磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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漂流する国ニッポン-3・11大震災・福島原発事故で見えた“誰も責任を取らない国”の実相-

2012年02月18日 | 読書日記など
『漂流する国ニッポン-3・11大震災・福島原発事故で見えた“誰も責任を取らない国”の実相-』
   入江吉正・著/フォレスト出版2011年

帯に書かれてあります。下「」引用。

「気鋭のジャーナリストが徹底した取材に基づき書き下ろした、日本にはびこる「無責任の連鎖」と驚愕の新事実! だがしかし…… 日本人の心に「美意識」がある限り、必ず再建できる! “欲”と“カネ”の渦巻く国に一輪の花を!」



幻想……。下「」引用。

「原発立地の街に掲げられている看板「原子力は明るい未来のエネルギー」という幻想が今回の事故で無残にも打ち砕かれた。原子炉の廃炉など事故収束までの時間は気が遠くなるほど長いという現実が日本の将来に横たわっている。
 原発に頼らない新エネルギー政策を打ち出し、経済成長にはこだわらない、という考え方がある。-略-」

「無責任の連鎖」 下「」引用。

「今の日本に蔓延っている「無責任の連鎖」こそ「日本人とは何者なのか」ということの一端を垣間見せているのかもしれない。原発事故の責任を問わないまま放置すると、日本という国を衰退へと導くだけかも知れないのだ。」

原発ジプシー「大角信勝さん(当時60歳)」心肺停止、5月14日。
大角信勝さん、タイ人の女性と国際結婚。下「」引用。

「夫の死後、労災を申請できることも知らなかった。-略-
 カニカさんは、この件で夫が社員として雇われていた大和建設工業の社長に相談した。社長は、カニカさんを飲み屋に誘い、こう言った。
「あなたに50万円あげるから、もうタイへ帰らないか」
 この“原発マネー”にしか興味がない社長は、労務の問題が大きくなると原発の仕事をもらえなくなると心配し、カニカさんをタイへ送り返すという“厄介払い”を画策していたのだ。一方、カニカさんは、弁護士にも相談していた。その弁護士事務所から翌朝、内容証明が届いて驚いた社長は、カニカさんに、こう言った。
「裏切ったな」-略-」

もちろん、現実に裏切っているのは、社長でしょうね……。

階層化された日本……。下「」引用。

「日本という社会は階層化された仕組みで成り立っている--。
 原発の仕事は、例えば東電が、まず日立や東芝、“東電御三家”と呼ばれる東電子会社の東電工業、東電環境エンジニアリング、東電エネシスなどなどの元請けに仕事を発注する。東芝や日立、“東電御三家”の下に20社ほどが3次の常駐する下請けとしてぶら下っている。その下に、さらに配管やバルブ、電気など固有の技術力を持っている地元の専門業者が4次下請けとして連なっている。
 4次下請けの専門業者は、5次下請けとなる派遣会社に仕事を発注して作業員を集めている。そこで必要な人数を集められないと、6次、7次となる派遣会社を使ってでも作業員を掻き集めることになる。
 さらに8次、9次と小規模の派遣会社が絡み、中には派遣会社から派遣会社へと多重派遣されることもあるから驚きだ。5次以下の会社には、元暴力団が経営する会社や、今でも暴力団に近い会社も紛れ込んでいるという。
 渡辺弁護士は、原発作業員の手配に暴力団が介在していると指摘した。
「ある作業員は、覚せい剤取締法違反で刑務所に入っていた。刑務所の中で知り合った暴力団員に弁護士を40万円で紹介してもらい、代金を立て替えてもらった。出所すると、借金額が月1割の利息で計算され、かなり膨れ上がっていた。暴力団員から『借金を支払えないのなら知り合いのところで働け、賃金から返済金を差し引くから』ということで、原発で働くようになった。暴力団と原発の間に、何らかの接点があるということがわかった」」

