磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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この国のあした-司馬遼太郎の戦争観

2006年02月04日 | 読書日記など
『この国のあした-司馬遼太郎の戦争観』
    高橋誠一郎・著/のべる出版2002年

ぼくも小説をかくので思うのですが、
小説の台詞を一部とって、それで議論をされたら、
たまらないだろうなあーと思います。
思想のために書いているわけではありませんから……。
でも、それがきちんと成立するところに、
司馬遼太郎のすごさと司馬遼太郎のファンの
理性の高さに驚きもします。



この著者は福沢諭吉を好むようです。
司馬遼太郎は、そうでもなかたように思えます。
勝海舟と福沢諭吉は犬猿の仲だったし、
司馬遼太郎は勝をとっていたように思えます。

ペンネームの司馬遼太郎の司馬は司馬遷からとった
と書かれてありました。
遼太郎の“遼”は劣るという意味でもあるらしい。
そして、太郎はといえば、勝麟太郎(勝海舟)から
とったのではないかと、僕は思っています。


勝は江戸を焦土から守った功労者です。
まあ、裏切り者と福沢諭吉は述べていますが、
勝小吉の愛した江戸を勝麟太郎は守ったといえるでしょう。

司馬さんは焼け野原の日本を見た。
もう、この日本を焦土にさせてたまるものかと、
意地を張って書いておられたように、
僕は思えてならないのです。

勝海舟と福沢諭吉、
両者は並び立つものではないと私は思います。
もちろん、私は勝海舟をとります。

勝海舟は机上の論理ではなかったし、
青臭い書生くずれではなかった。

司馬遼太郎はそんな勝海舟を好んでいた。
それに比べ青臭く、その上……。

司馬遼太郎も福沢諭吉が半島でなしたことを
黙認できるような、不誠実な男ではなかったと思う。

福沢諭吉に限らず、青白い書生のような論理をとなえる
人物などというものは、ひどいことをするものです。


この著者はぼくと同じようなことを思っています。
でも、それは司馬遼太郎が書いていることですね。
司馬さんは単純に教えてくれるのに、
反対に難しくなっているのが残念でした。

勝海舟は暗殺者(テロリスト)であった坂本竜馬と出会います。
この勝海舟という男は、テロリスト=狂人とはとらえなかった。
諭して、そして弟子のような者にした。

テロが成功したとしても大きな目でみれば、
マイナスにしかならないのです。
この著者のいうとおりですし、
司馬遼太郎のいうとおりだと思う。



司馬遼太郎が環境問題について語っています。「」以下引用。

「この意味で注目したいのは、司馬が「樹木と人」という講演で「ソ連のチェルノブイリの原子炉」の事故で「死の灰が各地で降って大騒ぎ」になったことにふれていることである。ここで司馬は、「平凡なことですが、人間というのはショックが与えられなければ、自分の思想が変わらないようにできているものです」と冷静に分析し、「この事件は大気というものは地球を漂流していて、人類は一つである。一つの大気を共有している。さらにいえばその生命は他の生命と同様、もろいものだという思想を全世界に広く与えたと思います」と語っている。」

ただの流行作家ではありませんね。






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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
鱧男さんの (雨漏り書斎)
2006-02-04 22:57:03
司馬遼太郎への傾倒ぶりと、理解の深さはハンパじゃないと思える、いいレビューでした ♪
返信する
恐縮です(*^.^*) (鱧男)
2006-02-05 19:57:19
何と書いていいかわかりませんが。



ぼくも司馬さんも落ちこぼれですから……。

でも、司馬さんの場合は自称ですから。
返信する

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