磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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原発を考える50話 岩波ジュニア新書 269

2011年06月18日 | 読書日記など
『原発を考える50話 岩波ジュニア新書 269』
   西尾漠・著/岩波書店1996年

チェルノブイリの悲劇などなかったたかのような日本。
--そのようなことが、書かれてあります……。
そして、進行形のフクシマをなかったかのような人たちもいますね……。
さらに、恐ろしい事態になっていると伝えるのは小出助教を中心にしたネットのみでは?……。



チェルノブイリの悲劇。下「」引用。

「「私は十六歳です。チェルノブイリの悲劇のなかを生き続けるすべての人と同じように、私の時間も二つに引き裂かれてしまったようです。一九八六年四月二十六日以前、そしてそのあとに、「私はもう十七歳になった。私の心は空っぽのままである。幸せは四月二十六日から、無限の荒野をさまよったまま元に戻っては来ない」
 日本でいえば高校一、二年生くらいのエリーナ・ドロッジャさん、タチャーナ・クラフスカヤさんの作文のなかに出てくる言葉です。もう一学年下のミハイル・ピンニック君も、こう書いています。「チェルノブイリ事故は大地を揺り動かし、われわれの生活を変えてしまった。日常会話が『放射能』『レム』『キュリー』などの用語でいっぱいになった。われわれの全ての生活がチェルノブイリを考慮にいれてつくられている」」

時間がたつにつれて……。下「」引用。

「どんどん被害が大きくなってくるのが、放射能災害のおそろしさです。おまけに、いまも汚染された土地に住んでいる人が、ウクライナとロシアでそれぞれ約三○○万人、ベラルーシで約一八○万人います(一九九五年国連報告)。-略-」

ゴフマン博士の予測。下「」引用。

「事故直後にカリフォルニア大学名誉教授のジョン・ゴフマン博士は、今後数十年の各国をふくめた死者の数は約五○万人になるだろう、と予測しました。なんらかの被害を受けた人が約九○○万人いて、いまも汚染された土地に約七八○万人が暮らしていること、事故のあと始末ではたらいた人が約八○万人いることなどを考えると、その予測も、いまではむしろひかえめすぎるとさえ思います。-略-」

「放射性恐怖症」 下「」引用。

「-略-事故の影響を小さく見せようとしている人たちがいます。そのために、「放射線恐怖症」という言葉がつくりだされました。「放射線症」ではなく「恐怖症」だと言うのです。人間ばかりでなく、ほかの動もの植物にもさまざまな病気が増えている現実から、この主張はおかしいことがすぐわかります。」

福島原発事故。下「」引用。

「再循環ポンプの事故は、日本でも福島第一、第二原発、茨城県にある東海第二原発、静岡県の浜岡原発といった沸騰水型炉で、ひんぱんに起きています。いちばん大きな事故としては、八九年一月に福島第二原発の三号炉で起きたポンプの大破損事故があります。大量の金属片が原子炉のなかにまで流れこみ、炉内の大そうじをして運転再開するまでに二年ちかくかかりました。」

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傷ついた細管……。下「」引用。

「蒸気発生器の細管に穴があいたり、ひびが入ったりする事故は、ひんぱんに起こっています。福井県にある美浜、高浜、大飯(おおい)の各原発や、愛媛県の伊方(いかた)原発、佐賀県の玄海(げんかい)原発などの加圧水型炉では、定期検査のたびに傷ついた細管が何十本も見つかりますし、検査で見すごされた傷が運転中に大きくなって、放射能もれの事故を起こした例もたくさんあります。」

1991年2月、美浜原発、ギロチン破断。

手抜き……。下「」引用。

「なによりふしぎなのは、定期検査の時期の変更や期間の短縮が、なぜか大事故があるたびに、安全対策の強化と裏腹のかたちで推進されていることです。新しい安全対策にかかる経費のぶんを、以前からの安全対策にかかった経費を削ることで取りもどそうとでもしているのでしょうか。」

立ちあうだけの資源エネルギー庁の検査官。下「」引用。

「定期検査は、電気事業法では、「通商産業大臣が行う検査」とされています。しかし、じっさいには、電力会社やメーカーの社員が検査をするのに資源庁の検査官が立ちあうだけです。その立ちあい項目の約六割が、スリーマイル島原発事故の翌年の八○年一○月に、民間の原子力検査センターに移されました。電力会社とメーカーがつくった機関です。八五年三月にはさらに、立ちあい項目の一部が電力会社の社内検査でよいことにされています。」

