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チェルノブイリ原発事故がもたらしたこれだけの人体被害-科学的データは何を示している-

2012年05月13日 | 読書日記など
『チェルノブイリ原発事故がもたらしたこれだけの人体被害-科学的データは何を示している-』
   核戦争防止国際医師会議ドイツ支部・著/
     松崎道幸・監訳/合同出版2012年

原書名 Gesundheitliche Folgen von Tschernobyl



図書館の説明文。下「」引用。

「25年間の研究から浮かび上がる放射能による健康被害の深刻さ。WHOとIAEAの公式発表とは異なる、チェルノブイリ原発事故後の放射線と患者・死者数との因果関係について言及している各種の科学的研究を評価検討する。」

「WHOとIAEAが公表するデータは信頼できない」

「最大4千人は、実は引用した研究論文では1万人から2万5000人」 下「」引用。

「たとえば、WHOとIAEAの公式発表は、もっとも被曝線量の高い集団から、将来がんと白血病によって最大4000人の超過死亡が発生するだろうとしている。しかし、この報告の根拠となったWHO報告書には、死亡者数は8930人と記載されている。この数字はどの新聞にも掲載されなかった。しかも、実際にWHO報告書が引用した研究論文を読んでみると、がんと白血病による超過死亡数は1万人から2万5000人の間であると記載されている。
 そうであるならり、WHOとIAEAの報告は自分たちの出したデータをごまかして発表したことになるチェルノブイリ原発事故の健康影響に関する彼らの発表には、真実味がまったくない。」

「無視され続けてきたチェルノブイリの真実」 下「」引用。

「事故の影響を主に受けた3カ国〔ロシア、ベラルーシ、ウクライナ〕の年齢分布は著しく変化した。出生率は低下し死亡率は上昇した。男性の平均余命は約10年短くなった。がんや疾病の統計を比較する際、これらの状況を考慮にの入れることは容易ではない。
 -略-彼らの食料は土地が放射能で汚染されているかどうかにかかわらず、自給せざるを得ない。これらすべての条件が健康状態に負の影響をもたらしている。ある特定の健康障害が、社会経済状態の変化に起因するのか、それともチェルノブイリ原発事故に起因するのかを明確に線引きすることは、不可能とは言わないまでもきわめて困難である。-略-」

「放射線被曝による早期老化のプロセス」 下「」引用。

「ロシア、ベラルーシ、ウクライナでの数多くの研究によって、電離放射線が老化プロセスを加速することが示されている。-略-
 原爆生存者のコホート調査では、電離放射線の結果として、がん以外の病気によって余命が有意に短縮されたことが解明されている。
 また、ロシア、ベラルーシ、ウクライナのリクビダートルに関する研究でも、生存者はさまざまな疾患が正常な老化プロセスから予期されるより10~15年早く起きることが明らかにされている。発現する可能性のある病的状態には以下のものがある。
・血管、とりわけ脳血管と冠状動脈の加速された老化
・老年性白内障、眼底血管の動脈硬化症と早期の近視
・中枢神経の障害による高度な知的認知機能との喪失
・細胞外要因による染色体損傷の修復を担う抗酸化システムの不安定化-略-」

恐怖症と呼ぶことは適切でない。下「」引用。

「Burlakova女史によれば、慨して被曝後に起きるこれらの変化は、老化プロセスと同様の現象である。「リクビダートルは他の人々よりも10~15年早く老化した。同じ影響が動物実験でもみられる。彼ら(ククビタートル)が放射能不安症、放射線恐怖症患者と呼ぶことは適切てばない」とBurlakova女史は断言している。可能性のある治療法として、Burlakova女史は抗酸化物質を推奨しているが、摂りすぎればまったくの逆効果になってしまうので、適性な服用量が重要である。動物実験では、白血病の初期段階で、少なくとも病気の進行を80~250日遅延させることに成功している。」

リクビダートルのがん発生率。下「」引用。

「長期にわたって高い線量の放射線に曝されたリクビダートルは、がんの発症率が有意に高かった。また、ゴメリ州の高濃度に汚染された地域に住むリクビダートルの間でも発がん率は有意に高かった。」

