『現代社会を考えるシリーズ15 原子力発電の条件-原発と核と環境と人間-』
角田道生・著/労働旬報社1989年
--原子力推進派という人たちも、クラウゼヴィッツ人になるかと思います。
専門家といえども、日々の体験を大切にされている著者……。下「」引用。
「原発推進には反対で、日本でも大事故がおこりそうだと感じながら、減らすわけにもいくまいという戸惑いは、原子力安全委員会がいう知識の不足ということとはちがうと思うのです。日々の生活の体験にもとづくとまどいであって、むしろそこから離れず考えていくことが大切だと思うのです。」
強烈な印象をあたえて、コントロールしようとする体験主義の人たちに騙されないためには、生活感を大切したいものですね。
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「*原子力との出合い=原爆展*」だったという……。下「」引用。
「こうして何年かして、その地球物理にすすみましたが、そこの講義で気象学のほか核物理学も教わりましたが、私にとって原子力との本格的出会いですが、授業よりはるかに印象的な出会いは大学祭でおこなった「原爆展」です。朝鮮戦争のころで、日本の主要な都市に米軍が駐留しており、占領軍命令が超法規的な力をもっていた時代です。占領政策のもとで、原爆の被害を問題にするのは勇気がいることでした。」
アメリカでは、緊急時計画が承認されず、廃炉されたケースもあるという。下「」引用。
「アメリカでは、この緊急時計画が承認されないため、完成した原発が運転できないまま廃炉になった例もあります。
ニューヨーク州にあるショーハム原発は一九八四年に完成しましたが、半島の中ほどにあるため、半島の先端に住む住民は避難できないなどの意見がでて、州政府は電力会社の緊急時計画を承認せず、一九八八年、電力会社はこの原発を放棄しました。またニューハンプシャー集のシーブルック原発でも、隣のマサチューセッツ州から、電力会社の避難計画は州民の安全上承認できないとされ、一号機は完成したけれど運転にはいれず、二号機は建設中止となりました。」
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インドのポパール、多国籍企業ユニオン・カーバイト社の工場。
--地下タンク三基のうちの1つから、原料のシアン化合物の気体が漏れ、死者3千人。
この地下タンクには五段階の安全装置がついていたという。全部作動しなかった……。
コロラド州のウラン鉱山からでた屑を建材に利用。
--放射線の線量が高いため、政府が介入したという。
アメリカでは「核物質防護」の名による非民主制・非公開と批判されているという。
原潜が通る東京湾……。下「」引用。
「一九八八年七月、東京湾で海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と第一富士丸が衝突する事故がありましたが、その二日後、ロスアンゼルス型原子力潜水艦(以下原潜と書きます)ヒューストン号(六○○○トン)が同じ航路を通って横須賀港に入港しています。」
「疑惑のソード・フィッシュ号事件」と題する文章もありました。下「」引用。
「日本学術会議の勧告をうらづけるように事件が四年後におこりました。一九六八年五月六日、佐世保港に寄港中の原潜ソード・フィッシュ号のまわりで、放射線モニタリングをしていた観測船で平常時の一○-二○倍高い異常値がみつかりました。
現地から電話でこの報告をうけた科学技術庁は、ただちに外務省経由でアメリカ大使館に連絡しましたが、記者団には「本日は風波が荒く測定できなかった」とウソの発表をしました。一新聞社のスクープでこのウソが発覚し、大騒ぎとなりました。科学技術庁も認めざるをえなくなり、専門家による現地調査団を現地に派遣しましたが、その翌日、問題のソードフィッシュ号は出港してしまいました。事故かくしと、それによる対応のおくれの典型です。」
■Swordfish, Sailor Hat (Conventional Test), ASROC, SUBROC■
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現実的な思考をされている本のように思えます……。
もくじ
目 次
角田道生・著/労働旬報社1989年
--原子力推進派という人たちも、クラウゼヴィッツ人になるかと思います。
専門家といえども、日々の体験を大切にされている著者……。下「」引用。
「原発推進には反対で、日本でも大事故がおこりそうだと感じながら、減らすわけにもいくまいという戸惑いは、原子力安全委員会がいう知識の不足ということとはちがうと思うのです。日々の生活の体験にもとづくとまどいであって、むしろそこから離れず考えていくことが大切だと思うのです。」
強烈な印象をあたえて、コントロールしようとする体験主義の人たちに騙されないためには、生活感を大切したいものですね。
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「*原子力との出合い=原爆展*」だったという……。下「」引用。
「こうして何年かして、その地球物理にすすみましたが、そこの講義で気象学のほか核物理学も教わりましたが、私にとって原子力との本格的出会いですが、授業よりはるかに印象的な出会いは大学祭でおこなった「原爆展」です。朝鮮戦争のころで、日本の主要な都市に米軍が駐留しており、占領軍命令が超法規的な力をもっていた時代です。占領政策のもとで、原爆の被害を問題にするのは勇気がいることでした。」
アメリカでは、緊急時計画が承認されず、廃炉されたケースもあるという。下「」引用。
「アメリカでは、この緊急時計画が承認されないため、完成した原発が運転できないまま廃炉になった例もあります。
ニューヨーク州にあるショーハム原発は一九八四年に完成しましたが、半島の中ほどにあるため、半島の先端に住む住民は避難できないなどの意見がでて、州政府は電力会社の緊急時計画を承認せず、一九八八年、電力会社はこの原発を放棄しました。またニューハンプシャー集のシーブルック原発でも、隣のマサチューセッツ州から、電力会社の避難計画は州民の安全上承認できないとされ、一号機は完成したけれど運転にはいれず、二号機は建設中止となりました。」
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インドのポパール、多国籍企業ユニオン・カーバイト社の工場。
--地下タンク三基のうちの1つから、原料のシアン化合物の気体が漏れ、死者3千人。
この地下タンクには五段階の安全装置がついていたという。全部作動しなかった……。
コロラド州のウラン鉱山からでた屑を建材に利用。
--放射線の線量が高いため、政府が介入したという。
アメリカでは「核物質防護」の名による非民主制・非公開と批判されているという。
原潜が通る東京湾……。下「」引用。
「一九八八年七月、東京湾で海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と第一富士丸が衝突する事故がありましたが、その二日後、ロスアンゼルス型原子力潜水艦(以下原潜と書きます)ヒューストン号(六○○○トン)が同じ航路を通って横須賀港に入港しています。」
「疑惑のソード・フィッシュ号事件」と題する文章もありました。下「」引用。
「日本学術会議の勧告をうらづけるように事件が四年後におこりました。一九六八年五月六日、佐世保港に寄港中の原潜ソード・フィッシュ号のまわりで、放射線モニタリングをしていた観測船で平常時の一○-二○倍高い異常値がみつかりました。
現地から電話でこの報告をうけた科学技術庁は、ただちに外務省経由でアメリカ大使館に連絡しましたが、記者団には「本日は風波が荒く測定できなかった」とウソの発表をしました。一新聞社のスクープでこのウソが発覚し、大騒ぎとなりました。科学技術庁も認めざるをえなくなり、専門家による現地調査団を現地に派遣しましたが、その翌日、問題のソードフィッシュ号は出港してしまいました。事故かくしと、それによる対応のおくれの典型です。」
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現実的な思考をされている本のように思えます……。
もくじ
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