三拍子そろう、唯一の被爆国。下「」引用。

「プレート境界がせめぎあい、いたるところに活断層があって地震が起こりやすい日本で、よりによって地盤の悪いところに、原発や再処理工場を建てる--と、危ないことが三拍子そろってしまった感じです。」

想定し6.5。下「」引用。

「じっさいに原発が建てられているところで想定されている直下地震のマグニチュードは、日本中どこでも六・五です。そこでもしマグニチュード七・二とか、もっと大きな地震が起きたらどうなるかは、検討されていません。阪神・淡路大震災のような地震が起きても原発が耐えられるというのなら、そちらのほうをこそ検討すべきだったのではないでしょうか。-略-」

耐えられるわけがありまんね!

「起こらない」と言い切る日本の原発。下「」引用。

「日本では原発の大事故は起こらない--それが、日本の原子力開発をすすめている人たちの基本的な考えです。「起こさないようにする」ではなく、「起こらない」と言いきったうえで、その「起こらない」事故にも、万が一を考えて備えをしているというのです。それが、防災対策です。防災対策は、放射能が大量に放出されるような事故が起きた場合に、その被害を最小限にとどめるためのものです。他の国では、緊急時対策といった言葉がつかわれます。」

秘密だらけということは……。下「」引用。

「つまり、多くの人の監視よって軍事利用を防止することを保障しようとしたものが「公開の原則」なのです。この原則に反して情報が隠さされば、そのかげで軍事利用が準備されるのをふせぐことはむずかしくなるわけです。その意味でも、原子力利用に関して国や自治体、企業の姿勢が秘密だらけだというのは、とてもおそろしいことであると言えます。」

「原発の電気は安いか?」 下「」引用。

「以前は、火力発電や水力発電のコストと原子力発電のコストを比較した数字を、資源エネルギー庁が毎年、発表していました。ところが一九九○年からぱったりと発表されなくなったのです。九四年になってやっと新しい数字が出されましたが、資源エネルギー庁としての発表ではなく、電気事業審議会の報告書のなかに出てくるという形です。-略-資源エネルギー庁に以前、コストをどうやって計算したのかと問い合わせたとき、「原子力発電が安いという結論がわかってもらえればいいのだから、計算のしかたを示す必要はない」との答えがかえってきました。そんな数字ですから、どれほど根拠があるものか疑わしいと言わざるをえません。」

再処理の費用。下「」引用。

「青森県六ヶ所村に建設中の新しい工場の建設費が当初見つもりの二倍以上になり、この工場が動きだすことによって再処理の費用が高くなってしまうことが、九六年一月に発表されています。」

“秘密”の計算。下「」引用。

「さらに、原子力発電を安いものにしているさまざまな“秘密”が計算に入っていないことが指摘できます。毎年つかわれている巨額の税金も、そのひとつです。一九九六年度でみれば、原子力予算の総額は五○○○億円にもなります。そのすべてが原子力発電のコストにふくまれるべきものというわけでありませんが、けっして軽視できない額です。
 安全確保のための費用を切りつめることこそが、原子力発電を安いものにするいちばんの“秘密”でしょう。わかりやすい例としては、労働者の被ばくにたいする規制の甘さがります。-略-
 放射性廃棄物のすてかたや定期検査のしかたなど、安全性を犠牲にして経済性が優先されている問題については、この本の中でいくつも見てきました。」

【影のコスト】。下「」引用。

「原発は電力をたくさんつかう大都市とは離れたところに建てなくてはなりませんから、送電や変電の設備費用が多くかかります。原発の小まわりのきかなさから必要とする揚水発電所の費用も、原子力発電の費用に加えられるものでしょう。」

いちばん高い発電方法。下「」引用。

「現に電力会社の決算書に出ている発電方式ごとの費用と発電電力量から発電コストを試算すると、原発のコストがいちばん高くなると、NHK取材班著『いま、原子力を問う』(日本放送出版協会)は報告しています。
 安ければよいとうものではないのは言うまでもありませんが、危険なうえにコスト高というので、いいところなしです。そのコストを少しでも下げるために、より危険なことがおこなわれるとすれば、さらに問題です。」







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