あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 ![]() 044 どっちが『Mr.ダウト』? 「まったく、この世界の男たちも少しは、この男のように男らしくしたほうがいいものを、まったく、この世界の男どもは考え違いをしている」 「しかし、ですね。オカネお嬢様。この森村拓也という男は、すごく女の子に人気があるのでござるよ」 「そうだろうとも、わたしの世界でも、このように男らしい男は人気があるに決まっているじゃないか。その点では、何も違いはない」 「おう! 頭がこんがらがります」 あんなに複雑なマシンをつくってしまうオカネスキーが頭を悩ますのだから、かなり複雑なことである。 いや、本当は単純なことであるが、あまりにも固定観念として、いすわり続けている男女のあり方というものが、オカネスキーの頭でさえ混乱させているのである。 何しろ、男が女で女は男、それだけのことで、複雑ではない。 今のところは……。 「どうだ! オカネスキー、わたしが、君のために、口紅を買ってあげるから、少しは男らしくしなさい。その方がきみのこれからの人生を明るくするっていうものだよ」 オカネスキーは頭をかかえた。 わたしの顔、まるでケンタッキーのフライド・チキンのケンタッキーおじさん、つまりカーネル・サンダースさんにそっくりなのに、口紅をつけて、アイシャドウをいれたら、きっと、ロビン・ウィリアムス主演の映画『Mr.ダウト』になってしまうじゃないかと、思った。 思わず、肩をすくめて、「うふッ♥」と笑ってしまった。 こちらの世界の茜なら、何よ、気持ち悪いたら、ありゃしないわなんて言うことだろうが、向こうの世界の茜は、それでいいのだと、にんまりしている。 「そういえば、オカネスキー、おまえの顔を見ていると、ロビン・ウィリアムスを思い出すよ」 「えっ、そちらの世界でも『Mr.ダウト』が上演されたのでござるか」 「ああ、こちらでもか?」 「そうでござる。わたしに似ているとこちらの世界のオカネお嬢様もいっておられたでござる」 「そうだろう。とても、その女装が笑える」 「この女装?」 驚くことはなかった、男女が反対だったということを、そろそろ、この明晰な頭脳にインプトしなけれは、オカネお嬢様さんに馬鹿にされるぞ! とオカネスキーは思った。
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