磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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畜生道の地球 中公文庫

2009年09月19日 | 読書日記など
『畜生道の地球 中公文庫』
   桐生悠々・著/中央公論社1989年

人類として行動したようだ……。下「」引用。

「私は言いたいことを言っているのではない。徒に言いたいことを言って、快を貪っているのではない。言わねばならないことを、国民として、特に、この非常時に際して、しかも国家の将来に対して、真正なる愛国者の一人として、同時に人類として言わねばならないことを言っているのだ。」

人類をやめた者に真の愛国心などはない。

INDEX



「刊行の辞」 下「」引用。

「「関東防空大演習を嗤う」という論文が信濃毎日新聞紙上に載ったのは昭和八年八月十一日であった。桐生悠々はこの論文で、万一敵の飛行機が大挙して日本本土上空に現れたならば、焦土と化することは避けられないと断言した。我々は今、彼の予言の如く日本全土が焦土と化し、バケツリレーを主体とする防空演習が如何に笑うべき無駄な努力であったかを知悉している。
 この言わば常識ともいうべき説も、当時、満州事変(昭和六年九月)以来、急激に指導権力を握りつつあった軍部に取っては、明らかなる反軍的言辞とみなされ、軍部の強圧の下に、悠々は信濃毎日新聞主筆の地位を追われた。-略-」

自由主義=資本主義ではない。下「」引用。

「自由主義の必然的なる一つの現われが、資本主義であるとするならば、資本主義がしかく盛んになるときには、自由主義は決して顚落しないはずだ。以て自由主義即資本主義にあらざることを知るに足りる。
 自由主義は英語のリベラリズムの訳語であって、その語源たるリベラルは、公明、正直、無偏見を意味し、政治上では、民主的なる改革と特権廃止とに好都合たる条件を意味する。かのレーセ・フェアとは全然別物である。
 従って、自由主義は一方に於て、民主主義的であると同時に、常に革新、改革を、しかも、公明に正直に、偏見に囚われずして、その目的を達せんとしているから、何時の世にも、欠くべからざる観念であり、思想であり、明治時代たると、大正時代たると、昭和時代たるとを問わず、絶対的に必要なものである。これは顚落しては、世はな仕舞である。従って、私たちは、これを顚落せしめてはならない。最後の一線を踏み止っても、これを守らなければならない。」

戦争と農業者。下「」引用。

「戦争は工業者に、ブルジョアに喜ばれて、農業者に、即ち国民の多数に喜ばれないことが察知される。
 さて右の一憶九千四百万円が如何なる産業に分配されつつあるかと見るに、兵器類の製造業に一億三千四百万円、被服類の製造業に八千九百万円、糧秣類のものに九百七十五万五千円、船舶海運補助、材料類のものに二百三十七万円、練習用具類のものに八十七万円、衛星材料のもに百六十四万円である。
 海軍はどうかというと、その六八パーセントが民間の産業を霑している。その額二億五千万円に達し、造艦造船が三千二百万円、航空機が四千四百万円、金属機械器具が一憶五百万円、化学製品が六百万円、電気機器が一千八百万円、その他の緒材料が一千一百万円である。
 そしてこれらの霑を受ける工場は次の如くである。
    陸 軍
三菱重工、川崎造船、中島飛行機、日本製鋼所、東京瓦斯電気、日本光学、神戸製鋼、石川嶋飛行機、自動車工業、住友伸鋼、日本特殊鋼、汽車製造、大島製鋼、昭和製作、東京計器、協同自動車、安立電気、明電舎、富士電機、東京無線、池貝鉄工、南部銃、明治電気、日本楽器、沖電気、日本皮革、国府電気、東京光学、朝鮮皮革、横浜ヨット、日本無電、日本計器、天満織物、和歌山紡績、日新染布、明治製革、日本化工
    海 軍
石川嶋造船、宇品造船、浦賀船渠、浅野造船、藤永田、川崎造船、三菱重工業、播磨造船、大阪鉄工、黒(ママ)田川造船、東京無電、東京瓦斯電気、東京製鋼、東京螺子、渡辺鉄工、横浜電機、三菱電機、東海電機、富士電機、藤倉電線、安立電機、北辰電機、安全電機、沖電気、日本無電、日本電池、湯浅逐電、愛知時計、芝浦製作、三菱航空機、中島飛行機、川西航空機、池貝鉄工、新潟鉄工、大阪製鎖、小穴製作、唐津鉄工、昭和製作、大隈鉄工、大阪電機、萱場製作、津上製作、幸袋工作、荏原製作、日本空機、服部時計、柳測器、玉屋商店、日本光学、日本火工、三田土ゴム、横浜ヨット、日本毛織、新興毛織、大阪毛織、高島屋、正織、富士瓦斯、和歌山紡、中越製布、日本加工布、東洋帆布、近江帆布、信州織物、帝国製麻

 だから、これらの工場は、一般国民の意志に反して、なるべく非常時の永引くことを欲するだろうけれども、その代り、これがために受けるまた受けるだろうところの霑の幾分かを社会のために奉仕しなけければならないだろう。これを租税の形にして奉仕するも可、社会救済の形として喜捨するも可、或は事業の援助として後援するも可、然らざればこれがために天罰ないし国民罰が当るだろう。(昭和十年十二月)」

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