磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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虚構の大義

2009年09月17日 | 読書日記など
『虚構の大義』
   五味川純平・著/文芸春秋1976年

当時の軍隊……。
--今も昔も日本は、隠蔽を好む……。
これでは負けるのか当たり前!



天皇が絶対であるのは初年兵だけ。下「」引用。

「軍隊で天皇が絶対であり得るのは、初年兵の場合だけであった。下士官や古年次兵が、表向きの形式を必要とする場合を除いて、本心から天皇のために軍務に励んでいたなどとは考えられないのである。-略-」

天皇が絶対の形式。下「」引用。

「軍隊には、天皇の絶対性は形式的には確かに存在した。-略-
 それは、しかし厳密には、軍服と同じお仕着せであった。ばしめて軍衣袴を着せられてから暫くの間、軍隊で一括して初年兵と呼ばれる最低の身分である期間は、確かに右のとおりなのである。-略-」

ノモンハンでの隠蔽。下「」引用。

「ノモンハン事件で小松原師団が全滅的打撃を蒙った事実をひた隠しに隠して、国民を欺くことで面目を保とうとするような姑息な軍の性格では、それからの僅か二年間の軍の近代化・火力重点主義への再編成という難事業を果すことはできなかったのである。-略-」

霧社事件の影響。下「」引用。

「同じ昭和五年十月に、台湾に霧社事件が起きた。最も従順だとされていた霧社が不当な賦役を憤って叛乱を起こしたことは、統治の方式に改めて問題を投げかけたものとみることができる。-略-」

処分は上ほど軽い。下「」引用。

「第一線の絶望的な状況下で奮戦して死んだり負傷したりした兵隊の指揮官は、ばかをみた。明らかな負け戦だが、後方にいる者ほど、そして上級機関として当然責任の重いはずの者ほど、事後の処分が軽かった。
 山県支隊の山形大佐は、七五五高地で軍紀を焼いて割腹自殺した。ところが、死体が発見された場所が死守を命ぜられた場所より少し退っていたために、関東軍首脳部は戦死後の進級を計らおうとしなかった。陸軍省からの指示でかろうじて少将進級が行なわれた。
 酒井大佐(歩兵第七十二連隊長)は負傷して後退、チチハル陸軍病院で部隊全滅の責を負ってピストル自殺した。」

天皇からもらったものではない。下「」引用。

「銃は国民の税金によって作られていることぐらいは、殴る方にも殴られている方にも自明であるし、この両者はいずれも税金を納める立場にあっても、天皇から物を貰ったり預かったりする立場にはないことも自明なのである。-略-」

自公政権で、何とか手当てがあったけど、ほとんどの国民は税金からだって知っていたようだ……。

大本営……。下「」引用。

「東京の大本営がまたのんびりしている。のんびりしているというより、打ちのめされて戦争の終末段階へ追い込まれて、機敏に反応する能力を失ってしまったという方が適当であろうか。
 大本営は九日の午前八時になってようやく作戦会議を開いて、関東軍に対する大陸命を発した。-略-」

日本人。下「」引用。

「満州に住んでいた日本人は、その人物がどれほど善人だったとしても、民族平等の原則を犯して優越の立場で生活していたのだし、どれだけ戦争に反対する心があったとしも、戦争の源そのもので他民族の上前をはねる生活を享受していたのである。」

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愛国心。下「」引用。

「杉田は、愛国心は悪党の最後の隠れ蓑である、と云った人が誰であったか、砲撃がはじまる前に思い出したかった。この言葉には、多分に事実が含まれている。少なくとも、まともな人間は、愛国心を証明するために戦争を必要とはしないのだ。また、こうも云えるであろう。愛国心ほど人を狂気に陥れる毒薬はない、と。
 畜生! 愛国心を隠れ蓑にしやがった悪党めら!」

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