ラヂオアクティヴィティ[Ra.] 第一部ブロック・バスター 014火膨れの顔 ![]() 輝代の顔は左右に小刻みに震えた。 そして海を見つめた。 「どんなことをしてでも、知らせないといけないのよ!」 そして、輝代に失礼なこと言ったと思い 「冷たい手の人って、心が温かいのよ」 と話しながら彼女の顔を見た。 輝代の顔はひどい火傷で、トマトのように膨れ上がっていた。 「えっ!」 そんなことがありえるわけがないわ。 ナンシーは目を手でこすってから、輝代を見た。 元の輝代がいた。 「どうしたのかしら……」 ナンシーは頭に右手を置き、首を左右に動かした。 「旅の疲れかしら、 一人でこんなに遠いところに来たのは、 初めてだから……」 自分に言い聞かせた。 輝代はまた穏やかな、表情で話す。 「どうしたの?」 「いいえ、何もないわ……」 ナンシーは自分の目がおかしくなったとしか、思えなかった。 長旅の疲れ、そしてこの島国の夏は暑く、 かつ湿度も極端に高い、それゆえ錯覚を見たのだと、 ナンシーは結論づけた。 「ふー、日本もけっこう暑いわね!」 「そうね!あの日も、こんなに暑かったわ」 輝代は悲しそうな声だった。 「あの日?」 ナンシーは長い髪をかきあげた。 「あの日……。それは、いつかお話をするわね」 しんみりと、輝代は話した。 「そう……」 残念に想うナンシー。 寂しそうな顔をして、海を見つめる輝代。 「私も、私の話をするわ。聞いてよね」 「ええ、楽しみにしているわ」 輝代もさわやかな表情だった。
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