磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

海よ! 芦浜原発30年

2008年12月18日 | 読書日記など
『海よ! 芦浜原発30年』
   朝日新聞津支局/風媒社1994年

結局、原発は建てられなかったと思います。その阻止を続けることも簡単ではなかった……。どちらも故郷のことを思って……。そんなことはありません。故郷のことを思っているのは、反対派のみです。これを、間違っては、いずれ、そこに原発が建設される可能性が生れます……。ゴフマンがいった「中立は無責任」というのが、ここでも言えるとボクは思います。



帯に書かれてあります。下「」引用。

「計画から30年間、熊野灘の漁師町は揺れに揺れた。中曽根代議士の視察を阻止した「長島海戦事件」、日本で初めての摘発となった「原発汚職」、金と力ですすめられる中電の立地工作、真っ二つに割れ、憎しみ合い肉親同士も絶縁状態という漁民たち……。芦浜原発の歴史の内幕を描きながら、戦後の電源開発、巨大プロジェクトの問題点を浮き彫りにするドキュメント!」

推進派組合員もいたという。下「」引用。

「窓に張られている「原爆反対」の文字をはがそうとする推進派の組合員=1994年午後4時35分ごろ、三重県度会郡南島町古和浦漁協で」

真珠母貝養殖で利益をえていたという。下「」引用。

「『南島町史』によると、真珠母貝養殖は一九五五年に始まり、六三年から六五年に最盛期を迎えた。年間水揚げは一五○○-一六○○トンで、県内有数を数えた。-略-母貝養殖だけで一経営体につき、年間一○○万円(現在の五○○万円に相当するという)の水揚げ高はあった。『稚貝成り金』という言葉も出るほどで、至るところで家が新築された。
 漁協の預金は増え、子供を高校に進学させる余裕も生まれた。原発計画が明らかになったのは、漁民が喜びに浸っている時だったのである。」

朝日新聞がスクープしたという。下「」引用。

「スクープ記事の出る前日の六四年六月一六日の様子、-略-
 朝刊一面トップの記事は新潟地震のニュースだった。「芦原地区に決まる」の記事は一面五段抜き。一七日朝、森らの手配で号外も配られた。」

そこに中曽根康弘議員がやってくる。下「」引用。

「漁民一人ひとりから、自然発生的に上がった原発反対の声はやがて、頂点に達しようとしていた。中曽根康弘代議士らの一行が芦浜視察に訪れるのである。」

中電社員が中曽根と「もがみ」という視察船に乗っていたという。下「」引用。

「「もがみ」は一九日午後二時ごろ、名倉港の岸壁を離れた。古和浦漁協を中心とした約三○○隻の船団が「もがみ」を取り囲んだまま移動した。「もがみ」は一五○メートルほど進んだ。
 すると突然、漁民の一人が船上から「中電の者が乗っとる」と叫んだ。漁船が次々「ばかにするな」と「もがみ」に接舷した。-略-
「もがみの中曽根の斜め後ろに中電関係者が座っているのが見えた。(茨城県の)東海村に出掛けた時、中電本店で説明を受けた人間だった。はっきり分かった。『中電の者が乗っとるやないか。正常な視察と違うやないか』と僕が叫んだ。このひとことが発端となり、各漁船に『中電が乗っている』と広がって、あのよう騒ぎとなった」」

そして、逮捕された漁民。下「」引用。

「逮捕された漁民の拘置が長期化する中、県漁連の一行が上京している。釈放の助力を中曽根に求めるためだった。県漁連副会長の山下健作は当時の模様をこう証言する。「議員会館で『仲間たちが釈放してもらえるよう検察に働きかけて下さい』と訴えました。中曽根さんは三つ揃いの背広をパリッと着ていました。そして、ひとこと言ったのです。『原発を受け入れなさいよ。そうすれば、すぐに解き放してあげる』。みんな黙ってしまい、『先生ひとつよろしく』としか言えませんでした」

index

この事件によって漁民の結束は強くなったという。下「」引用。

「日々の暮らしを抱える小さな漁村のことである。大勢の「罪人」を出したことで、人々は動揺しないはずはなかった。
 しかし、漁民が釈放される日には、南島町七漁協の組合長がタクシーに乗り、そろって出迎えた。一一月一四日、被告漁民すべてが釈放された。罪をひとり負った形となった古和浦を「孤立させてはならない」と、町内の結束はむしろ強くなっていった。長島事件は確実に、芦浜原発計画を追い詰めて行くことになる。」

汚職事件もあったという。下「」引用。

「当時の津地検の発表によれば、三○万円は吉田が要求したものであり、原発立地の実情から、二人は要求に応じざるを得なかったという状況があった。原発推進のため吉田の心をつなぎとめる金だったというのである。」

なにしろ、豊かな海を残した方が賢明であったろうと思います。

海からもバイオエネルギーをつくることは可能だとボクは思います。








index

目 次



エンタメ@BlogRanking



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。