磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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【平和思想】絶望こそが希望である

2009年03月21日 | 読書日記など
『絶望こそが希望である Despair and personal power in the nuclear age』
   ジョアンナ・R・メイシー(著)/
     仙田典子(訳)/カタツムリ社1992年

--まれに見る、するどい本です。
絶望の世の中をかえるには、絶望を知らねばならないだろう……。
オバマにも、そう期待はできないだろう……。
--もしアインシュタインが生きていたら、期待できても……。



「訳者まえがき」下「」引用。

「この本は、核時代における絶望とそれへの対応のしかたを説く、ユニークな三つの文章に、訳者のメッセージを加えて編集したものです。
 広島・長崎への原爆投下から四六年。その間、核開発は休むことなく続けられ、原水爆と原子力発電所に代表される「核文明」は、わたしたちの肉体と精神をじわじわとむしばんできました。
 核時代と呼ばれる現代にあって、わたしたちはともすれば、「わたしたちひとりが何をしたって、原爆や原発はなくなるわけじゃない」とか、「人類が滅びるときには、わたしも苦しまずに死ねるように祈って、いまはせいぜい楽しく過ごそう」とか思いがちです。-略-」

この著者や訳者の逆の人たちが多いですね……。
とくにパワーエリートには……。下「」引用。

「原水爆であれ、原発であれ、また戦争、飢餓、生態系や人間性の破壊であれ、現代は絶望と苦悩に満ちた時代です。それを感じ、分かち合うことが、どれほど必要とされているかということに、この本で気がついていただければ、訳者としてこれにまさる喜びはありません。
 現代をともに生き、苦しむ、すべての人と生き物に、本書を捧げます。」

絶望を隠す……。下「」引用。

「最近ある精神科医が、サンフランシスコ住民の核兵器に対する考え方を調べたところ、ほとんどの人が、「核戦争は避けられないか、そうでなくとも起こる可能性が高い」と考えていることがわかりました。-略-
 文明が滅びてしまう可能性をはっきりと予測しながら、おおかたの人は泣きだしもせず、みんなに危険を知らせようともしません。人々はただ口をつぐみ、無感覚になっていくのです。
 ここで重要なのは、人々が絶望を感じていること自体ではありません。人類が作り続けている、一触即発の膨大な核兵器を前にすれば、絶望するのがあたりまえだからです。
 むしろ注目すべきは、わたしたちアメリカ人が、この絶望を自分自身から、またお互いに隠しているということです。-略-」

恐怖から無気力に……。下「」引用。

「しかしわたしは、この無気力の原因は単なる無関心ではないと思います。それは明らかに、恐怖からも来ています。平穏な暮らしの裏にひそむ絶望、それに直面することへの恐怖から、無気力は生れてくるのです。
 未来に対する恐怖は、はっきり自覚されないまま、意識の底でうごめいています。それはあまり深くて捕えどころがなく、また恐ろしくてまともに見られないものです。
 この恐怖は、ときに核戦争の夢となって現われることもありますが、それも朝のジョッキングやシャワー、あるいはパニック物の娯楽映画などで洗い流されてしまい、あるがままに自覚されたり表現されたりすることはめったにありません。絶望を表わすことへの社会的なタブーや、苦痛を恐れる気持ちから、わたしたちは恐怖を押し殺してしまうのです。」

リフトンなども、ボクには無気力なおやじにしか思えない。
「生きたトラウマ!」「生きた疫病神!」というところでしょうか?

拒むとき……。下「」引用。

「人間がまともに感じるべきことを拒むとき、その代償は高いものにつきます。それは、花が美しさを失い、愛も喜びをなくすといった、感情の世界の貧困化にとどまりません。」

性の抑圧……。下「」引用。

「清教徒的考え方がしみこんでいるアメリカの社会では、性の抑圧はポルノというゆがんだ形の性の表現を生み出します。それと同じく、死の抑圧は残虐な暴力に夢中になるという形で現われると、ゴーラーは言っています。
 これと似た理由で、パニック映画は「絶望のポルノ」と見ることができます。ポルノ映画が、性的な欲望を利用しながら、それを安っぽいものにしていると同様に、高層ビルの火災や人喰いザメの映画は、みんながぼんやり感じている絶望を利用しながら、それと真に取り組む必要をそらせてしまうのです。
 絶望と取り組む必要があるのは、アメリカのような社会では、絶望の本質に触れることがむずかしいからであり、またそうしないかぎり、地球の危機に対する創造的な力が生まれてこないからです。地球と未来の人類に対して、悲嘆を感じられるようになってはじめて、それへの愛を十分に感じることができるのです。」

「《資料》核について子どもと話すには 核時代に生きる親たちの会」
「はじめに」下「」引用。

「核時代に生きることは、わたしたちの考え方や行動、また自分と子どもの未来をどう考えるかに、大きな影響を与えています。わずかここ二、三年で、「炉心溶融」「限定核戦争」「専制核攻撃能力」といったことばは、すっかりおなじみのものとなってしまいました。それにつれて、核戦争と人類の絶滅が、恐るべき可能性として意識されるようなってきたのです。
 これは、子どもにどんな影響を与えているでしょうか。一九八二年にビアズリーとマックが行なった、アメリカ精神病理学会の調査によれば、核戦争のために自分の未来がないと考える子どもが、(幼い子の中でさえ)非常に増えているということです。「われわれ大人は、子どもの感情の発達に対して恐るべきことを行なっている。そのためにわれわれは、それについて知らないでいたがっているのではないかと思われる」と、報告書は述べています。」

ワクチンとでもいえるのかも……。下「」引用。

「この時期、絶望や自殺や発狂という形で表わした人が世界に数多くいることを、わたしは信じて疑いませんが、原民喜や大田洋子、大江健三郎などを読んでは打ちのめされながら、同時にそれらの作品からかすかな慰謝と励ましを得ていたことが、わたしをほんとうの狂気からかろうじて救ってくれたように思います。」

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ワクチンによって、強力な病巣核兵器保持国(常任理事国の全てを含む)を変えることはできないものだろうか……。

政治家・科学者を憎しんでみても……。下「」引用。

「こんな世界に住まなければならないとを呪い、そういう世界を作ってきた政治家や科学者を激しく憎みました。しかしこの憎しみは、そういう世界を作ることを許してしまった、自分という人類という愚かな種へと、最終的には返っていかざるをえないものでした。-略-」

もちろん、おなじ罪を背負うわけではありませんが……。










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