『日本人の戦争観-戦後史のなかの変容-』
吉田裕・著/岩波書店1995年
中曽根内閣より羽田のほうがひどいのか?
そんな感じは受けなかったんだけど……。
論理じゃそうなるのかな?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/24/75076596624799f49fb61a4332e05aa0.jpg)
羽田首相はごまかした……。下「」引用。
「つまり、羽田首相は、「侵略戦争」という認定は一貫して拒否しつつ、結果として日本の行為が周辺諸国に大きな惨害をもたらしたことを反省し謝罪すると主張しているのである。いわば、「結果としての侵略戦争」論であり、そこには戦争責任問題に関する細川内閣の基本政策を継承しながらも、「侵略戦争」発言の波及効果を最小限に押しとどめようとする意図を読みとることができる。」
中曽根内閣は「侵略戦争」を認めていた……。下「」引用。
「中曽根首相は、八六年九月一六・一七日の衆参両院の代表質問に対する答弁の中で日中戦争の「侵略的」側面を強調して注目をあび、同内閣の後藤田正晴官房長も、八月一九日の衆議院内閣委員会で、日本政府がサンフランシスコ講和条約の第一一条で東京裁判の判決を受諾している事実をあらためて再確認し、これを内閣の統一見解であるとした。」
石原慎太郎は侵略性を認めていないという。……都庁を侵略したのも無理はないかも?
index
機密費と東条。下「」引用。
「また、東条英機陸相も、四一年四月五日の陸軍省内の会議の席上で、「又例えば数十億円の軍費といっても実際第一線で使用するのはせいぜい二○億円で、他のすべては国家百年のための経費である」と発言していて(陸上自衛隊衛生学校編『大東亜戦争陸軍衛生史1』非売品、一九七一年)、先の『杉山メモ』の記述を裏づけている。
ちなみに、この臨時軍事費の中から多額の機密費が支出され、それがまた軍の「政治資金」にもなったようである。」
東条と機密費。下「」引用。
「陸軍省軍務局軍事課予算班長の経歴を持つ加登川幸太郎は、この点について、「何に使ったかわからんけど、東条さんが総理大臣になった時、……三百万円という機密費三口を内閣書記官長に渡せ、と来るんだね。……あの頃二百万あったら、飛行機の工場が一つ建ったんだから」ときわめて率直に回想している(若松会編『陸軍経理部よもやま話』非売品、一九八二年)。」
INDEX
「一億総懺悔」論を受け入れず。下「」引用。
「そこでは敗戦の「責任」は敗戦の「原因」にすりかえられ、ましてや開戦の「責任」などは問題にすらされなかったのである。
しかし、この「一億円総懺悔」論自体は容易に国民の受け入れるところとはならなかった。敗戦直後の時期に、日本人の戦意に関する詳細な調査を行なったアメリカ戦略爆撃調査団の報告書は、戦時下、日本国民の間に、生活必需品の配給制度の不公正さや戦時利得者の出現などを契機にして、「犠牲の不平等」、あるいは「苦しみの不平等」ともいうべき意識が急速に拡大していた事実に注目し、そうした社会的不平等に対する自覚が指導者に対する国民の信頼を大きく傷つけていたことを明らかにした。-略-つまり、国民生活の急速な悪化のかげで、軍人や官僚、軍需産業関係者などの一部の集団が一般の国民の生活とはかけはなれた特権的な地位を享受していたことは、戦時体制に対する国民の疑念を強め、「軍・官・民」の一体感に亀裂を生じさせていたのである。「一億総懺悔」論がこの一体感を前提にした議論である以上、その浸透力に大きな限界があったのは、ある意味では当然だった。」
もくじ
「幕僚」史観
「「海軍史観」の台頭」
「海軍史観とその問題点」
「庶民の戦争体験の記録化」 下「」引用。
「同時に、七○年代を中心にしたこの時期は、庶民の戦争体験の記録化が大きく進んだという点でも注目すべき時代だった。」
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もくじ
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吉田裕・著/岩波書店1995年
中曽根内閣より羽田のほうがひどいのか?
