『日本軍「慰安婦」を追って-元「慰安婦」元軍人の証言録-』
西野留美子・著/マスコミ情報センター1995年
中国の土饅頭……。下「」引用。
「三年前、中国東北地方に、仲間と「慰安婦」の調査に行ったことがある。
ロシアとの国境の小さな村東寧にも、日本軍の慰安所は作られていた。その部隊にいた元軍人の証言がきっかけで、私たちは亡くなった朝鮮人「慰安婦」が埋葬されていたと思われる土饅頭を見つけることになった。-略-」
克復するために……。下「」引用。
「「なぜ裁判を起こしたのか」という私の問いに対して、こう答えてくれた。
「医者は私がこの苦悩を克復するためには、その原因を知ること、そしてそこから逃げないことだと教えてくれました。その治療の中で、私はようやく自分の体験を人に話すことができるようになりました。おそらくこの事件が解決すれば、私は平和に暮らすことができるでしょう。そして私は、日本人が私の国に来ることも、きっと受け入れられるようになると思うのです」」
これは、元米兵も同様でしたね……。
もくじ
--日本人「慰安婦」。下「」引用。
「戦地にはかならず将校が足を運んだ料亭や慰安所があり、そこには日本人「慰安婦」の姿があった。彼女たちは「日本ピー」と呼ばれ、朝鮮人「慰安婦」や中国人「慰安婦」よりも「上のランク」にされてはいたものの、投げ込まれたそこが軍慰安所であったことを考えれば、そして投げ込まれる社会背景を見つめるならば、そして慰安所政策の犯罪性を見るならば、日本人「慰安婦」の存在を排除して考えることはできようはずもない。」
日本人「慰安婦」を問題にしたいか? 下「」引用。
「私がなぜ日本人「慰安婦」にこだわるのかと言えば、慰安所制度を公娼制度と並べて、依然として肯定しようとする意識が、まるで暗黒のひだに潜むかのように、日本人のあいだに勢力を持っているからだ。日本人「慰安婦」に関わる問題を見つめることを通して、慰安所政策が遂行された背景には、性差別・階級差別・民族差別が構造的に関与して後押ししていたことを見据えたいと思う。」
家族を養うために……。下「」引用。
「ところが母が死んでから四年後に、今度は父が脳溢血で倒れ、そのまま亡くなってしまいました。弟たちの面倒は、長女の私にすべて降りかかってきたのです。父が残したお金はすぐに使い果たし、食べていくために私は働きに出なくてはなりませんでした。といって、その頃六人家族を支えるような給金をもらえる仕事は、そう簡単に見つかりませんでした。」
戦後、結婚……。下「」引用。
「警察が私の借金の残額を調べてくれたことがあり、もう返済が済んでいることが分かっていたんです。それで私はその人と結婚し所帯をもちました。一緒にいた女の中にはそのままGHQ相手の慰安所に残った人もいます。
でも、私の幸せも束の間でした。四年後に夫は事故で亡くなってしまったのです。何年かして再婚しましたが、結局子どもは生れませんでした」
時代の犠牲。下「」引用。
「慰安所政策が推し進められた裏側には、女たちの人生の苦悶がある。経済困窮を背景に遊廓に吸収されていった日本人女性のケースも、たとえ騙されたり強制的徴集ではなかったにしろ、時代の犠牲としてだけ見つめるには、彼女の苦悶はあまりに出口なき彷徨ではないだろうか。」
貧困家庭を狩り集めた……。下「」引用。
「そのとき軍に委託さたれ業者は、遊廓にいる女だけではなく、千円の前借金で貧困家庭の娘たちを狩り集めた。国内でも九州は、天草をはじめとして「慰安婦」にされた女が多い地区だった。この遊廓街は、もともと炭坑の町として栄え、ここに足を運ぶ男たちは、主に炭鉱労働者だったというう。それは、戦時中も変わらなかった。」
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もくじ
心中、マイト自殺。下「」引用。
