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「核兵器使用計画」を読み解く-アメリカ新核戦略と日本-

2010年10月16日 | 読書日記など
『「核兵器使用計画」を読み解く-アメリカ新核戦略と日本-』
   新原昭治・著/新日本出版社2002年

帯に書かれてあります。下「」引用。

「ブッシュ政権による新しい核戦略の恐るべき全容!
★アメリカの核使用計画の実像とその背景を多角的に分析。
★過去の実例から核使用の手を抑える世論の役割を検証。
★日本の核出撃基地化の今日的危険を最新資料より解明。」



ブッシュ……。下「」引用。

「今回のブッシュ政権の核使用計画は、一般に考えられているよりもはるかに危険なものであると私は通関させられている。そのことをひろく明らかにすることが、本書を執筆した私の意図であった。アメリカ政府の解禁文書の解明をふくめて私なりの分析を示したが、日本とアメリカその他の国の研究者やジャーナリスト、活動家らによる解明や分析の紹介も織り込んだ。」

スクープしたのは、「ロスアンゼルス・タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」2002年3月。下「」引用。

「ブッシュ政権が重視して取り組んできた新核戦略は、二○○二年三月に入って米議会あての「核体勢見直し」(NPR)秘密報告がすっぱぬかれた。その結果、「通常兵器並みに」使いやすい核兵器をめざす、危険な核使用計画を軸とする攻撃的な新核戦略であることが知られているにいたった。」

Index

推進派「ロスアラモス核研究所のスティーブン・ヤンガー(Stephen Younger)」

「バターン死の行進」 下「」引用。

「砂漠地帯を思わせる荒涼たるニューメキシコの高原を走っただけでは、想像もつかないが、ここは第二次世界大戦中、フィリピンでの日本軍の残虐行為、「バターン死の行進」によって犠牲になった米兵たちを最も多く出した州で、住民のあいだで反日感情が強かった。そのせいで核兵器開発にたいしても住民は協力的だったという。しかし、半世紀の月日が流れ、多くの変化がここでも起きた。」

反核団体。下「」引用。

「この反核団体は、ロスアラモス国立研究所の研究者たちにたいし核兵器開発に加わらない誓約署名を働きかけている。」

Los Alamos Study Group

推進派「全米公共政策研究所長のキース・ペイン(Keith Payne)」 下「」引用。

「一九八○年代に米ソ核戦争にかんする「勝利は可能である」と題した論文の共同執筆者としてアメリカでは知られてきた。核兵器使用をタブー視する風潮、いわゆる「核のタブー」に、アメリカの政府指導者はとらわれてはならないという持論の持ち主である。」

「ならず者国家」は米国もだが棚上げしている……。下「」引用。

「「ならず者国家」攻撃のための小型核兵器の新開発を提唱してきた核兵器開発の専門家スティーブン・ヤンガート、核使用のタブーにとらわれてはならないという持論の持ち主の核戦略専門家キース・ペインの二人の人物のアイデアは、ブッシュ政権の核兵器使用計画が打ち出した新しさを準備したのである。」

仮想対象国、中国も含まれている。下「」引用。

「このように、北朝鮮、イラク、イランなどブッシュ大統領が「悪の枢軸」と呼んだ三カ国、それにシリア、リビアを加えた五カ国が、緊迫度の高いカクコウゲキの仮想対象国とされている。
 また、すでに引用した中にあるが、本来、中国の内政問題である台湾の地位をめぐって今後起こりかねない軍事紛争を想定し、中国を核使用計画の緊迫度の高い仮想使用対象国に挙げている。これもブッシュ政権の核戦略の新しい特徴である。秘密報告は、中国にかんしてこう述べている。
「中国の展開中の戦略目標と核戦力・非核戦力の近代化の進行を総合した場合、中国は差し迫った事態にも、発生しうる事態にも、かかわり得る国である。」
 一方、ロシアについては、当面は同国との軍事対決の要件はないとしながらも、将来への見通しにかんする不確定性を問題にし、今後の潜在的問題として位置づけている。」

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「四 ブッシュ政権の異常な秘密主義」

浅い地中での核爆発では、より放射性物質が生成されるという。下「」引用。

「ネルソンは、「浅い地中での核爆発は、火球が地表に達しないような高空での同じ威力の核爆発よりも、はるかに強力な放射性の降下物を発生させる。火球が地表を破ると、大量の土壌や破片を空中に吹き出す。核兵器そのものから生じる放射性分裂の生産物に加えて、この物質は核爆発で生じた大量の中性子によって放射性を帯びせられた原子核をふくんでいる。それから結果する放射能を帯びたチリの雲は、〔地上の核爆発実験でのような〕典型的なキノコ雲のように高くまでのぼらずに、はけ口を求める高温のガスの幅の狭い円柱部分と、それを取り巻く噴出した噴出物の大波と空中を浮遊する微粒子からなる幅の広い底辺部分からできる」と述べている。」

