磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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新日本新書134 広島の詩人たち

2008年10月28日 | 読書日記など
『新日本新書134 広島の詩人たち』
   増岡敏和・著/新日本出版社1971年

広島の詩人といっても、原爆をテーマにして書かれています。



原民喜は一時、左翼運動に参加していたという。下「」引用。

「また一九二六年から一九二九年ごろまで、マルクス主義の文献に接し、左翼運動への関心も示し、やがて日本赤色救援会(モップル)にも参加したりした。そしてモップル解散後、左翼運動からはなれていった。」

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峠三吉の病状……。下「」引用。

「そんなことがあって、かれは下痢や発熱をおこし髪の毛がぬけはじめ、原爆症状に陥って入院するためになるが、やがて回復し、その後はとくに原爆症状はでなかった。しかしこかれの宿痾(しゅくあ)であった気管支拡張症でその後もたびたび喀血をくりかえした。」
「峠三吉は、そのとき手術を延期(危険率が高かった)したが、それから二年のち、『叙情詩広島』を書くための体力良くしてみたび入院し、ついに手術をうけ、その手術台の上で十四時間の苦闘の末死んだ。一九五三年三月十日の夜あけであった。原爆で犯された内臓が手術に耐えられなかったのである。アメリカ占領軍が原爆の人体への影響をひたかくしにしたために、医師も本人もだれもそのことを手術のまえに考慮にいれることができなかった。そのために峠三吉は殺されたといってもいい。」

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米田栄作とベトナム戦争……。下「」引用。

「アメリカ兵にめかくしされて銃剣を突きつけられているベトナムの子どもの写真をみたとき、原爆でこっぱみじんに砕かれた自分の子どもがかさなったという。ベトナムのその少年はやがて射たれて川に放りこまれる。それはかつて広島の川で死んだ自分の子どもではなかったか、という想念から離れられないのである。川で死んだ自分の子供ではなかったか、という想念から離れられないのである。川で死んだ自分の子どもと、射たれて川に放りこまれたベトナムの少年。この慟哭の死をかれはライフワークにしたいという。
 こうして内部格闘をつづけながら、広島の川に発して世界の「敗れない」川に達し、かれはその原爆詩を今日的時点でなお執拗にうたいあげようとしている。」

峠が敬愛した米田栄作……。下「」引用。

「一九七○年、原爆の詩や絵をたくさんあつめた四国五郎の詩画集『母子像』の出版記念会の席上で、米田栄作はこう語った。「四国五郎も深川宗俊も増岡俊和も、峠三吉の詩を単に継承したというようなものではない。かれの道を継承しながらそれぞれの道を開拓している。今後ともその道を発展させ、そうして峠三吉の火を絶やさないことを願ってやまない」
 米田栄作は峠三吉が敬愛した先輩でもあった。その故峠三吉をとおして、今日までわたしたちを暖かくはげましつづけてくれる先輩詩人である。」

栗原も会っていた……。
「生れしめんかな」のモデルの産婆さん。下「」引用。

「そのとき産婆をつとめた人は、この詩では死んだことになっおり、事実作者もそうきいていたが、実際は生きていた。のちに、栗原貞子やそのとき産まれた女の子とも再会し、その再会は広島テレビでも放映された。
 栗原貞子は、爆心地より四キロのところで被爆(当時三十二歳)でしたが、負傷はなかった。隣家の人をさがして三日後には広島中を歩きまわって、第二次放射能にやられたが、さいわい今日まで特別の症状はみられないという。」

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三菱広島造船所労働組合の先進性……。下「」引用。

「としても、そのなかに占める広島造船の短歌グループの位置は、とくに朝鮮戦争前後まで広島の労働運動の中心的存在として旗を高く掲げていた三菱広島造船所労働組合の先進性を背景に、民主的自主的文学サークルの戦後最初の萌芽で、広島のはたらくものの文化運動に火をつけるさきがけをなしたものといえよう。」

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深川宗俊はABCCとのたたかいに生涯をかけているという……。

四国五郎……。下「」引用。

「四国五郎のおくろは二人の息子を戦争で奪われた。
 四国五郎は被爆していないる一兵卒として召集された中国の東北(満州)に渡っていた。敗戦(当時二十一歳)前後、ソ連軍の捕虜となり、のちシベリアに抑留され、一九四八年末復員した。シベリアではラーゲル内の上官に対する民主化闘争に参加し、ここで壁新聞を書いたり、画家の久米宏一が絵を描いていた『日本新聞』に、そのあとをひきうけて絵を描いたという。もともとかれは絵や文学が好きで、十五、六歳のころから絵を描き、詩を書いていたそうである。先生はいない。で、この反日本軍闘争の絵はみんな我流で描いた。」







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