磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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武谷三男現代論集1 原子力 闘いの歴史と哲学

2007年11月21日 | 読書日記など
『武谷三男現代論集1
   原子力 闘いの歴史と哲学』
     頸草書房1974年

日本の原爆開発でも、名前がでてくる武谷三男さんの本です。藤本陽一さんは著者をこう評します。下「」引用。

「「武谷三男氏は、以上の原子力発電の現状のサーベイにおいて各所で述べてきたように、原子力について数々の先覚的な寄与を重ねてきたばかりでなく、市民の側に立って闘う科学者の中心としてたえず活動してきた。」



日本の原発は政治家主導のヒモつきでしたね。下「」引用。

「外国のヒモつき資材や、秘密の知識をもらっても、結局、大したものがあたえられないことは世界周知の事実である。そのうえ代償として大きな制約をうけ、広い国際協力や自由な学者の共同研究による発展を害するのである。戦時中の研究所が、所員外の出入を厳にとりしまった事を考えるがよい。アメリカの原子科学者はその点で常に不満をのべている。日本の場合、原子力研究所がそのようなことになったら、原子力の実現は不可能になるだろう。」

今、住んでいる所に関することも書かれてありました。
--田無では連鎖反応を実験しない。
田無は純粋なる学問としてやる。
--今ではこの東大の研究施設もなくなりました……。
この研究施設から、脱原発の高木仁三郎が育ったといってもいいかと思います……。

もくじ


中曽根「三原則などを言う奴は赤だ」
--アメリカのAECのイデオロギー。
日本は平和利用のはずだったが……と著者。

湯川秀樹博士は困っていたようだ。下「」引用。

「原子力問題はますます混とんとしているが、湯川博士は強い神経障害のため原子力委員を辞めるということになった。昨年(1956年)初頭原子力委員になるや否や、正力放言にはじまって盲目的な動力炉輸入の問題がはじまった。」

三原則はなし崩しにされた……。

火入れは、東海村ではなく、広島が最初……。下「」引用。

「米国から持ってきたものが連鎖反応をやったということなら、原子の火は東海村でいまはじめてともるわけではない。すでに12年まえ、広島、長崎の上空で、大きな連鎖反応が行なわれたのである。」

--ウォーターボイラーの原子の火がのびのびになる。
アメリカからファンデグラー加速器を買って、ウラン核分裂の「世界にまれな写真」を大々的に報道。
しかし、それは日本でも作れたものであるという。

--京大、宇治川に原子炉(関西の原子炉設置問題)(1957-58年)
・京大側は宇治に原子炉を設置しようとして、淀川が大阪市の水源地であるから大阪市民の反撃。
・阪大側も水源地においてはいけないと猛反対運動。

--次の候補地は、茨木市につき出ている高槻市の阿武山。
京大、阪大側はろくに現地調査せず。下「」引用。

「宇治で反対した阪大側も、高槻なら京都・大阪のちょうど中間だし、大阪市の水源地でもないというので、こんどは絶対安全に早がわりしたのである。
 また高槻市の土建業物の市会議員が誘致に異常に熱心」

原研はドサクサ劇の落し子。下「」引用。

「米英の安全委員会は我々と同じことを主張しており、セールマンはそれを百も承知の上で、日本の住民のギセイまで考える立場にないだけのことである。」

デュポン社がいいと佐藤総理と通産省。
だが、大爆発事故があったという。

公害問題についても、含蓄ある言葉。下「」引用。

「公害問題は軍事問題とならんで、日本国民だけでなく、世界人類を危うくする2本の柱のひとつです。しかもこの2つは互いに複雑にからみ合っています。」

水俣病も軍事と結びついていますね。

柏崎のことも書かれてありました。下「」引用。

「ふしぎなことには、たとえば柏崎などで原子力発電所が設置されるというと、発電所側は、安全だという宣伝をやります。パンフレットを一斉にまいたり、または演説会などに学者が雇われていって、安全だというような演説をしていますが、これはみんな何の根拠もありません。ただ安全だと言っているだけのことです。」

学園紛争の中で、でてきたのは「自己否定」だという。
しかし、著者は自己否定というものは「特権の否定」でないと本物ではないという。

石原慎太郎が無茶な論理を展開していたことも書かれてありました。








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