磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

D064.宣伝省

2005年11月21日 | 【小説】 レインボー...
V.あい色の部屋(虹の世界)

D064.宣伝省





「この国の人は豊かで幸せと思っておる。それはなぜか。その理由は決まっとるじゃろう。宣伝とか広告だよ。宣伝は宣伝省がやっておるから、みごとなもんだよ。宣伝のことしか考えていないからなあー」

「宣伝省には菊池大臣がいて、人を幸せにする宣伝をしてくれている」

「そのために、人の悲しみも苦しみもわからん唐変木に人をかえてしまった」
 王様はなげいた。

「まあ、なんて自分勝手な人ばかり集まっている社会なのかしら?」
 ユリカはあきれていた。

「何をいっている宣伝は宣伝省がするんだ。この世界は素晴らしい。それを宣伝することは国家が決めたのだ」

「豊かで便利な社会、高度な文明をもった社会じゃよ。残業ばかりで子供のことなんて世話する時間がなくても、『子育てをしないパパはママではありません』と宣伝すれば、それで父親が子育てをしているように思いこませるんじゃよ」

「残業しなかったらいいじゃないか」
 カールは呑気にいった。

「そうしたら、わしのようになるんだよ。馘(くび)というわけだ。そうしたら、子供のミルクにも困るというわけじゃなあー」

「そうなんですか。でも……」
「若い者は、その宣伝にのせられておるんじゃのう。まあ、若い時代には楽しいことばかりを考えたくなるもんじゃがのう……」

「経済もわからん人が経済をやっている。こんな不思議な世界があると思うか」
「そう珍しくもないよ。人間なんてそんなものさ」
 と、カールは笑った。

「王様もそうだったんでしょう」
「まさに、その通りじゃ。そして、こんな目にあっているというわけじゃ、自業自得といえば、それまでのことよ」

 眼鏡をかけた白髪の老人が受付で怒っていた。司馬遼太郎にそっくりだった。

「これは、銀行の経営が悪くなる前から私がいっていたことだが、土地についての政策もずいぶん、ひどすぎますぞ。土地の値段というのは、例えば田畑なら、その土地で収穫できる農産物の値段で決め、お店などなら、その土地なら、いくら儲けられるかで決めるものですぞ。それが、何だ! 今の土地政策はまるで、タヌキの木の葉と変らないじゃないか。土地政策も経済学的に資本主義的に考えてくれたまえ」

 熱心に都市長に要求した。タヌキの木の葉とはよく言ったものだとカールは一人、喜んでいる。まったく、人をだますことにしか、努力をはらっていない人たちなのである。違うというのなら、どこに努力を払ったといえるのだろうか?

「何を言っているのですか。これ以上、土地の価格が下がれば多くの人が困るのですよ。やっていけません。土地の値段は上げるべきなんです」
「そんなことしたら、また経済がおかしくなりますよ」

「お金のことはお金省です」
 都市長はまた同じことを言う。

「ふん。どうせ、こんな経済運営はうまくいかない。その時では遅いんじゃ。ドンゾコになるだろう。しかし、こりない人間たちは、また新たな狸の木の葉を発見することだろう。そして、いつもひどい目にあうのは、こつこつ真面目に働く人たちだよ」
 白髪の老人は怒っていた。

「彼らはエリートで、専門家であり……」






閑話休題

クイズ【環境問題】をUPしました。

それにしても、危険な技術を安全と
何億円ものお金をかけて、
安全と思いこませるために
だいだいてきに、テレビCMを流したり、
まったく呆れたことをしています。

宣伝省は宣伝のみ、
国民の安全のことなど知らない。

そして、大スポンサーに
嫌われてはいけないから、
きちんとした報道をしないマスコミ。
そんな国があったら、
うまくいくわけがありませんよね?





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