磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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難死の思想 人と思想

2010年05月22日 | 読書日記など
『難死の思想 人と思想』
   小田実・著/文芸春秋1977年

いろいろなことが書かれてあります。



理念やロマンティシズム……。下「」引用。

「「私状況」は言論の弾圧であり徴用であり飢えであり、戦場に狩り出されることであり、究極的には死ぬことであろう。理念やロマンティシズムは、「私状況」と「公状況」のあいだにあって、「公状況」の圧力を和らげるクッションとしても働けば、二つを結びつける接着剤としても働く。」

著者でも戦中はこうだったようです……。下「」引用。

「「こんな負ける戦争をなんで始めたのだろう。」という意味のことを言った父に、私は腹をたて、「大東亜共栄圏の理想」を言い、「天皇陛下のために」という意味のキマリ文句を叫んだのだが、そのときには、自分でも「大東亜共栄圏の理想」や「天皇陛下のために」と自分とのあいだに妙にかけ離れてスカスカした感じで、気持がわるかったことをいまだにおぼえている。たとえば、ここで空襲で黒焦げになって死ぬことが、なぜ「大東亜共栄圏の理想」達成に役立ち、「天皇陛下のために」なるのか--それとはっきり意識していないまでも、私はそういう疑問のなかで生きていたにちがいないのである。」

反倫理的な三島由紀夫だが、殉教の美などとといい倫理的と思わせたのか? 下「」引用。

「三島氏は、さきに述べた、「公状況」は手つかずに残してその論理的妥当性を問題にすることなく、「私状況」と「公状況」のつながりだけを美的に、論理的にとらえて行く第四の方法をとった。-略-」

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ノーマン・メイラーの戦争体験は「ユダヤ人体験」だったという。下「」引用。

「近著『黒い人間の責務』のなかで「ヒロシマ」「ナガサキ」を激しく非難する。人種平等という普遍原理のために戦ったはずのアメリカが日本人の上に原子爆弾を落したのは、彼らが有色人種であったためではないのか。」

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差別を悪用されたインド。下「」引用。

「西洋がなだれ込んで来たときのインド社会は、カースト制度によって身分が固定していた社会だった。-略-老獪なイギリス人は、インド統治に、身分差別とヒンズー教・回教徒の対立を思う存分利用した。身分差別は固定された。ということは、知識人と「非知識人」の隔絶が固定されたということだ。社会の上層には金があり「ひま」があり知識人になることは容易だったが、下層民にはそうた金もなければ゜「ひま」もなかった。-略-」

反対していた? 下「」引用。

「いい例が、雑誌『心』グループのオールド・リベラリストたちであろう。彼らの論理は簡単である。自分たちは戦争反対の気持ちをもちつづけていた。民主主義的傾向をもっていた。だから(そこに何一つ実際的な行動がなくても、また結果的に戦争賛美、ファシズム賛成の行動となっていても)自分たちは戦争に反対していた、民主主義者であった、というのである。-略-」

コンゴ動乱と原子力産業。 下「」引用。

「コンゴ動乱がさかんに世間の耳目をそばだてていたころ、彼は、その動乱の黒幕であるユニオン・ミニエールケ・オウ・カタンガと日本の原子力産業との関係をあざやかに解いてみせた。アメリカが原子爆弾をつくり始めたとき、ウラニウムを掘り出していたのはユニオン・ミニエールしかなかった。会社はアメリカと、以後何十年かのウラニウムをアメリカに供給する義務を負ったのだが、同時に、それは、アメリカがそれだけのものを毎年買わなければならないということを意味してもいたのだ。この契約は巨大な利益をベルギーにもたらし、戦時中の亡命政権を支えた。そのうち、アメリカ国内でもウラニウムが算出されるようになった。-略-」

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