「病気だけじゃなくて、心中しよった女もおったわね。好きでも借金抜けんから一緒になれない。それで心中するわけ。マイト自殺よ。炭坑で使っているのを持ってきて、二人で抱き合ったまま体をくくって、それでダイナマイトを爆発させるの。すごい音でね。壁に飛び散った肉がひっついて、そりゃ無残な光景よ。」
もくじ
軍隊慰安所は儲かった。
企業の手先となった朝鮮人。下「」引用。
「三菱炭坑に強制連行された在日韓国人T氏は、「慰安所に行けた朝鮮人は、企業の『手先』になったものだった」と語る。企業側に協力的である者は選別され異なった待遇を受けることにより、結果的にそれは同じ朝鮮人労働者の中に上下関係を作り、「分断」を啓発していく手段になったといっても言いすぎではあるまい。」
【戦後】共通の心身状態。下「」引用。
「ナチス・ドイツの強制収容所に収容された体験をもつ人が、戦後どのような精神状況にあったかについて書かれた書物を読んでいた私は、それが、あまりにも性的奴隷を強いられた女たちの戦後の精神状況と酷似していることに驚いた。
強制収容所の抑留者たちの共通の心身状態は、「多彩な自律神経失調症状、不安、焦燥、持続性神経過敏、恐怖感などを示す情動不安定、及び神経衰弱あるいは抑うつと表現されるような消耗・疲弊・無気力状態」が指摘される。それが家庭生活や社会生活に適応することを困難にし、それによる孤立は社会的秩序や人間関係の中に根をおろすことに失敗させ挫折させることにもなった。それらは、多くの「慰安婦」体験をもつ女たちの話にも当てはまるものである。」
オランダ人女性2人のことも書かれてあった。
正義の否定……。下「」引用。
「西野 ドイツでは、被害者が亡くなるのを「生物学的解決」といって、そうした時期を待つことは望ましい解決とみなされていないですね。
戸塚 世界中どこへ行っても、被害者が死ぬのを待つという解決は「救済・正義の否定だ」ということが言われています。-略-」
小沢一郎「北朝鮮はすでに核武装している」(1994年2月7日)。
もくじ
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西野留美子・著/マスコミ情報センター1995年
中国の土饅頭……。下「」引用。
「三年前、中国東北地方に、仲間と「慰安婦」の調査に行ったことがある。
ロシアとの国境の小さな村東寧にも、日本軍の慰安所は作られていた。その部隊にいた元軍人の証言がきっかけで、私たちは亡くなった朝鮮人「慰安婦」が埋葬されていたと思われる土饅頭を見つけることになった。-略-」
克復するために……。下「」引用。
「「なぜ裁判を起こしたのか」という私の問いに対して、こう答えてくれた。
「医者は私がこの苦悩を克復するためには、その原因を知ること、そしてそこから逃げないことだと教えてくれました。その治療の中で、私はようやく自分の体験を人に話すことができるようになりました。おそらくこの事件が解決すれば、私は平和に暮らすことができるでしょう。そして私は、日本人が私の国に来ることも、きっと受け入れられるようになると思うのです」」
これは、元米兵も同様でしたね……。
もくじ
--日本人「慰安婦」。下「」引用。
「戦地にはかならず将校が足を運んだ料亭や慰安所があり、そこには日本人「慰安婦」の姿があった。彼女たちは「日本ピー」と呼ばれ、朝鮮人「慰安婦」や中国人「慰安婦」よりも「上のランク」にされてはいたものの、投げ込まれたそこが軍慰安所であったことを考えれば、そして投げ込まれる社会背景を見つめるならば、そして慰安所政策の犯罪性を見るならば、日本人「慰安婦」の存在を排除して考えることはできようはずもない。」
日本人「慰安婦」を問題にしたいか? 下「」引用。
「私がなぜ日本人「慰安婦」にこだわるのかと言えば、慰安所制度を公娼制度と並べて、依然として肯定しようとする意識が、まるで暗黒のひだに潜むかのように、日本人のあいだに勢力を持っているからだ。日本人「慰安婦」に関わる問題を見つめることを通して、慰安所政策が遂行された背景には、性差別・階級差別・民族差別が構造的に関与して後押ししていたことを見据えたいと思う。」
