『テロリズムと戦争』
ハワード・ジン(著)/田中利幸(訳)/大月書店2003年
平和には民主主義が大切だと思います。
--ところが、その民主主義を考えていない人たちが多い……。
オサマ・ビン・ラディンを取り除くだけで解決にはならないという……。下「」引用。
「オサマ・ビン・ラディンを取り除くだけでは解決になりません。イスラム教徒の聖地であるメッカと目ディーナ近辺にアメリカ合衆国が軍隊を駐留させていることに、この地域の人たちは憤慨しています。また、イラクにたいへんな苦悩を与えている制裁措置を解除することです。さらには、イスラエルにたいして毅然とした態度をとることです。米国政府は、これまでイスラエルを武装化するために使ってきた権力を、イスラエルのパレスチナ人にたいする処遇方法を変えさせるために使うべきです。そのためには、もちろん、アラブ諸国やその他の国々の武装化、グループの武装化からもアメリカは手を引くべきです。」
テロリストの心配のない国もあるという……。下「」引用。
「スウェーデンはテロリストの心配をする必要がありません。デンマーク、ニュージーランドも同様です。世界にはテロリストのことを心配しなくてもよい場所がいくつもあります。これらの国々は、自国の軍隊をさまざまな地域に駐留させるということはしていません。これらの諸国は、軍艦をあちこちに配備するということもしていません。彼らは他国の人々を悩ませたり、他国のことに介入したりはしていません。彼らは巨大軍事力を使っての破壊や軍事介入を、これまでやったことがありません。私たちも、もっと謙虚な国になりましょう。-略-」
軍事費を他に使おう! 下「」引用。
「もしそうなろうと決心すれば、いろいろな可能性が私たちの目の前に広がってきます。超軍事大国であるために毎年私たちが使っている三五○○億ドルという額のお金を、エイズ対策、飢餓対策、予防注射など、人々を助けるために使ったとしたらどうなるか、想像してみて下さい。-略-」
リストアップされという……。下「」引用。
「あなたの名前(*ハワード・ジン)は、「最初にアメリカを非難せよ」の意見を表明している人たちのリストにのせられました。このリストはリン・チェーニー氏とACTA(米国大学評議員・校友会協議会)によって作成公表されました。このリストにつけられた報告書の最初の草稿には、後で変更されはしましたが、ここにリストアップされた教授たちは「テロ攻撃にたいするアメリカの対応にとって脆い環」であると書かれていました。」
全体主義とジャーナリズム……。下「」引用。
「「大統領が自分のうしろに並べと言ったら、われわれは並ばなくてはならない」といった表現は全体主義国家で耳にするものであって、民主主義制度のもとで聞くような言葉であってはなりません。ジャーナリズムの第一の原則は、独立の声を保ち、独立した批評をすることです。政府の小間使いになり、公共組織と官公庁の代理人となり、即座に「われわれはみんな一心同体だ」などと言うのは、ジャーナリズムのとるべき原則ではありません。CNNのテレビ・ニュースをつけると、いつも画面に米国国旗が映っていますが、あれもよくないことです。-略-」
カトリックの「正義の戦争論」……。下「」引用。
「戦争に関するカソリック神学理論や哲学理論、すなわちしばしば「正義の戦争論」と呼ばれる理論においては、「比例の原則」(=軍事攻撃目標がきわめて大きなもので、攻撃するより他に方法がない場合には、その周辺にいる民間人に被害を与えることを許されるという考え)というものがよく引用されます。ジュネーブ協定にもこの原則にそった文章が含まれています(巻末の資料参照)。ある戦争が正義の戦争かそれとも不正な戦争かを判断するにあたり、これはたいへん重要な原則でした。しかし、戦争が民間人にたいしておこなわれるようになり、そして戦争で巨大破壊技術が使われるようになったいま、どうしてこの民間人被害の「比例率」が恐ろしく大きなものにならざるをえません。これは小さな戦争について語るときでさえ当てはまることです。第二次世界大戦以後、いわゆる小規模戦争がいくつもおこなわれてきましたが、イラン・イラク戦争やナイジェリア内戦のように、それらの小規模戦争でさえ一○○万人が殺されているのです。
ですから、戦争自体がもはや受け入れられないものであり、不当なものであるわけです。なぜなら、戦争の技術はひじょうに巨大なものとなっており、罪のない人々が殺されるのが避けらなくなっているため、「比例の原則」はまったく働かないからです。-略-」
もくじ
もちろん、イエス・キリストが教えたものではない……。
彼の言説なら、一人であっても許さないだろう……。
特に幼子にたいしては……。
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ハワード・ジン(著)/田中利幸(訳)/大月書店2003年
