磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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臨界被曝の衝撃-いまあらためて問う原子力-

2011年07月30日 | 読書日記など
『臨界被曝の衝撃-いまあらためて問う原子力-』
   清水修二、野口邦和・著/リベルタ出版2000年

東海村JCO臨界事故が初。下「」引用。

「いずれにせよ、放射線の放出をともなう「事故」が直接の原因で死亡者が出たのは、今回がはじめてです。」



交通事故との比較。下「」引用。

「じっさい、交通事故で毎日三○人もの人が亡くなっていますし(一年につき一万人として三七年間で三七万人!)、喫煙が誘引となった肺ガンの死亡者も、調べれば年間で万単位にのぼるかもしれません。「原発で人の死ぬ確率は天文学的に小さい」と言っても、あながちデタラメとは決めつけらないように見えます。」

↑の間違い。下「」引用。

「第五福竜丸の遭難を、単に「運が悪かった」といって片づける人はいないでしょう。久保山さんの被曝死が、核兵器による「恐怖の均衡」の是非を問う象徴的な死であったのとちょうど同じように、大内さんの被曝死も、原子力発電の行方について日本国民に深刻な問いを投げかける象徴的な死であったと思います。なぜかといえば、大内さんの事故死は、単なる現場のミステイクにその原因を求めることのできない、もっと「構造的な」性質なものだと考えられるからです。-略-
 東海村の臨界事故は、死亡した大内さんだけでなく、日本国民全体にとって一つの「異常な体験」でした。「目に見えない放射線が、いまこの瞬間も私の身体を貫いているかもしれない」、「いま吸い込んだ空気に、放射能が含まれていたかもしれない」、そう思いながらまんじりともせず夜を明かした東海村の住民が少なくなかったはずです。-略-」

一貫して主張してきた日本科学者会議。下「」引用。

「原子炉内に膨大な量の核分裂生成物が蓄積していることを考えれば、原子力発電所の安全確保が、核燃料サイクルの中で決定的に重要であることは言うまでもありません。しかし、このような核燃料サイクルの中に原子力発電所が存在するかぎり、核燃料サイクルの安全性の問題を原子力発電所の安全性の問題に矮小化(わいしょうか)してはいけません。これは筆者らの所属する日本科学者会議が当初より一貫して主張してきたことです。」

JCOは住友金属鉱山(株)核燃料事業部東海工場として出発。

問題点。下「」引用。

「しかし、そもそも、二・四キログラムを超えて入れてはいけないというのに一六・六キログラムも入ってしまう沈澱層が存在すること自体が問題です。これはJCOが違法な「裏マニュアル」で用意したものではなく、科学技術庁と原子力安全委員会の安全審査をパスしていた装置です。」

ケシ粒ほどのウランが……。下「」引用。

「ケシ粒(あんパンの上にのっている小さな粒がケシのタネです)ほどのウラン235の核分裂検査反応で今回のような重大な事態になることに驚いた人も多いと思います。」

虚偽の出動要請。てんかんだといい、臨界事故と伝えず、消防署員が被曝してしまった……。

「「志願」という名の半強制」 下「」引用。

「科学技術庁と原子力安全委員会の意向を受けた越島所長の指示により、職場長が人選を行ないました。将来子どもをつくる可能性の高い独身者と現場作業に不慣れな管理職が外され、中堅の八組一六人が指名されました。「嫌なら断ることもできる」と職場長から言われたが、全員が無言だったといいます。冷却水抜きに行なった労働者は「志願」したと伝えられていますが、実態は半強制に近いものでした。」

「偶然見つかった七人の被曝」

「レベル5」……。下「」引用。

「JCOの臨界事故は「レベル4」に相当するとされています。しかし住民の中には「数ミリ」程度にとどまらない被曝をケースもあると思われますので、スリーマイル島原発事故クラスの「レベル5」とすべきだという意見喪有力です。」

JCOは社員110人の中小企業。

リストラ……。下「」引用。

「円高の下、海外同業者との競争の激化で売り上げが伸びず、リストラが進行していたといわれています。作業手順を省力するという発想も、そうした営業上の背景との関連なしにはありえなかったでしょう。それにしても、現場の作業員が「臨界」現象について知識をもっていなかったという話は、本当だろうかと、いまなお信じられない気持ちです。」

