あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 104 シャレトル! 男が女らしい世界に異次元旅行をしてしまった茜は、とても気がやさしく気のきいたオカネスキーと話し込んでいた。 「わたしたち、まるで女とか男とかで、マインド・コントロールされているみたいね……」 「そうよ、知らず知らず決めつけられているのよ。少年マンガでも、こんなのあるんじゃない。若君が、お姫様のように育てられるのでありんす」 「あるわよ。わたし、全巻そろえているわ」 「それが、けっこう、恰好よくって、本当の女の子より、女らしかったりするのでありんす!」 「そういえば、そうよね」 「自分の好きなように、した~い! でありゃしゃんせ!」 「シャレトルというフランスの哲学者が“男としては生まれない。社会的に男に作られるのだ”っていうのでありんす」 「男に作られる? わたしの世界ではおそらく、逆ね。“女としては生まれない。社会的に女に作られるのだ”。もしかして、シャレトルじゃなくって、サルトルじゃないの?」 「あっ、シャレトルじゃなくって、サルトルだったわね」 「でも、その“女は女として生まれない、社会的に女として作られるのだ”といったのはボーヴォワールで、その本は『第二の性』といったと思うわよ」 「そうなの、私の世界じゃ、シャレトルじゃなくって、サルトルでありんす。『第二の性』は同じね、女の従属物なのでありんす、男は……」 「あら、テレビがはじまるでありんす」 オカネスキーは、頬に手をあてて、リモコンをとって、テレビをつけた。 「お嬢様は毎週みておられるでありんす。向こうの世界で、見ておられませんでありゃしゃんせ? これ、テレビ・激突! っていうのでありんす」 「テレビ・激突? そんなもの、見たことはないわ。カー・スタントか何かの番組なの」 「あら、いやだ! そんな番組、男性のわたしが見ると思うのでありゃしゃせ?」 「見てもいいと思うわよ」 「あら、茜さんのように若ければ、男性もそのようなものを好む人もいるかもしれないけれど……討論番組でありんすよ。オカネスキーは古風な男でごじゃります」 テレビでは、コメディアンの山田邦子が司会をしている。 まるで、ビートたけしみたいじゃない。 首をふりふり、ぼりぼり顔をかいている。
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