澤田昭二名古屋大学名誉教授。下「」引用。

「日本の科学者も、広島・長崎での悲惨な核被害にもとづいてこの危険を生々しく描き出している。澤田昭二名古屋大学名誉教授(物理学)は、小型化した地下貫通核兵器が「付随的被害」を小さくするという開発推進派の主張し反駁し、むしろ地下で核爆発をおこさせることによって、かつて経験されたことのないようなきわめて深刻な放射線被害を生み出すことになるとつよく指摘している(二○○二年八月二日、広島での原水爆禁止世界大会国際会議での発言)。それによると、地下貫通核兵器の爆発は、「広島・長崎原爆の空中爆発よりも、はるかに大量の放射性物質を誘導放射化する」。誘導放射化とは、核爆発によって放出された中性子の一部が、核兵器の破片、土砂、空気など周辺の物質の原子核に吸収されて、原子核を放射性の原子核に変えることをいう。-略-」

広島修道大学 岡本三夫教授。下「」引用。

「「核爆発が制御可能な『バンカーバスター型』の超小型の核兵器なら使用してもいいという『核使用肯定論』はヒロシマ・ナガサキの惨状、特に放射能の恐ろしさを知らなさ過ぎる。あの地獄図に思いを致すならば、この非人道的な放射性の『空飛ぶアウシュヴィッツ』で人殺しをする感覚は尋常ではない」と非難している(『世界』二○○二年九月号)。」

「核使用計画に群がる「死の商人」」 下「」引用。

「報告書は、核兵器開発・生産複合体制の個々の研究所や施設を運営している一連の軍需企業に、直接の恩恵を与えることになると数字をあげて指摘している。
 アメリカ最大の軍需企業ロッキード・マーティン社に例をとろう。同社は、サンディア研究所の運営をまかされており、またネバダ核実験場の運営にも参画していて、これにより毎年十億ドル以上をエネルギー省から受け取っている。-略-
 核体勢見直しの青写真となった例の報告書を作成した全米公共政策研究所の理事会には、ロッキード・マーティン社副社長のチャールズ・カパーマンが入っている。ハータングの報告書は、全米公共政策研究所がロッキード・マーティン社から企業献金を受けていると指摘している。
 この報告書は、核兵器開発・生産複合体制に参画しているロッキード・マーティン社をはじめ一連の軍需企業とブッシュ政権関係者との人的・金銭的結びつきを解明している。それはまだほんの氷山の一角にすぎないだろうが、核兵器使用計画に群がる「死の商人」と政府指導者との生々しい人間模様を見せつけられる思いがする。」

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かつて「朝鮮上空で核爆弾投下を擬した実戦さながらの作戦」 下「」引用。

「一九五一年五月、リッジウェー米極東軍司令官は、地上作戦支援の目的で核兵器を使用しようとして、米戦略空軍に支援を要請した。それにそって統合参謀本部は同年八月、現地上空での原爆投下手続きを試すため、核模擬攻撃作戦をおこなうことを指示した。この統合参謀本部の指示にもとづいて、B29爆撃機による核投下模擬作戦「ハドソン湾」が朝鮮上空で展開された。」

「日本国民の核戦争反対世論を恐れたアメリカ政府首脳」 下「」引用。

「二回にわたる台湾海峡紛争のさい、核使用態勢をすすめたアメリカがもっとも気にしたのはアジアの民衆の世論であり、とくに日本の国内世論であった。」

「核再配備を隠すための「新NCND政策」」 下「」引用。

「ブッシュ政権は一九九二年七月に、戦術核兵器の海外からの引き揚げが終了したと発表した時、公式に「新NCND政策」を明らかにした。有事における核持ち込みを、同盟国国民に知られずに実行する目的で、破綻した「否定も肯定もしない」政策(NCND)を継続したのだが、ほんの少し新しい化粧をほどこしたので、「新NCND政策」と呼んだ。」

最初の核持ち込みは空母オリスカニの横須賀寄港、1953年。

沖縄に核持ち込み1953年--アイゼンハワー大統領補佐官の回想。

鳩山一郎首相の核持ち込み容認言明、1955年。

あいついだ広島・長崎からの批判。








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