平和には民主主義が大切だと思います。
--ところが、その民主主義を考えていない人たちが多い……。
オサマ・ビン・ラディンを取り除くだけで解決にはならないという……。下「」引用。
「オサマ・ビン・ラディンを取り除くだけでは解決になりません。イスラム教徒の聖地であるメッカと目ディーナ近辺にアメリカ合衆国が軍隊を駐留させていることに、この地域の人たちは憤慨しています。また、イラクにたいへんな苦悩を与えている制裁措置を解除することです。さらには、イスラエルにたいして毅然とした態度をとることです。米国政府は、これまでイスラエルを武装化するために使ってきた権力を、イスラエルのパレスチナ人にたいする処遇方法を変えさせるために使うべきです。そのためには、もちろん、アラブ諸国やその他の国々の武装化、グループの武装化からもアメリカは手を引くべきです。」
テロリストの心配のない国もあるという……。下「」引用。
「スウェーデンはテロリストの心配をする必要がありません。デンマーク、ニュージーランドも同様です。世界にはテロリストのことを心配しなくてもよい場所がいくつもあります。これらの国々は、自国の軍隊をさまざまな地域に駐留させるということはしていません。これらの諸国は、軍艦をあちこちに配備するということもしていません。彼らは他国の人々を悩ませたり、他国のことに介入したりはしていません。彼らは巨大軍事力を使っての破壊や軍事介入を、これまでやったことがありません。私たちも、もっと謙虚な国になりましょう。-略-」
軍事費を他に使おう! 下「」引用。
「もしそうなろうと決心すれば、いろいろな可能性が私たちの目の前に広がってきます。超軍事大国であるために毎年私たちが使っている三五○○億ドルという額のお金を、エイズ対策、飢餓対策、予防注射など、人々を助けるために使ったとしたらどうなるか、想像してみて下さい。-略-」
リストアップされという……。下「」引用。
「あなたの名前(*ハワード・ジン)は、「最初にアメリカを非難せよ」の意見を表明している人たちのリストにのせられました。このリストはリン・チェーニー氏とACTA(米国大学評議員・校友会協議会)によって作成公表されました。このリストにつけられた報告書の最初の草稿には、後で変更されはしましたが、ここにリストアップされた教授たちは「テロ攻撃にたいするアメリカの対応にとって脆い環」であると書かれていました。」
全体主義とジャーナリズム……。下「」引用。
「「大統領が自分のうしろに並べと言ったら、われわれは並ばなくてはならない」といった表現は全体主義国家で耳にするものであって、民主主義制度のもとで聞くような言葉であってはなりません。ジャーナリズムの第一の原則は、独立の声を保ち、独立した批評をすることです。政府の小間使いになり、公共組織と官公庁の代理人となり、即座に「われわれはみんな一心同体だ」などと言うのは、ジャーナリズムのとるべき原則ではありません。CNNのテレビ・ニュースをつけると、いつも画面に米国国旗が映っていますが、あれもよくないことです。-略-」
カトリックの「正義の戦争論」……。下「」引用。
「戦争に関するカソリック神学理論や哲学理論、すなわちしばしば「正義の戦争論」と呼ばれる理論においては、「比例の原則」(=軍事攻撃目標がきわめて大きなもので、攻撃するより他に方法がない場合には、その周辺にいる民間人に被害を与えることを許されるという考え)というものがよく引用されます。ジュネーブ協定にもこの原則にそった文章が含まれています(巻末の資料参照)。ある戦争が正義の戦争かそれとも不正な戦争かを判断するにあたり、これはたいへん重要な原則でした。しかし、戦争が民間人にたいしておこなわれるようになり、そして戦争で巨大破壊技術が使われるようになったいま、どうしてこの民間人被害の「比例率」が恐ろしく大きなものにならざるをえません。これは小さな戦争について語るときでさえ当てはまることです。第二次世界大戦以後、いわゆる小規模戦争がいくつもおこなわれてきましたが、イラン・イラク戦争やナイジェリア内戦のように、それらの小規模戦争でさえ一○○万人が殺されているのです。
ですから、戦争自体がもはや受け入れられないものであり、不当なものであるわけです。なぜなら、戦争の技術はひじょうに巨大なものとなっており、罪のない人々が殺されるのが避けらなくなっているため、「比例の原則」はまったく働かないからです。-略-」
もくじ
もちろん、イエス・キリストが教えたものではない……。
彼の言説なら、一人であっても許さないだろう……。
特に幼子にたいしては……。
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