東電は格差社会のトップに君臨してきたという。暴力団まで、東電の配下というのがすごいですね。

犠牲のシステム……。下「」引用。

「格差社会を軸とした犠牲のシステムは、ある者の利益が、他者の生命や健康、尊厳、希望などを犠牲にして成り立ち、冷徹に維持されていく。犠牲者は、国家や企業、社会から“尊い犠牲”として正当化されていくのだ。海外メディアから称賛されていた「フクシマ50」も、その一つに違いない。
 原発事故の現場で、被曝覚悟で危険な収束作業に取り組んでいるのは東電の会長や社長ではなく、現場の作業員だった。その多くは東電の社員ですらなく、子会社や下請けを介して全国各地から掻き集められてきた“尊い犠牲”を負わされる“被差別者”なのだ。
 しかも、危険な事故収束の任務に当たっている作業員の9割近くを地元出身者が占めている。原発事故の被災者が、皮肉なことに事故収束のため過酷な末端労働を担わされているという実態もあるのだ。」

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東電の年金。下「」引用。

「年金生活を送っている東電OB(67歳)は、原発事故の影響で企業年金が減額されることを心配しいた。
「東電の場合、企業年金が65歳から公的年金にプラスされる形で10年間もらえることになっている。その額は、月額で40万円ほどだ。本当に助かっている。それを一方的に削るなんて、とんでもない。老後の生活が不安だ」
 取材を受けてくれた東電関係者の誰もが被災者や被災地の心配をしているかのように振る舞いながら、本音では自分の懐具合の心配しかしていない人も少なくなかった。
 本音と建前を使い分けながら折り合いを付けて生きていくのが日本企業のサラリーマンの生き方だとは理解しているつもりなのだが、その折り合いの「物差し」が“誰も責任を取らない”という日本社会を生みだしてきたような気がしてならなかった。」

“接待所” 下「」引用。

「東電の子会社「東京リビングサービス」は、福利厚生事業を担っているが、もう一つの顔があった。贅沢な東電の“迎賓館”を保有していたのだ。-略-
 東電でも幹部しか使えない“接待所”だと聞いていた。あのときは東電の幹部に連れていかれた。政治家や官僚をもてなすにはもってこいといった施設だった。窓から若い女の子なら感激するような夜の羽田空港が一望できた」
 その“迎賓館”は、築地から程近い聖路加タワーの34階にあった。東電関係者の間では「明石倶楽部」と呼ばれている。」

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四国電力でも。下「」引用。

「電力会社は、カネを生む原発のためなら平気で嘘をつき、“やらせ”にも手を染める性根が卑しいサラリーマンの集団だったのか。
 九電だけでなく四国電力でも06年6月、伊方原発(愛媛県)3号機のプルサーマル発電をめぐるシンポジウムで“やらせ質問”が行われていた。同社の要請で発言した10人のうち7人が同社の作成した「国シンポジウムの発言の例」という“発言メモ”に沿った発言をしていたのだ。中にはメモを棒読みする発言者もいた。」

「“原子力埋蔵金”12兆円を死守し、消費者のカネで後始末」 下「」引用。

「東電は、なぜ損害賠償で“原子力埋蔵金”の存在に触れないのだろうか。-略-
 公益社団法人「日本経済研究センター」(JCER)の研究本部は4月25日、福島第一原発事故の損害賠償について、「日本経済の再設計 震災を超えて エネルギー制約を考える」という提言をまとめた。
〈増税や、電気料金引き上げは必要ない〉
 財界系ともいえるシンクタンクの意見だった。
 損害賠償の費用として、
〈東電の使用済み核燃料の再処理関係の引当金や利益剰余金など3兆700億円をまず充てるべきだ〉
 と提言し、その前提の下に、
〈年間4300億円ある原子力予算のうち、高速増殖炉開発や核燃料サイクルの研究など凍結すれば毎年2000億円が浮く〉
〈青森県六ヵ所村にある再処理工場の操業(40年間操業予定)を凍結すれば、電力業界が再処理費用として積み立て予定の12兆円の一部を充てることができる〉
 としていた。」