家族を養うために……。下「」引用。
「ところが母が死んでから四年後に、今度は父が脳溢血で倒れ、そのまま亡くなってしまいました。弟たちの面倒は、長女の私にすべて降りかかってきたのです。父が残したお金はすぐに使い果たし、食べていくために私は働きに出なくてはなりませんでした。といって、その頃六人家族を支えるような給金をもらえる仕事は、そう簡単に見つかりませんでした。」
戦後、結婚……。下「」引用。
「警察が私の借金の残額を調べてくれたことがあり、もう返済が済んでいることが分かっていたんです。それで私はその人と結婚し所帯をもちました。一緒にいた女の中にはそのままGHQ相手の慰安所に残った人もいます。
でも、私の幸せも束の間でした。四年後に夫は事故で亡くなってしまったのです。何年かして再婚しましたが、結局子どもは生れませんでした」
時代の犠牲。下「」引用。
「慰安所政策が推し進められた裏側には、女たちの人生の苦悶がある。経済困窮を背景に遊廓に吸収されていった日本人女性のケースも、たとえ騙されたり強制的徴集ではなかったにしろ、時代の犠牲としてだけ見つめるには、彼女の苦悶はあまりに出口なき彷徨ではないだろうか。」
貧困家庭を狩り集めた……。下「」引用。
「そのとき軍に委託さたれ業者は、遊廓にいる女だけではなく、千円の前借金で貧困家庭の娘たちを狩り集めた。国内でも九州は、天草をはじめとして「慰安婦」にされた女が多い地区だった。この遊廓街は、もともと炭坑の町として栄え、ここに足を運ぶ男たちは、主に炭鉱労働者だったというう。それは、戦時中も変わらなかった。」
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もくじ
心中、マイト自殺。下「」引用。
「病気だけじゃなくて、心中しよった女もおったわね。好きでも借金抜けんから一緒になれない。それで心中するわけ。マイト自殺よ。炭坑で使っているのを持ってきて、二人で抱き合ったまま体をくくって、それでダイナマイトを爆発させるの。すごい音でね。壁に飛び散った肉がひっついて、そりゃ無残な光景よ。」
もくじ
軍隊慰安所は儲かった。
企業の手先となった朝鮮人。下「」引用。
「三菱炭坑に強制連行された在日韓国人T氏は、「慰安所に行けた朝鮮人は、企業の『手先』になったものだった」と語る。企業側に協力的である者は選別され異なった待遇を受けることにより、結果的にそれは同じ朝鮮人労働者の中に上下関係を作り、「分断」を啓発していく手段になったといっても言いすぎではあるまい。」
【戦後】共通の心身状態。下「」引用。
「ナチス・ドイツの強制収容所に収容された体験をもつ人が、戦後どのような精神状況にあったかについて書かれた書物を読んでいた私は、それが、あまりにも性的奴隷を強いられた女たちの戦後の精神状況と酷似していることに驚いた。
強制収容所の抑留者たちの共通の心身状態は、「多彩な自律神経失調症状、不安、焦燥、持続性神経過敏、恐怖感などを示す情動不安定、及び神経衰弱あるいは抑うつと表現されるような消耗・疲弊・無気力状態」が指摘される。それが家庭生活や社会生活に適応することを困難にし、それによる孤立は社会的秩序や人間関係の中に根をおろすことに失敗させ挫折させることにもなった。それらは、多くの「慰安婦」体験をもつ女たちの話にも当てはまるものである。」
オランダ人女性2人のことも書かれてあった。
正義の否定……。下「」引用。
「西野 ドイツでは、被害者が亡くなるのを「生物学的解決」といって、そうした時期を待つことは望ましい解決とみなされていないですね。
戸塚 世界中どこへ行っても、被害者が死ぬのを待つという解決は「救済・正義の否定だ」ということが言われています。-略-」
小沢一郎「北朝鮮はすでに核武装している」(1994年2月7日)。
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