アカネさんシリーズ001 恋のタイムマシーン 116味覚にも老化が…… 「駄目よ、この笑顔に騙されるのよ。糖尿病じゃないけど、心配だから、上げてはいけないことになっているのよ。若い介護職員さんなんか、人の目に隠れて、このアンパンじいちゃんにあげているのよ。でも、注意しているわたしも上げてしまうのよね」 「アンパンちょぶだい!」 「このお地蔵さんスマイルに、みんな弱いのよ」 「そうよね。私なんか、施設長がないしょで、甘い物をあげているところを見たわよ」 「本当にね、このお地蔵さんスマイル!」 「でも、長生きして欲しいから、悩むのよね」 「こんなに、うれしそうにされたら、あげたくなるのも仕方がいわよね」 「小一郎がおもしろい話しをしていたわよ」 「何?」 「小一郎ってアルコール好きでしょう。「アルコールちょうだい!」っていっても、ちょっとも、かわいくないから、アンパンじいちゃんみたいに好かれないだろうから、今のうちに甘党も努力しないとなあーと話していたわよ」 「知っていますか? 味覚も老化するんですよ」 「味覚も……」 「そうです。比較的、最後まで残るのが、甘さを感じる感覚なんですよ」 「それで、ご老人は甘党が多いんですよ」 「そうなのか」 「リハビリの考えなんですが、失ったものより、残っているものの活用を考えるんですよ。甘味を楽しむこともいいかもしれませんね」 「失ったものを嘆いていても、何もなりませんからね。それよりも、あるもので楽しむ、努力する。これは大切なことでしょうね」 茜はそういえば、甘いものはすごく美味しく感じるんだけど、他はいつもよりは感じていなかったのに気がついた。 疲れているからだと思ったけど、体が老人になってしまったからなのね。 茜は納得した。
人気blogランキングへ ありがとうございます。 |
最新の画像[もっと見る]
- いい音ってなんだろう-あるピアノ調律師、出会いと体験の人生- 12年前
- 音楽演奏の社会史-よみがえる過去の音楽- 12年前
- AERA ’12.7.16 12年前
- 週刊現代 2012-8-11 12年前
- AERA ’12.7.9 12年前
- 必ず来る!大震災を生き抜くための食事学-3・11東日本大震災あのとき、ほんとうに食べたかったもの- 12年前
- 僕のお父さんは東電の社員です-小中学生たちの白熱議論!3・11と働くことの意味- 12年前
- 日本の原爆-その開発と挫折の道程- 12年前
- エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/13 12年前
- エコノミスト-週刊エコノミスト- 2012-3/6 12年前