放送大学2007年6月18日
国際政治('07)第11回 変容2
平和を考える上で大切なことを講義されていました……。
ナショナリズム
藤原帰一・客員教授
ドイツとの国境に近いフランスの街、ストラスブールに立つ藤原帰一。
この街にはドイツ語とフランス語の名前がある。
この地はドイツ支配下になったり、フランスの支配下になったり、振り回された地域。
そのときどきで、ナショナリズムの衝突があった地でもあるという。
【歴史】
・ローマの支配、ローマ教皇の下の司教の街。交易の都市に。
・神聖ローマ帝国で、自由都市。
・近代は何回も役割をかえる。
・三十年戦争(1618-1648)で一部がフランス領となる。
・そしてフランスの街になる。それまでのアルザス語(ドイツ語に近い)を話し生活をする。
・普仏戦争(1870-71)で、ドイツ国民とフランス国民のナショナリズムの戦争。
プロイセン的な街にかわっていく……。フランスは領土を奪われたと強い怒り!
・第一次大戦でフランス。
・第二次大戦でナチス・ドイツに。
現在では、「欧州議会」のある街として有名。
ナショナリズムのヨーロッパから、ナショナリズムを克服した街への変容。
ナショナリズムのための無残な戦い、殺さなければ生きていけない!
【ナショナリズムのわかりにくさ】
・客観的に民族を定義することはできない。外から見ればわかりにくい。
・文化と生活習慣が似ているからといって、民族ではない。
アルザスの地方の人たちはドイツ語に近いが、ドイツ人ではない。
・民俗学者と政治家がいうのには大きな違いがある……。
・政治的なのは主観的でしかない。
・日本人はいつ生まれたのか?
日本人と日本列島に人があらわれたのとは違う。
・日本人というのは近代に入ってから……。
・フランス人がフランス人と考えるようになったのは、第1次大戦のころ。
・ナショナリズムを信じる人が生まれたのは近代。
(※)伝統は浅かったナショナリズム……。
ナショナリズムは部分的なイデオロギーで社会主義や自由主義のような全体的なイデオロギーではない。
(カール・マンハイム(1893-1947))
部分的なイデオロギー。不完全なイデオロギー。
そこが強みであり、自由主義などとむすびついた。
市民が政府をつくる権利がある。(自由主義)
フランス語を話す人間がフランス人と定義した。
何年すんでいるとか関係なし。
国家対社会に分かれている。
日本では、国家と社会が結びついている。運命共同体。
【二種類のナショナリズム】
・国家対社会
・国家と結びついた社会
ナショナリズムとはどんな思想とも結びつくことができる。
【さいごの授業】
・仏・小説家 アルフォンス・ドーテ(1840-1897)によって書かれた。
・舞台は普仏戦争の終わり、ドイツ帝国の領土となる学校を舞台。
・フランス語の美しさを忘れるな! フランス万歳!
・フランスの敗北感を描いたもの。
・アルザス・ロレーヌはフランスの一部という単純なものではない。
話されているのはアルザス語。
しかし、フランス人だと自覚していた。
・フランスのパリの視点から描いたのが「さいごの授業」。
【アルザス民族博物館】ストラスブール
・アルザスの人たちの暮らしぶりを展示。
・ドイツでもないしフランスでもない。
しかし、ドイツに近い。
・先生がフランス語を書いても、少年たちはアルザス語を話していた。
フランス人だと自覚はあった。
・フランス語=フランス人(近代の概念)からは離れている。
ドーテが小説をかいたころ。
国家(国王)と国家(国王)の戦いから、国民と国民との戦いとなった。
国民と国民との戦いになり、より残酷になっていく……。
第1次大戦で負けたドイツは、領土の問題を受け入れることはできず、ドイツの裏切り者によって奪われたという、そして国家社会主義へ向かう……。
【国民軍】
・雇われ兵から、国民軍へ。
普仏戦争を負けたフランスは、国民軍をつくる。
第1次大戦で負けたドイツは、人種主義にむすびついたナショナリズムをつくりだす。
【ヨーロッパのナショナリズムの克服】
・皮肉なことに、ナショナリズムがひろがる……。
・植民地の人たちは我慢できない。
・民族自決
・国内にさまざま民族があるとき、それぞれに民族自決を訴えた。
【ルワンダ】
・フツとツチ
・民族の自覚は植民地から独立。
・民族によってつくられた政治の強化。
【ナショナリズムは克服するものだろうか】
・必ずしもそうではない。
・民族意識の政治化(politicization)を阻止すること。
・暴力化を阻止すること。
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国際政治('07)第11回 変容2
平和を考える上で大切なことを講義されていました……。
藤原帰一・客員教授
ドイツとの国境に近いフランスの街、ストラスブールに立つ藤原帰一。
この街にはドイツ語とフランス語の名前がある。
この地はドイツ支配下になったり、フランスの支配下になったり、振り回された地域。
そのときどきで、ナショナリズムの衝突があった地でもあるという。
【歴史】
・ローマの支配、ローマ教皇の下の司教の街。交易の都市に。
・神聖ローマ帝国で、自由都市。
・近代は何回も役割をかえる。
・三十年戦争(1618-1648)で一部がフランス領となる。
・そしてフランスの街になる。それまでのアルザス語(ドイツ語に近い)を話し生活をする。
・普仏戦争(1870-71)で、ドイツ国民とフランス国民のナショナリズムの戦争。
プロイセン的な街にかわっていく……。フランスは領土を奪われたと強い怒り!
