迷宮映画館

開店休業状態になっており、誠にすいません。

プール

2009年10月28日 | は行 日本映画
見る前から、ほにゃらっとした映画であることは百も承知の面子である。
うーーーん、この面子をそろえたい気持ちもわかるし、見てしまったら、この面子でなければ成り立たないような人たちなのだが、それは反則だ。
すでに、これは登録商標になっているから。

小林聡美のすべてを包み込むようなおっきさ、あの世とこの世の掛け渡しを出来るのはこの人しかいないであろうもたいまさこ、そしていい人過ぎる加瀬君と、ぴったりな配置だ。

タイのチェンマイのゲストハウスで働く京子。押し付けがましくなく、ほわっと居心地のいい空間を生み出している。その周りに、住まう不思議な女性の菊子さんに、骨惜しみしない市尾クン。そして、少年ビー。

ぬるま湯のようなゆるい人々の集まりかと思うと、それは大間違い。過去は語らないが、結構なきつい人生と想像するに難くない。

でも、ひとつの家族を成しているように、彼らは温かく日々を送ることにしているようだ。

そこにやってきた京子の娘のさよ。久しぶりの母子の対面とは思えないようなよそよそしさも感じるが、その微妙な関係は、おいおいわかってくる。

京子は、どうしてもここに来たくて、この仕事がしたくて、ここにやってきたことがわかる。そのあまりの唐突さに唖然とするしかないのだが、理想っちゃ理想だ。子供も手がかからなくなった。一人でご飯が食えるようになったら、いつまでも親を頼るもんでもないと思う。

詳しくは語らないので、想像するだけだが、たぶんさよちゃんは高校卒業して、大学生になったと。親もとを離れたどうかはおいておいて、この子は大丈夫だと!と思ったから、自分の道を歩もうとした・・・のだろう。

だとすれば、さよちゃんは22歳くらい?それにしちゃ、あまりに子供じみてないか?これが、さよちゃんが、中学生くらいのときに踏み出したんなら、文句のひとつも言いたく気持ちもわかるが、高校卒業したら、自分でなんとかせい。学費も全部出してもらってるはずだろうに。

それでも、母をいとしく思ってくれるのはとってもありがたいし、これはきちんと言葉で伝えないと、親子でもわからないことはある。だったら、もうちょっと無理な設定をしないと、説得力に欠けるかな。

いや、一番描きたかったのは、全体から漂うほんわかした空気と、静かなプールの周りに集う他人だけど、家族のような絆を得た生き方・・・・なんだと思う。
話もいい。でも、どうしても二番煎じに見えちゃうのがなあ。

とどうしても気になったのが、料理の映し方。それがメインでないことはわかるのだが、おいしそう!!に見えなかった。残念。

なんでこの配役にこだわったのかなあ。作る方が、一番二番煎じだとわかると思うのに・・・。惜しい。

◎◎◎

「プール」

監督・脚本 大森美香
出演 小林聡美 加瀬亮 伽奈 もたいまさこ


最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
心地よい時間でした。 (圭一朗)
2009-10-28 20:24:11
 よくもまあ言ってくれるねぇ・・・
というくらい不評タラタラの感想が多い中で、
「良かった」と言うのが恥ずかしいくらいですが、
僕は、ゆったりと流れる空気感が心地いい映画でした。

 「かもめ」「めがね」が好きで、それと同じ路線を期待して見にいく人にとっては満足なのではないでしょうかねえ。

 あまり理屈をこね回さないで、のんびりとした質感を味わってはいかがですか?

 
 今回の収穫は、小林聡美の自作自演の歌です。
素人臭くて単調で、それが何故か心に沁みる。
ハンバートハンバートの佐野遊穂が歌う主題歌と共に、音楽は良かったとは思いませんか?
返信する
雰囲気重視? (ume)
2009-10-29 01:05:14
えへ、原作を読んだので、すごく期待しちゃってるクチです。
原作では幼い頃から母と子が別々に暮らしていて、殆ど祖父母に育てられたという事になってます。
京子さんは急な海外出張もあるようなキャリアウーマンだったようですが、さよが尋ねてくる4年前に、チェンマイに渡ったという設定なので、その仕事は辞めたんでしょうねぇ。
なので小学校の入学式なんかの節目の行事も祖父母の付き添いというシーンが描かれてあったりします。
でも、原作も父親の事とか、母親の以前の職業とかも語られてないし、今ひとつ情報が少ない内容ではありました。
映画はもっとそうなんですね。
やはり、細かい事は突っ込まず(笑)雰囲気を楽しむという感じなんでしょうかねぇ。
返信する
>圭一朗さま (sakurai)
2009-10-29 11:27:30
ゆったり、まったり、あの雰囲気を楽しむ・・・という目的で見るなら、よいと思いますよ。
あの水ぬるむ感じは、ほっとさせられました。
でもさすがに、二番煎じというか、三番煎じというか、監督のオリジナリティが感じられなかった。
日本に他に、ぴったりの役者がいないせいだと思いますが、もうちょっと配役を考えてもらいたかったなあ。
小林聡美は、すでに何かの域に達しているような感じですね。あの年代には、いい女優さんがいっぱいいますが、やはり一線を画しているように思えます。
返信する
>umeちゃん (sakurai)
2009-10-29 11:38:49
へえー、本はそういうのなのね。
映画のために書き下ろしたそうですが、そうなんすか?
シングルマザーだということは、わかったし、娘のために働くのもわかるけど、あまりに不自然ですよね。
母親は、我慢を強いられることが多いですが、何で我慢できるかって言ったら、子供のため。
夫は、○○のためには我慢できないよね。
そして、それは我慢ではない。
他人のためにご飯作るのも大事ですが、まず自分の子供にご飯作んなきゃ!って感じました。
返信する
こんにちは (はらやん)
2010-05-09 06:33:28
sakuraiさん、こんにちは!

二番煎じ感ありましたよね。
出演者が同じでも違う作風であれば、そういう感じもでなかったかと思うのですが、どうも荻上監督を意識したような作りになっているのがどうかと思ったりします。
キャラクターにも共感性を持ちにくかったのも作品に入りづらい要因でしたかね。
返信する
>はらやんさま (sakurai)
2010-05-11 18:04:26
そうなんですよ。それも確信犯的二番煎じ。
見るほうの勘違いを利用したのではないかと思ったくらいでした。
原作は、少々違うみたいですが、オリジナリティは感じませんでした。
返信する

コメントを投稿