磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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日本の原爆文学13 詩歌

2006年05月31日 | 読書日記など
『日本の原爆文学13 詩歌』
        ほるぷ出版1983年

ある程度小説などは読んでいると慣れてくるものです。
でも、詩歌というものは慣れません。
そこが詩歌の力強さといってもいいのかもしれませんね。



この本はいくつもの詩集などから集められたものです。
・世界原爆詩集
・日本原爆詩集
・原子雲の下より
・死の灰詩集
・原爆詩集
・原爆歌集 広島
・句集 広島
・句集 ひろしま
・原爆歌集
・句集 長崎



峠三吉の詩碑は有名ですね。

子どもたちの視線は鋭いですね。以下「」引用。

「げんしばくだん     小学三年 坂本はつみ
げんしばくだんがおちると
ひるがよるになって
人はおばけになる
        (『原子雲の下より』一九五二年九月)」
でも、本当のおばけは、心に住んでいるもので、
目で見えるものじゃないんだよ。



国と国との戦争といいますが、
果たして、そうなのでしょうか?
いつも視点がぼけているように一般の書物では思います。

「都市が消える時     高旗 宏
悪いとりまきに
悪い政治家がおどらされ
悪い法をふりまわし
悪いくらしを押しつけて
黒い雨が降りつづいた。
-略-
悪い政治家
悪いとりまきは
悪い法から吹き出した
悪いガスにおかされて
落ちても 落ちても
落ちてゆく先のない
永遠に落下する幻影を
落ちてゆくのだ。
           (『広島県詩集』一九五八年九月)」

日本の心は俳句や短歌だと思います。
これは世界的にも有名ですね。
ジョン・レノンがザ・ビートルズ時代の曲
「アクロス・ザ・ユニバース」も、
その影響があったそうですね。

「            六十部かず緒
ケロイドの残れる妹は独身で生きむと夜毎ミシン踏み居る」

強く生きようとする人間としての美しさにあふれ、
それを見守る兄。
日本的情緒の美しさの極みのような作品です。

人間は死ねばそれでお終いとは思えません。

「            阿部良子
たまゆらに消えし無慙の精霊よ平和の神と蘇り給へ」

きっとそういうことが起きるでしょうね。
もし、神が存在するというのなら……。

司馬遼太郎は、新聞記者をしているとき、
平和や反核というものが、エリートたちのものである
ことに不満をおぼえていたという。
これらの作品の素晴らしさを司馬遼太郎ならば、
理解してくださるでしょうね。





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