磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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長崎の歌

2007年03月23日 | 読書日記など
『長崎の歌』
   パウロ・グリン(著)/マリスト会1989年、95年5刷

この本はオーストラリア人のカトリックの神父が書かれた永井隆博士の伝記です。永井隆の日本的なところを強調されているように思えます。



外国の方が日本の文化を表現されるとおもしろい場合があります。下「」引用。

「有名な言葉「無」の思想に通じていました。「無」という漢字は火の上で束を燃やしている人を表わしているそうです。英語には種々に訳されていて“Emptiness”とか“The Void"”か“Nothing”という言葉に置き換えられています。仏教では私達の一人ひとりが真の意味で「無」そのものである、と言っています。というのは、私達が持っている、または備えているものすべては他人から貰ったものだと言えるからです。体も顔も言葉もなまりさえも、先祖や両親、家族の者や先生方から贈られたものです。私達が食べているものや使っているもの全部が他の人からのいただきものなのです。長い沈黙の期間、この昔から伝わる東洋的思想が自分の考えの中にあることをあらためて認識した隆でした。」


考えてみれば、この思想は『ヨブ記』にも通じるものですね。
われわれ人間は、命もすべて神に与えられたもの……。
宗教発達学などという珍しい学問でみれば、どの国の宗教も同じような有様で発達していくのですけど……。

道元と似たり。下「」引用。

「一三世紀の日本の禅僧道元の言葉とも相い通じる次の言葉で締めくくっています。「たとえ我々が、ちっぽけな理性で真理を理解しえなくても心で真理を体験することが出来る」と。隆はひそかに唸(うな)りました。誰にとってもあくまで確実な道は理性の道だ。にもかかわらずパスカルも道元も、理性では決して完全な真理には到達出来ないと言っている。」

ight="120">愛と怒りと 木下恵介監督

事実ではないと思うことが、いくつか書かれてありましたが、よく書かれた本だし、神学的だけでなく、この方の愛もまた素晴らしいと思えました……。

この神父が、永井隆博士と文通をされたハンセン病の方々たちとも交流されたようです。

グリン神父の先輩に、故ライオナル・マースデン神父がおられる。
彼は泰緬鉄道で捕虜として苦しい体験をされ、敵である日本兵が許せなかったという。
そして、戦後、日本に渡り、日本人に尽されたという。

ここにも立派な平和を愛する人がいたのかと感激しました。
その先輩あって、グリン神父あり!

宗教的なものも、知性や理性に満ち溢れたものであると思えます。
ぜひ、一読を。



故・永井 隆博士の精神を海外に【NBC】'07/3/20


この本は前からUpしたかったのですが、どうもボクではこの本のよさは表現できそうにないとも思えました。……(-_-;)












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