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ブラック・プロパガンダ-謀略のラジオ-

2009年10月18日 | 読書日記など
『ブラック・プロパガンダ-謀略のラジオ-』
   山本武利・著/岩波書店2002年

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「1996年から2年間、著者はアメリカ国立公文書館とメリーランド大学で第2次世界大戦と占領期の日米の宣伝、諜報、謀略の資料収集にあたった。冷戦の終了と情報公開法を背景に、アメリカ軍関係の資料公開が急速に進展してた。特に大戦期に誕生し、終戦とともにOSS(戦略諜報局)の資料公開によって、謀略戦の概要がはじめて明かになった。」



アメリカは情報公開しているから、こんな本が出せるようです。
--この点は忘れてほしくないですね。

心理戦としてのプロパガンダ……。下「」引用。

「プロパガンダは敵国の士気を喪失させ、逆に自国の戦意を高揚させるのに不可欠なものりとしてはじめて認識された。」

英国のプロパガンダに負けた第一次大戦。
その反省にたったナチス・ドイツ。英国を研究したということ……。

アメリカでは心理戦争といわれていたという。下「」引用。

「ところでアメリカの戦時プロパガンダ作戦は心理戦争(psychological warfare)と呼ばれていた。プロパガンダという用語は、アメリカ政府、軍の公式文書では一九五○年代に入って、心理戦争に代わって使われるようになった比較的新しいことばである。」

神話をつくれば、より強いというところでしょうか?

アメリカのプロパガンダ機関。下「」引用。

「OWI は大統領に直結したプロパガンダ機関となつた。OSSは統合参謀本部の下に陸海軍と並んでプロパガンダ活動を行うこととなったた。しかしOSSには、諜報とブラック・プロパガンダという他の機関にない独自の役割が与えられた。それに対し、OWIはホワイト・プロパガンダに特化することとなった。」

「ブラック・プロパガンダのOSS」下「」引用。

「非公然のソースから出た作りごと、にせのメッセージを敵国のオーディエンスに伝える活動をブラック・プロパガンダという。出所の公然性やメッセージの真実性の度合いによってホワイト・プロパガンダは公然プロパガンダ、ブラック・プロパガンダは非公然プロパガンダとか隠密プロパガンダと呼んでもよい。」

ヒトラー暗殺未遂事件でのプロパガンダ……。下「」引用。

「ヒットラーの暗殺とナチの打倒を呼びかけた。その放送をドイツは徹底的にジャミング(電波妨害)した。ゲッペルスはベックが自殺したとラジオで述べて、ドイツ国民の動揺を抑えようとした。しかしべッグを思わせる声は再びラジオに登場し、ゲッペルスの声明を否定し、ドイツ国民や軍隊の蜂起を訴えた。」

中野正剛の偽せ遺稿があったという……。下「」引用。

「偽造された中野正剛の遺稿「大東亜戦覚え書」(-略-)はドイツの敗北を想定して米英との和平締結を呼びかけている。日本の敗戦を見越していた中野は、一九四三(昭和十八)年十月二十一日、東条内閣打倒容疑で憲兵隊に逮捕され、その六日後の二十七日に割腹自殺を遂げた。-略-」

INDEX

原爆は日本列島を破壊する……。下「」引用。

「たとえば一九四五年八月六日付けの第十七号を見ると、当日の広島への原爆投下を無条件降伏の新しい武器として、MOのプロパガンダに早速活用すべきと述べ、そのマニュアルを示している。広島近郊から現場中継する形をとって、ブラック・ラジオのアナウンサーが地震の不安におびえている被災者の不安の声を伝える。そしてコメンテーターがアメリカの原爆は巨大な破壊力をもっており、にせの東京帝国大教授の話を紹介しながら、広島の原爆はまだ小規模なもので、B29が十トンの原爆を投下すれば、地震と火山爆発を誘発し、日本全土が瓦解するとのコメントを述べる。こうしたブラック放送は、デマを日本人にのなかで拡散させ、日本政府の無条件降伏の動きを加速させると計算していたことがわかる。」

しかし、あれほどであった事実も忘れてはいけないことだろう……。

朝鮮人従軍慰安婦についての珍しい貼り紙があったという。
……特殊看護婦募集。下「」引用。

「女 -略-日本語で初等教育を受けて卒業後、日本人経営の商店で働いていました。ある日買物に行ったら、憲兵隊支所の前に「特殊看護婦募集。学歴不問、二十歳から二十六歳の朝鮮人女性のみ」との貼り紙を見たのです。」-略-」

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