無明長夜もかくばかり…

食のこと、家族のこと、ペットのことや日々の雑感… 
手探りをしながら、書き綴っていきたいと思います。

Always…正調下町洋食

2006-07-05 | 


昨日、家族でカレーを喰っていた時の話。
板橋は旨い店が多いと、ニョウボが言う。
確かにそれには同意するものの、オレと違ってこのヒトタチは
喰いものに対する拘りが少ない。
とにかく、わざわざ出かけていって喰うとか、並んでまで喰うという感覚がないから
「旨い店」の必須条件はまず「近所であること」と「並ばずに済むこと」である。
しかし、これは重要なファクターではある。

仕事場の近所に、洋食屋がある。
弁当じゃないとき、ここで昼食を摂る事も多い。
旨くてボリュームがあるから、近所にある大学生の客も多い。
とくにここの「ナポリタン」は抜群に旨いのである。
もちろん本格イタリアンのパスタに比べると、麺なんざヤワヤワなのだが
こと「ナポリタン」でいえば、これが許される。
洋食屋や、喫茶店で喰うナポリタンとミートソースは、もはや日本食と言っていい。
当然の事ながら、ライスを添えて喰うのも有りだ(自宅限定だが)。

カレーを喰いながら、ニョウボが娘に言う。

「お母さんの会社のそばに美味しいナポリタンがあるのよ」

洋食繋がりで思い出したのか、娘が言う。

「明日、中野のオムライスが食べたい」
「中野?」

よく聞くと、中野区の中野ではない。
義母や、その友人の社長連中の溜まり場のようになっている
「ニューナカノ」という洋食屋のことである。
たまにニョウボも呼ばれ、その際には必ずと言っていいほど
お土産にオムライスを買ってくるのだ。
このオムライスが、まさに「洋食屋さんのオムライス」で
とびきり旨いというわけではないが、安心して喰える旨さで
子供らはこの「おみやのオムライス」のファンなのだ。
持ち帰りで冷めたものより、作りたての方が旨いに決まっている。
というわけで、義母も誘って「ニューナカノ」に出かけた。
場所は東西線・下板橋駅のそばで、昼はランチ、夜は酒呑みが集まる。
寡黙だが笑顔のいいマスターと、威勢のいいママさんのコントラストが面白く
何よりも安くて旨いので、義母をはじめとする
社長連中のファンが毎晩のように集まっている。

奥の座敷に陣取ると、ママさんが常連の義母にいろいろと肴を出してくれる。
それらをつまみにして、大人3人はビールを呑む。
子供らはオムライスだ。

酒の肴に、定食のおかずのみをとる。



自家製ドミグラスソースのタップリかかったロースとんかつ

ここはオムライスの他に、エビグラタンが絶品だ。



上野の松坂屋の大食堂で、初めて喰ったグラタンの思い出。
世の中にこんな旨いものがあったのかと、子供心に感動した
あのグラタンの味、そのものだ。
カリッと焦げた表面の膜を崩すと、トロリと濃厚なベシャメルソース
懐かしく幸せな味…

ひとしきり呑んで、さてオレも飯を喰いたいとメニューを眺める。
洋食屋の定番メニューは眺めているだけでもウキウキとしてくる。
焼き肉ランチに豚の生姜焼き、カレーやスパゲティにミックスフライ。
どれを喰っていいのか迷うが、やっぱりオレもオムライスにした。



う~~~ん、マスターめ。
さっき頼んだ子供らの分は、綺麗に卵でくるんであったのに
閉店間際で手を抜きやがったな。
しかしながら、もちろん味にモンダイは無し。
洋食という名の立派な日本食だ。

正しき懐かしき東京の味。
Always…下町の正しい、懐かしい洋食