磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

荒れ地野ばら

2006年08月07日 | 読書日記など
『荒れ地野ばら』
   山口勇子・著/四国五郎・装画/
     新日本出版社1981年

「おこりじぞう」の作者の方の本なので、
手にした本です。



帯に書かれてあります。下「」引用。

「悲しみと怒りの戦争体験を
こまやかな感性で描く感動の小説!
広島に育った二人の女性-槇子は軍人と、芙由は特高に追われるマルクス主義者と結婚し、ともに暗黒の時代を生きる。ついに夫たちは戦場へ、そして八月六日、原爆は二人を襲った……」


槇子と芙由は双子のように似ていたという。

キリスト教系の学校にも神棚を置きなさいという命令があったようです。下「」引用。

「原田院長は演台に両のこぶしを置き、上半身のり出すかっこうで語っていた。
「格校に必ず、神棚をそなえつけるようにという、通達がきました。キリストの愛に導かれる、わが校にもきました。神棚は大・中・小の三通りで、小は四円八十銭、中は六円、大は八円五十円。神に大小があるという、金銭で計るという。わが校は丁重に神棚購入を断りました」
 院長はしばらく黙った。そしてやや静かな声になった。」


イエズス・キリストの時代には、教会もなく、
祈りも、『主の祈り』以外はお教えにならなかった。
ずいぶん変わったキリスト教。

『キリストの教えを西洋の人たちがきちんと守っていてくれたら、この戦争もあの戦争も全部なかっだろうに……。
都合のいいように勝手な解釈をしている人たちばかり……。』

まあ、上のようにいう友人が好きでした。

そして、国家神道とキリスト教との関係はこうらしいです。下「」引用。

「宗教部会の部長は、その問に対し、静かにひと言答えた。
「キリストの大きな愛によって、わが大日本帝国の、世界唯一の天皇制は、守られております」」


いろいろな解釈ができるものですね……。


配給というのも、全員にまわらなかったようです。下「」引用。

「このくつが配給で、槇子のものとなったのは、二週間ばかり前だった。十七人に一足の配給で、くじ引きをした。まさか当るとは、思ってもいなかった。それが当ったのだ。新しいゴムの匂いがした。十六人の女たちが、うらやましさを通り越した、うらめしい目をした。この三月から、隣り組に加わったばかりの槇子に、貴重なくつを取られた。十六人の目が、一足のくつを穴のあくほどみつめるのだ。」


奪い合えば、足りなくなりますね……。
こんな物質社会なのに、飢えている人たちがいる……。






Index








最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。