磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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お母さん逃げて●ドキュメンタリー「原爆遺書」

2009年01月26日 | 読書日記など
『お母さん逃げて●ドキュメンタリー「原爆遺書」』
   広島テレビ放送・編/実業之日本社1972年

「はじめに」で書かれてあります。下「」引用。

「原子爆弾で潰滅した当時の広島は、痛恨としかいいようのないものであった。
 わたしも一人だけ生き残り、一家四人を原爆で亡くした。-略-テレビで発表した作品をみた人から、近ごろさかんに使われる「断絶」という言葉が、いろいろな問題を解決できないときのあきらめの言葉のように使われている。しかし、人間は互いに理解できるのだということをあくまでも信じ、相手を知ろうとひたむきな努力を続けていく以外に理解のどんな方法もない、という意見を寄せていただいたことがある。大いにその通りであると思った。
 「原爆の風化」「戦争の風化」という言葉をよく耳にする。たしかに歳月は悲惨さを人間の脳裡から奪い去る。だが忘れることのできない悲惨が広島にはある。
 この記録が、人類の未来の道標となることを願ってやまない。
   昭和四七年五月
     広島テレビ放送代表取締役
        河村郷四」



「お母さん逃げて」
--縁側にいた著者。
--原爆投下される。
--母ははい出る。しかし、妹たちが家の下敷きに。下「」引用。

「そのときそばで男のような声で「栄子はここにいるよ、お母ちゃん。水をちょうだい」と言う声がしました。一番下の妹です。当時広島市女の三年生で二階にいたのですが、下敷きになったとき首をはさまれ、腹からハラワタが出ていました。虫の息です。この世のものとは思われませんでした。本当に地獄です。姉や弟たちが吹きとんだ瓦のカケラに防火用水のまっ黒い水をくんで、持ってきてやっていましたが、そばに来たときには水はみんなこぼれていました。こちらでは妹が「だんだん息が苦しくなる。お母さん、お姉さん、みんな早く逃げて。私は舌をかんで死ぬるから」と中から言いました。煙はだんだん近づいてきます。逃げて行く人に助けてもらうよう頼んでも、みんな黙ってどんどん行ってしまいます。どうすることも出来ません。母を手を合わせ「いっしょに死ぬる」と言って、泣いて動こうとしません。それを無理矢理に引っ張るようにして逃げました。-略-」

うりのおこうこ……。下「」引用。

「-略-博之は両手を横に広げて座敷の中をぐるぐるまわりながら、「青いおこうこ、青いおこうこ」と言っていました。
 被爆後一○日ぐらいして焼け野原になったわが家に行ったとき、漬物をのせていた皿がそのままの形で残っていました。「博之ちゃん、ごめんね」と、皿を手に泣いたものです。「私は一生、うりの漬物は絶対に口にしないから許してね」と泣き伏しました。
 あれから二六年、夏がくるたびにうりの漬物を仏壇に供えます。私は死ぬまでうりの漬物は食べないでしよう。食べたいとも思いません。」

碑……。下「」引用。

「このたび平和公園の一角に『原爆犠牲国民学校教師と子どもの碑』ができました。弟の名前も過去帳に記入していただきました。原爆慰霊碑には、祖父、祖母、叔母二人、そして母、弟、妹の合計七人の名前が過去帳に記入されています。
 霊よ、安らかに眠ってください。」

八月六日は、祈りの日……。下「」引用。

「八月六日は静かな祈りの日であり、追悼の日でありたい。広島市民は市民だけの身内の心からなる法要の日にしたい。これが全市民の願いだと思う。だのに八月六日のあの騒ぎ、私たち市民の怒りもさることながら静かに眠る泉下の被爆者たちになんとわびたらよいか。
 平和呼ばわりはもう結構、せめて八月六日だけは、広島の人だけの広島にしてほしい。あんな人たちは一歩も広島にはいってきてほしくない。」

……街宣車が今年も、広島に行くことでしょう。
日常でも、あのような迷惑行為を取り締まってほしいものです。

「墓前で自殺をはかった祖母」という文もありました。

ABCCについても書かれてありました。下「」引用。

「ABCCの通訳のすすめも、「子供をとられた敵国のためには絶対に働かない」と断わって、慣れない開墾に悲しみをかくしていました。」

さらにABCC……。下「」引用。

「昭和三二年四月、貧血症で私が広島病院に二度目の入院をしましたとき同室となりましたが、そのころには白血球が増えるばかりで、手のほどこしようもなかったようです。ABCCからも血液検査にきて二○センチメートルもあろうかと思われる針を胸にさしこむのです。歯をくいしばった沢原さんの体はベッドの中にめいりこんでいました。」

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