甲状腺がん。下「」引用。

「甲状腺がん発症の増加がもっとも顕著なのは、チェルノブイリでも汚染がもっとも高濃度だったゴメリ地域の子どもたちだった。ベラルーシの子どもたちの甲状腺がんの総発症数の50%近くがこの地区に集中している。成人の甲状腺がんの年間発症数は、1998年には事故前13年間の58倍になっている。
 甲状腺がんを発症した子どもたちの大部分は事故当時6歳以下で、その半数以上が4歳以下であった。ベラルーシの0~14歳までの子どもたちの甲状腺がんの発症率は1995年に頂点に達した。小児の甲状腺がんなは進行が速く、他の臓器、とりわけ肺へ転移しやすいことが、事故後の早い段階で確認されている。ほとんどの症例は甲状腺乳頭がんと診断された。
 同じように、ウクライナでも甲状腺がん発症件数が増加している。チェルノブイリ原発事故後、11万人の子どもと4万人の大人の甲状腺放射性ヨウ素線量が測定され、がん登録制度が設置された。1993年までに418件の小児甲状腺がん症例が登録されたが、その情報を地域別に分類することで、電離放射線被曝と甲状腺がんの発症に明らかな関連があることが明らかにされている。」

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「国際チェルノブイリ・プロジェクト--1991年」 下「」引用。

「IAEAが音頭をとり、ILO(国際労働機関)、WHO、IMO(国際海事機関)、FAO(国際連合食糧農業機関)、UNSCEAR、ロシア政府、ベラルーシとウクライナ社会主義共和国の代表が共催した。検討結果は1991春にウィーンで発表された。200名の西側科学者と500名のロシアの科学者は、放射線被曝による健康被害は発生しておらず、検診を受けた子どもたちの健康は慨して良好だったという結論を出した。住民の健康が日々悪化する惨たんたる状況を目のあたりにしてきた現場の医師たちと被曝住民がこの結果にどれだけひどいショックを受けたかは、はかり知れない。
 国際チェルノブイリ・プロジェクトの枠組みには、もっとも被害を受けたリクビダートルと被災地から避難した人々は含まれておらず、彼らの健康被害についての検討はなされていない。
 ベラルーシとウクライナの科学アカデミーはこのプロジェクトの誤った枠組みに厳しく抗議した。」

UNSCEARの報告書も同じ。下「」引用。

「2000年に出されたUNSCEARによる報告書も同じように偏向した内容だった。唯一異なる点は、放射線被曝によって小児の甲状腺がんの新規発症率と死亡率、がんではない疾患による死亡率が増加している科学的証拠はないという記述をつけ加えたことだけである。IAEAは記者会見の席でこの報告書を公表した。」

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「リクビダートルの登録数」 下「」引用。

「WHO報告書はリクビダートルについてこう触れている。1996年までにベラルーシ、ウクライナ、ロシア3国では20万人がリクビダートルとして登録されていた。しかし、WHO報告書ではリクビダートルの登録数は40万人であると述べている。、さらに別の文書では、これまでに総計60万から80万人のリクビダートルが作業に従事していたと認めている。
 したがって、リクビダートルの半数を占める多くの若い兵士たちは、彼らがどれほどの被曝をしたかも、放射線による障害を治療する専門医へのアクセスも知らされないまま除隊し、登録証なしにそれぞれの故郷へ帰ったことになる。-略-」

【名言】 下「」引用。

「「真実を知らぬ者はただ愚かなだけだが、真実を知っているのにそれを偽りだと声高に叫ぶのは罪である」
--ブレヒト『ガリレオ・ガリレイ』より 」

ICRP=象徴。下「」引用。

「ICRPに象徴される「科学が科学として独立していない」歪みがあり、客観的存在をありのままに見ることを阻んでいる現状があります。」

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忘れてはならないこと。下「」引用。

「現在行われている被曝の学問を客観的に見ようと思うなら、第一に広島・長崎に原爆が投下されて以来の内部被曝を隠し続けた歴史を見なければいけません。第二に、内部被曝を隠し続けた歴史を見なければいけません。第二に、内部被曝を研究対象から排除するのではなく、外部被曝と合わせて全面的に探求する「まっとうな科学」がなされているかどうかに視点を置かねばなりません。第三にいのちを守ることが果たせる内容かどうかを見極めなければなりません。」









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