『シリーズ・戦争の証言9 わかれ-妻と娘の戦争体験-』
草の実会第1・第7グループ(編)/
太平出版社1973年、1989年12刷
戦争では、人々は悲しい尋常ではない“わかれ”がありますね……。
疎開もんと差別があったようだ……。下「」引用。
「「疎開もんじゃから犠牲にされたんや、可哀そうになァ」と同情してくれる者もあった。
この夫一人を頼りに、八○歳の姑と三人の幼い娘たちと私の女ばかり五人が暮らしをたてていたのだ。私のお腹には七か月目のいのちもひそやかに息づいていた。」
戦争は究極の差別……。
--戦争がはじまれば、いまよりさらに差別が広がるだろう……。
人間らしく亡き夫をおもう妻。下「」引用。
「靖国神社という神道の宗教法人が、彼を英霊にしたと告げた。妻として私は許せない。戦争の名で行なわれた殺人行為の何が英雄であるのか。戦争はすべてどのような名目であろうと犯罪でなくて何であろう。昭和四四年二月二五日、私は寒風の吹きぬけるスキヤ橋のたもとにじっと腰を下ろし、ひしひしと這い上がってくるコンクリートの冷えに耐えながら何時間もじっと座り続けた。靖国神社国家護持法案の国会提出を阻むためろに、断食を続けているキリスト者の牧師を支援するためであった。
「あなた」と私は心の中で呼びかけた。「四人の子どもたちはみんな成人しました。征輝も大学を出て就職しましたよ。あなたは絶対、靖国神社の神様ではありません。平凡な絵かきのあなたは、いつまでも私たちの夫であり父なのです」。」
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「クリスチャンだった夫」下「」引用。
「「おまえも、応召は名誉だと思っているのだろう」と、悲しいことをいいだすのだった。」
名誉といわれたら、やりたくないことも……。
……非人道的な行為もやらされるなら、そんな名誉など受けたくないものですね……。
そんなものが名誉とも思えません。
クリスチャンの夫のアイサツ。下「」引用。
「応召する日の朝、近くの小学校で、夫が歓送の人たちにあいさつした。
「わたしは、神を恐れぬものを恐れません」といった。わたしはひやりとしてあたりを見まわしたが、人びとはこの勇ましそうなこどはに歓呼の旗を振っていた。
この夫は、死なずにかえっきた。過剰員として、残されたのである。-略-」
しかし、敗戦の夜、療養所で病死……。
「空襲下の闘病記」というのもありました……。
知人が……。下「」引用。
「庭の壕に爆弾が二本も落ちて、あのまま入っていたらみんな焼死しているところでした。後ろの壕では十数人も入っていて、全部死んでいました。みんな昨日までお喋りした知人ばかり。何も武器を持たない女・子どもでもこんな目にあって、戦争とはいったい何なのでしょう。誰のために、何のために……。私の心に不安が一杯になりました。」
もくじ
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草の実会第1・第7グループ(編)/
太平出版社1973年、1989年12刷
戦争では、人々は悲しい尋常ではない“わかれ”がありますね……。
疎開もんと差別があったようだ……。下「」引用。
「「疎開もんじゃから犠牲にされたんや、可哀そうになァ」と同情してくれる者もあった。
この夫一人を頼りに、八○歳の姑と三人の幼い娘たちと私の女ばかり五人が暮らしをたてていたのだ。私のお腹には七か月目のいのちもひそやかに息づいていた。」
戦争は究極の差別……。
--戦争がはじまれば、いまよりさらに差別が広がるだろう……。
人間らしく亡き夫をおもう妻。下「」引用。
「靖国神社という神道の宗教法人が、彼を英霊にしたと告げた。妻として私は許せない。戦争の名で行なわれた殺人行為の何が英雄であるのか。戦争はすべてどのような名目であろうと犯罪でなくて何であろう。昭和四四年二月二五日、私は寒風の吹きぬけるスキヤ橋のたもとにじっと腰を下ろし、ひしひしと這い上がってくるコンクリートの冷えに耐えながら何時間もじっと座り続けた。靖国神社国家護持法案の国会提出を阻むためろに、断食を続けているキリスト者の牧師を支援するためであった。
「あなた」と私は心の中で呼びかけた。「四人の子どもたちはみんな成人しました。征輝も大学を出て就職しましたよ。あなたは絶対、靖国神社の神様ではありません。平凡な絵かきのあなたは、いつまでも私たちの夫であり父なのです」。」
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「クリスチャンだった夫」下「」引用。
「「おまえも、応召は名誉だと思っているのだろう」と、悲しいことをいいだすのだった。」
名誉といわれたら、やりたくないことも……。
……非人道的な行為もやらされるなら、そんな名誉など受けたくないものですね……。
そんなものが名誉とも思えません。
クリスチャンの夫のアイサツ。下「」引用。
「応召する日の朝、近くの小学校で、夫が歓送の人たちにあいさつした。
「わたしは、神を恐れぬものを恐れません」といった。わたしはひやりとしてあたりを見まわしたが、人びとはこの勇ましそうなこどはに歓呼の旗を振っていた。
この夫は、死なずにかえっきた。過剰員として、残されたのである。-略-」
しかし、敗戦の夜、療養所で病死……。
「空襲下の闘病記」というのもありました……。
知人が……。下「」引用。
「庭の壕に爆弾が二本も落ちて、あのまま入っていたらみんな焼死しているところでした。後ろの壕では十数人も入っていて、全部死んでいました。みんな昨日までお喋りした知人ばかり。何も武器を持たない女・子どもでもこんな目にあって、戦争とはいったい何なのでしょう。誰のために、何のために……。私の心に不安が一杯になりました。」
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