そんな感じは受けなかったんだけど……。
論理じゃそうなるのかな?
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羽田首相はごまかした……。下「」引用。
「つまり、羽田首相は、「侵略戦争」という認定は一貫して拒否しつつ、結果として日本の行為が周辺諸国に大きな惨害をもたらしたことを反省し謝罪すると主張しているのである。いわば、「結果としての侵略戦争」論であり、そこには戦争責任問題に関する細川内閣の基本政策を継承しながらも、「侵略戦争」発言の波及効果を最小限に押しとどめようとする意図を読みとることができる。」
中曽根内閣は「侵略戦争」を認めていた……。下「」引用。
「中曽根首相は、八六年九月一六・一七日の衆参両院の代表質問に対する答弁の中で日中戦争の「侵略的」側面を強調して注目をあび、同内閣の後藤田正晴官房長も、八月一九日の衆議院内閣委員会で、日本政府がサンフランシスコ講和条約の第一一条で東京裁判の判決を受諾している事実をあらためて再確認し、これを内閣の統一見解であるとした。」
石原慎太郎は侵略性を認めていないという。……都庁を侵略したのも無理はないかも?
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機密費と東条。下「」引用。
「また、東条英機陸相も、四一年四月五日の陸軍省内の会議の席上で、「又例えば数十億円の軍費といっても実際第一線で使用するのはせいぜい二○億円で、他のすべては国家百年のための経費である」と発言していて(陸上自衛隊衛生学校編『大東亜戦争陸軍衛生史1』非売品、一九七一年)、先の『杉山メモ』の記述を裏づけている。
ちなみに、この臨時軍事費の中から多額の機密費が支出され、それがまた軍の「政治資金」にもなったようである。」
東条と機密費。下「」引用。
「陸軍省軍務局軍事課予算班長の経歴を持つ加登川幸太郎は、この点について、「何に使ったかわからんけど、東条さんが総理大臣になった時、……三百万円という機密費三口を内閣書記官長に渡せ、と来るんだね。……あの頃二百万あったら、飛行機の工場が一つ建ったんだから」ときわめて率直に回想している(若松会編『陸軍経理部よもやま話』非売品、一九八二年)。」
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「一億総懺悔」論を受け入れず。下「」引用。
「そこでは敗戦の「責任」は敗戦の「原因」にすりかえられ、ましてや開戦の「責任」などは問題にすらされなかったのである。
しかし、この「一億円総懺悔」論自体は容易に国民の受け入れるところとはならなかった。敗戦直後の時期に、日本人の戦意に関する詳細な調査を行なったアメリカ戦略爆撃調査団の報告書は、戦時下、日本国民の間に、生活必需品の配給制度の不公正さや戦時利得者の出現などを契機にして、「犠牲の不平等」、あるいは「苦しみの不平等」ともいうべき意識が急速に拡大していた事実に注目し、そうした社会的不平等に対する自覚が指導者に対する国民の信頼を大きく傷つけていたことを明らかにした。-略-つまり、国民生活の急速な悪化のかげで、軍人や官僚、軍需産業関係者などの一部の集団が一般の国民の生活とはかけはなれた特権的な地位を享受していたことは、戦時体制に対する国民の疑念を強め、「軍・官・民」の一体感に亀裂を生じさせていたのである。「一億総懺悔」論がこの一体感を前提にした議論である以上、その浸透力に大きな限界があったのは、ある意味では当然だった。」
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「幕僚」史観
「「海軍史観」の台頭」
「海軍史観とその問題点」
「庶民の戦争体験の記録化」 下「」引用。
「同時に、七○年代を中心にしたこの時期は、庶民の戦争体験の記録化が大きく進んだという点でも注目すべき時代だった。」
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