磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

原子力問題の歴史 復刻新版

2012年04月13日 | 読書日記など
『原子力問題の歴史 復刻新版』
  吉羽和夫・著/河出書房新社1969年初版、2012年復刻新版初版

欧文タイトル:HISTORY OF NUCLEAR POWER ISSUES

帯に書かれてあります。下「」引用。

「戦後すぐに原子力問題に取り組み今日の課題を展望した科学史家の名著をいま読み返す!
問題の根源をたどれる年表付き」



今どこに行ったのだろうか? 下「」引用。

「一九五四年三月、アメリカのビキニ環礁水爆実験の「死の灰」がひきおこした第五福竜丸事件が、わが国にもたらした衝撃は、今日では想像もつかないほど深刻なものであった。二千万人の日本人が、原水爆兵器の製造と実験に反対して署名した。世界平和評議会のウィーン・アピールと日本の原水爆禁止運動の署名者数は、翌年六月に六億一三八八万に達した。あの全人類的ともいってよい熱狂的反対運動は、今どこに行ったのだろうか。-略-」

いつのまにか「原子力時代」→「核時代」 下「」引用。

「「原子力時代」という表現は、いつのまにか「核時代」という表現に変わった。それがいつのころかは判然としないし、それがどういう意味をもっているのかも明らかではない。この二つの表現のなかに、異質なものを感じないわけにはいかない。すなわち、「原子力時代」とは「原子力平和利用の時代」というイメージであり、「核時代」とは「核兵器生産の時代」という内容を含んでいるように、とることができる。平和利用と兵器生産という設定が受け入れられるとするならば、前者は願望であり、後者は現状を表現できると考えられる。
「原子力時代」から「核時代」への表現の変化はより実際的となり、現実を正しく反映しているとみるこことができる。そして、原子力解放からの約三○年の歴史は、「核時代」から「原子力時代」への移行を許さなかったばかりか、平和利用という願望さえもかき消してしまう実態なのである。
 戦争のなかで生まれ、平和のなかで兵器として育ってきた原子力が、大量殺人・破壊のための利用から解放される日はまだこない。原子力の利用を殺人・破壊に使ってはならないというきわめて単純なセオリーを、実践のなかで証明できる体制は、まだ世界のどこにも確立されていないのである。-略-」

八月一三日……。下「」引用。

「原子爆弾という言葉が国民の前に現われたのは八月一三日で、朝日新聞は“なぜ都市を狙う、欧州紙、牧師ごうごう非難”というタイトルで、〈十一日渡辺特派員ストックホルム発電〉を、“米国の戦争指導者たちは、原子爆弾にの威力を示すためには大都市よりももっと他の目標を選ぶことができたはずだ。……米国の今回の挙はまことに非人道的な驚くべきものである”と報じている。」

index

グロムイコ案。下「」引用。

「グロムイコ案の特徴は、バルーク案では二次的に扱われたような感じの〈原子力の平和利用〉の重要性を強く打ち出し、そのためには原子兵器の無条件禁止をすぐ実行しなければならない、と提案したことである。-略-」

「核実験停止会議は続く」 下「」引用。

「アメリカ(ワーズワース米国連代表が首席)、イギリス(オームズビ・ゴア英国務相が首席)そしてソビエト(ツァラープキン・ソ国連代表が首席)の三国によって、核実験停止会議は一九五八年一○月三一日にジュネーヴのパレ・デ・ナシオンで開始された。この会議は国連主催ではなかったが、内容的には国連軍縮委員会小委員会のあとをつぐ役目をもっていた。-略-」

中国1963年3月1日。下「」引用。

「新華社通信、“『紅旗』(中国共産党機関誌)で核武装を理論づけ”と報道。その内容は次のようである。
(1) 中国共産党は核戦争が突発すれば、核兵器は前例のない破壊力をもち、また人類がこうむる大破壊も比類のないものとなるとの立場を、終始一貫してとってきた。しかし同時に中国共産党は、最終的な分析としては核兵器では戦争の最終結果を決定できない、と信じている。
 (イ) 人類は核兵器を破壊するが、核兵器は人類を破壊することはない。
 (ロ) 人類は野蛮な帝国主義体制を破壊するが、帝国主義体制は人類を破壊しない。
(2) 社会主義国(複数)が核兵器をもつのは、純然たる防衛目的のためである。核優位を手中にする社会主義諸国は、けっして他の諸国を核兵器で攻撃することはない。」

恫喝の論理(核抑止)はテロリストの論理というのが、正しいが。それを誤魔化す論理の展開をするのが、どこの国でも同様のようである……。

index









index



エンタメ@BlogRanking




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。