V.あい色の部屋(虹の世界) D061.お金持ちは賢く偉い! 「いったい、あなたって人は」 とユリカはバトラーに怒っていた。 「そこのお嬢ちゃんも、マリもよくきくんだ。わたしは、大銀行の頭取だ。お金は生き金と死に金がある」 ユリカは、怒っていて 「そんなこときいてないわよ」 と、かなり怒っていた。 でも、バトラーはそんなことは気にしないで、 「おじょうちゃんの家は、賃貸かい。お金を払って、住まわせてもらっているのかい。賢くない人はそんな目にあうものだ。いいかい、金は物を言う、物を言うから、人は耳を貸すものだ」 ユリカは怒って反論する。 「そうよ、賃貸マンションに住んでいるわ。でも、住んであげてもいるわ、お金をちゃんと払っているんだから。それに、お金は何も話したりはしないわ。お金はお金よ。わかる?」 ユリカの剣幕にバトラーは驚いていた。しかし、蝶ネクタイを直して話し出した。 「そうか、よくおきき。きみたちはいるだけで、そうやって、お金を払わなければならない。ところが、大家はいるだけでお金が入ってくるんだ。聖書にはこう書いてある『もっているものはより多くもち、もたざるものは、よりもたない』となー。つまり、我々は神の人であり、君たちは雑草みたいなものなんだよ」 王様は皮肉をこめていう。 「聖書の時代は民主主義だったのか?」 バトラーは、眼鏡をキラリと光らせ、王様を見下してから、 「このお金も銀行に預ければ、働いてくれて、利子というものをうむ。民主主義とは、そういう自由な社会のことをいうんだよ」 と笑い返した。 「マリ、貯金しているわ」 にこりと笑った。 「いい子だ」 バトラーは孫のマリの頭をなでた。 「この乞食に与えては、お金は死ぬが、貯金をすれば、生きるんだ」 ユリカとカールは何も言えなくって、首を横にしていた。乞食になった王様は、頭をうなだれていた。 世の中はなんて、不公平なんだろう。そして、いつもその不公平をつくりだしているのは、お金というものではないだろうかとユリカたちは思っていた。 「土地を買ったか。土地の値段は下がることはない。どんどん土地を買うのだ。土地を担保にして土地を買うのだ。そして買った土地を担保にして、土地を買うのだ。土地はどんどん値上がる。値上がりはするが、下がることはないのだ」 頭取は威張っていた。 「そんなことは、あるはずがない。身勝手な人がマネー・ゲームをしているだけさ」
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思い続けてン十年、もう諦めましたがね。
そのうえ書斎持ちときたら、
そりゃ、私らから見たら天国でっせ(^^)
うらやましい……。