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小学校唱歌と原発立地地区。下「」引用。

「東電は当時、原発建設の用地として広大な土地を探していた。条件は、首都圏に比較的近いところだった。大熊町と双葉町は、その条件にびったり合った“何もない場所”だった。両町にまたがる広大な土地の中心部は、長者原と呼ばれる海に面した広漠とした台地だった。
 戦時中、日本軍の磐城陸軍飛行場の跡地で、戦後は一部が塩田として使われていた。時おり小中学生が遠足で訪れ、海を眺めながら弁当を食べるようなところだった。鹿が多いところで、鉄砲を撃つこともでき、猪も徘徊していた。
〈いまは山なか、いまは浜 いまは鉄橋わたるぞと思うまもなく トンネルの闇をとおって・・・〉
 その小学校唱歌の歌詞は、常磐線の単線区間の風景を基に書かれたとされている。原発立地の予定地は、そんな地形が入り込んだ辺鄙な場所だった。
 東電は、その広大な土地を多くの地主と面倒な土地購入の交渉をする必要もなく、ほとんど反対運動に遭うこともなく用地買収を終えることができたのだ。
 両町では、原発建設が始まった後、関連の仕事が増え、人の出入りも多くなり、徐々ににぎやかになっていった。両町と東電との“原発マネー”を仲立ちとした“共存共栄”の歴史の始まりだった。」

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田中角栄。下「」引用。

「田中首相は当時、雑誌『アサヒグラフ』(88年6月10日号)で、こんな発言をしていた。
〈東京に作れないものを作る。作ってどんどん電気を送る。そしてどんどん東京からカネを送らせるんだ〉
 この発言の端的に示しているのは、首都圏に労働力を吸い上げられて過疎化の憂き目を見ていた地方の都市部に対する“リベンジ”という発想だった。」

発想でしょうね……。現実は福島第一原発事故……。格差社会の土台……。現実は、田中角栄は庶民の敵ですね。

毎月700円配られたという。下「」引用。

「福島第一原発や第二原発の立地地域では毎月、一戸当たり700円、年間8400円が配られている。新増設の場合には、それに単価が上乗せされる仕組みになっている。
 清水副学長によると、福島県では、これまで36年間の合計で県と市町村を合わせて約2700億円の交付金を受け取っていた。
 09年度の交付金は、双葉町や大熊町、富岡町、楢葉町の原発立地4町だけで総額約57億円にも上っていた。福島県の約52億6200億円にもなっているのだ。制度が発足した75年の交付金額が16億円だったので、約10倍にも膨れ上がっていた。」

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中曽根康弘、語る。下「」引用。

「1955年、若き日の中曽根康弘元首相は語った。
「かつて原子力は猛獣だったが、今日では家畜になっている。原子力で日本の水準を上げて国際的にも正当な地位を得るように努力する」
 翌年、中曽根氏を中心に原子力基本法が制定され、原発が資源小国である日本の国策として推進されていった。」

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「福島第一原発2号機は何者かにハッキングされていた」

「原発運転差し止め訴訟「上告棄却」 最高裁判事が原子炉メーカーに東芝に天下り」 下「」引用。

「日本では、裁判所も原発を“国策”として推進してきた“状況証拠”のようなものを残してきた。政府の“太鼓持ち”になったところがあり、これまで原発をめぐる運転差し止め訴訟では、政府や電力会社側の言い分がまかり通っていた。-略-
 上告を棄却した判事は、東芝に監査役として天下っていた味村治元判事だった。東大出身の味村氏は、司法試験にの合格した後、まず検事の道へと進んだ。-略-
 味村氏の人生を辿って見ると、ほとんど納税者の血税によって生きてきていた。もともと会社経営者や企業家などが身を粉にして利益を出し、そこから税金を納めていることなと理解できるはずもない人物だったと推察される。」

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AKB48も人によってはこんな表現になるのか……。下「」引用。

「『AKB48』のグッズやCDを買うカネが欲しくてやった」
 大阪府警に窃盗で逮捕された15歳の少年は7月28日、そう供述した。
 女性アイドルグループ「AKB48」は震災後も、金儲けに目がない金銭欲に飢えた大人にこき使われ、若くてピチピチした女体をセクシャルな商売衣装で包み込み、あざというエロスの匂いを社会に撒き散らしていた。
 逮捕された少年を含めた5人グループは、中学校の同級生で、中心メンバー3人が熱狂的な「AKB48」ファンだった。まるで飢えた昆虫のように本能を刺激してくる安っぽい匂いに誘われ、風俗街を彷徨っていた助平なオジサンのように欲望の塊と化していたのだ。-略-」

オンボロ物件と「相次ぐ「被災者お断り」の物件仲介」 下「」引用。

「住む家に困っている被災者に、オンボロ物件を貸す大家も大震災を儲けのチャンスと捉えていた。-略-」






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