「成長神話」……。下「」引用。

「あたかも「安全神話」に対応するものとして存在する「成長神話」の役割も、甚大なものがあります。公害その他さまざまなひずみはあったものの、とにかく戦後の混乱を脱して日本を「豊かな社会」の仲間入りさせた高度経済成長は素晴らしい成果だったのだという確信が凝り固まって、ついにはすほとんど信仰に近いほどの「成長神話」にまで結晶し、日本人の精神に植え付けられてしまいました。経済が成長しなければ何ひとつうまくいかないという強迫観念がそこに生まれます。そして、まず目標経済成長率を想定し、そこから演繹(えんえき)的にエネルギー需要の伸び率を計算し、さらに演繹して原子力発電の拡大をはじき出すという発想ないし論理が、動かしがたい定理のようにして語られることになります。
 こうした考え方と、それを背景にした政・官・財のトライアングル構造を変えないかぎり、硬直した原子力政策を転換させることはできないのではないでしょうか。」

アトムは最初女性アンドロイドだったという。下「」引用。

「私の少年時代は、手塚治虫の「鉄腕アトム」が子ども漫画のチャンピオンだったころでした。アトムが登場したのは一九五一年で、最初はお色気たっぷりの女性アンドロイドだったのが、連載されたのがたまたま『少年』という雑誌だったので、「鉄腕」に変身することになったのだそうです(『一億人の手塚治虫』JICC出版局、一九八九年』。-略-こういうキャラクターに「アトム」という名前がついたという事実に、原子力エネルギーに寄せる当時の日本人の心情がうかがわれるといっても見当違いではないでしょう。」

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日本の原子力防災……。下「」引用。

「原子力防災について、森永晴彦氏は言っています。日本では「備えあれば憂いなし」じゃなく「備えなけば憂いなし」だと(『原子炉を眠らせ、太陽を呼び覚ませ』草思社、一九九七年)。事故の備えなどしようとすれば、忘れていたことを思い出すことになる。原発事故はないことにしておけば一番気が楽だ、というのが日本の原子力認識じゃないのかと森永氏は警告しているのです。」

スイスの原発。下「」引用。

「スイスの場合は内陸ですから、河川水を使うしかなく、大きな川沿いにつくることになります。そして山また山のスイスでは、川沿いの平坦地には人が密集して住んでおりますので、原発も都市の近辺に立地するしかなくなるのです。」

「増設」をということは……。下「」引用。

「原発を誘致したことで地域経済が円満に成長・発展を遂げていくのであれば、「増設を」などという声は挙がらないはずです。それがそうならないのは、地元が望むような方向に地域経済を発展させていくだけの波及効果が、原発の立地にはともなわない証拠だといえます。」

福島原発とテスト合格。下「」引用。

「たとえば、福島第一原発一号機の設置許可の下りたのは一九六六年です。それから今日まで三○余年の歳月が流れています。-略-くだんの原子炉に今現在の安全審査のテストを受けさせて合格していれば運転に妨げなしということになっています。審査のハードルは過去にさかのぼらない(遡及(そきゅう)適応=バックフィットしない)わけです。つまり原発がふえるにしたがって、最新の技術水準の尺度からすれば不合格であるような原子炉がふえていくことになります。-略-」

佐藤知事……。下「」引用。

「たとえば「先進地」福島の佐藤栄佐久知事のも、原発増設やプルサーマルに関して意外なほどに硬骨漢ぶりをみせています。かつて新任知事だったころに福島第二原発で再循環ポンプの事故が起こり、佐藤知事は、原子力行政において自治体の権限がほとんどないに等しい現状に怒りをぶつけたことがあります。原発の運転停止を命じるくらいの権限を知事はもつべきだと、佐藤氏は発言しました。
 そのときの怒りの気持ちが持続しているのかいないのか、佐藤知事は福島第一原発七・八号機の増設要請に対して、いまだに返事を保留したままで、一三○億円のサッカー場寄付で段取りを済ませたつもりの東京電力をいらつかせています。-略-矛盾の隠蔽を事とするこうした仕掛けに、われわれはそろそろ幕を引く潮時ではないかと、私は思います。」

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女性用カツラ。下「」引用。

「ところで、一行の所持品の中で最も放射能汚染のひどかったのは何だったか、わかるでしょうか? それは、女性用のカツラだったそうです。」

巻町でも……。下「」引用。

「二○○○年一月、新潟県巻町の町長選挙では当初、劣勢が伝えられていたにもかかわらず、「原発のない巻町」を一貫して主張した町長が再選されました。」








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