頼も厚く二人の子供たちも懐いている。
そんなマリアがミステリアスな謎の美女に仕立て上げられ、緊張のあまりワインをガブ飲み。アンとの約束も忘れ、請われるまま下品なジョークを連発し大爆笑される。
ところがマリアはシチリア王国の末裔で前スペイン王国の又従兄弟とスチーヴのジョークに英国人紳士デヴィッド(マイケル・スマイリー)が真に受け、彼女に一目惚れ求愛、倦怠期だったアンはマリアに嫉妬する。
意外な展開から、本当の貴族社会を知らないアンとボブのアメリカ人、肩書きに弱くプライドだけが高いデヴィッドの英国人を
皮肉に描いたフランス人監督らしい大人のエスプリ満載のストーリーへ。
トニ・コレットのセンスあるファッションと、パリ好きには嬉しい観光名所パレ・ロワイヤル、ホテル・プロヴァンス・パリ、ビストロ・オートゥイユ、シネマ・クインなどを背景に繰り広げられる大人の恋の数々は果たして本物だろうか?
16区にある贋造博物館の外観が夫婦の豪邸という設定が何かを暗示している?!
<人としてはマダムと同等>と毅然と言い放つヒロイン、マリアの恋の行方が気がかりなエンディングを迎えるが、「人は誰でもハッピーエンドが好き」というマリアの後ろ姿が颯爽としていて素敵だった。
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