・第一次大戦でフランス。
・第二次大戦でナチス・ドイツに。
現在では、「欧州議会」のある街として有名。
ナショナリズムのヨーロッパから、ナショナリズムを克服した街への変容。
ナショナリズムのための無残な戦い、殺さなければ生きていけない!
【ナショナリズムのわかりにくさ】
・客観的に民族を定義することはできない。外から見ればわかりにくい。
・文化と生活習慣が似ているからといって、民族ではない。
アルザスの地方の人たちはドイツ語に近いが、ドイツ人ではない。
・民俗学者と政治家がいうのには大きな違いがある……。
・政治的なのは主観的でしかない。
・日本人はいつ生まれたのか?
日本人と日本列島に人があらわれたのとは違う。
・日本人というのは近代に入ってから……。
・フランス人がフランス人と考えるようになったのは、第1次大戦のころ。
・ナショナリズムを信じる人が生まれたのは近代。
(※)伝統は浅かったナショナリズム……。
ナショナリズムは部分的なイデオロギーで社会主義や自由主義のような全体的なイデオロギーではない。
(カール・マンハイム(1893-1947))
部分的なイデオロギー。不完全なイデオロギー。
そこが強みであり、自由主義などとむすびついた。
市民が政府をつくる権利がある。(自由主義)
フランス語を話す人間がフランス人と定義した。
何年すんでいるとか関係なし。
国家対社会に分かれている。
日本では、国家と社会が結びついている。運命共同体。
【二種類のナショナリズム】
・国家対社会
・国家と結びついた社会
ナショナリズムとはどんな思想とも結びつくことができる。
【さいごの授業】
・仏・小説家 アルフォンス・ドーテ(1840-1897)によって書かれた。
・舞台は普仏戦争の終わり、ドイツ帝国の領土となる学校を舞台。
・フランス語の美しさを忘れるな! フランス万歳!
・フランスの敗北感を描いたもの。
・アルザス・ロレーヌはフランスの一部という単純なものではない。
話されているのはアルザス語。
しかし、フランス人だと自覚していた。
・フランスのパリの視点から描いたのが「さいごの授業」。
【アルザス民族博物館】ストラスブール
・アルザスの人たちの暮らしぶりを展示。
・ドイツでもないしフランスでもない。
しかし、ドイツに近い。
・先生がフランス語を書いても、少年たちはアルザス語を話していた。
フランス人だと自覚はあった。
・フランス語=フランス人(近代の概念)からは離れている。
ドーテが小説をかいたころ。
国家(国王)と国家(国王)の戦いから、国民と国民との戦いとなった。
国民と国民との戦いになり、より残酷になっていく……。
第1次大戦で負けたドイツは、領土の問題を受け入れることはできず、ドイツの裏切り者によって奪われたという、そして国家社会主義へ向かう……。
【国民軍】
・雇われ兵から、国民軍へ。
普仏戦争を負けたフランスは、国民軍をつくる。
第1次大戦で負けたドイツは、人種主義にむすびついたナショナリズムをつくりだす。
【ヨーロッパのナショナリズムの克服】
・皮肉なことに、ナショナリズムがひろがる……。
・植民地の人たちは我慢できない。
・民族自決
・国内にさまざま民族があるとき、それぞれに民族自決を訴えた。
【ルワンダ】
・フツとツチ
・民族の自覚は植民地から独立。
・民族によってつくられた政治の強化。
【ナショナリズムは克服するものだろうか】
・必ずしもそうではない。
・民族意識の政治化(politicization)を阻止すること。
・暴力化を阻止すること。
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